演劇書き込み寺

「貧乏な地方劇団のための演劇講座」とか「高橋くんの照明覚書」など、過去に書いたものと雑記を載せてます。

江戸美人捕物帳 入舟長屋のおみわ

2022年08月07日 08時37分12秒 | 読書

山本巧次の時代物捕物帳だ。
大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」とは異なり、タイムトラベルしたりはしないのだが、推理がご都合主義な割に、しっかりしていて、気楽に読める。人物設定も変に謎めかしていないので、気楽に読める一因だろう。
「開化鐡道探偵」は妙に暗くしつこくて、2巻目の「第102号列車の謎」は途中放棄してしまった。筆者の鉄道愛が重すぎるのだろう。
なぜかこのシリーズは図書館に置いてなかったので、古本屋で買ってきた。

第1巻のあらすじは以下の通り。
北森下町にある長屋の大家の娘・お美羽は容姿端麗でしっかり者だが、勝ち気すぎる性格もあって二十一歳で独り身。父親に代わり、店賃を取り立てて、住人の世話をしている。ある日、小間物屋の悪い噂を耳にした。白黒つけなければ気がすまないお美羽は、密かに恋心を寄せる浪人の山際と手を組み、真相を探っていくが(AMAZONのあらすじより)

3巻までと思っていたら、4巻が出たようだ。新刊で買おうかどうしようか迷う。気楽に読める作品なのだが…。

 




よっつ屋根の下 大崎梢

2022年08月07日 07時20分13秒 | 読書

お尻が痛いので皮膚科へ行ったら、待合室がすいている。「ラッキー」と喜んだのだが、実は前に30人いてコロナ対策のため、待合室の人数を制限しているという。
スマホのアプリでqrコードを読むと、あと何人なのかが分かるので、5人になったら戻ってきてほしいとのことだった。


比較的近くに図書館があるので、本を探して待つことにした。
そこでたまたま手に取った本が「よっつ屋根の下に」だった。
物語は銚子に父親と引っ越してきた少年の話から始まる。その父親がなぜ調子に引っ越すことになったのか、母親と妹はなぜ来ていないのか、が分かるのが最初の「海に吠える」だ。

次の「青い花」は父親と母親がどのようにして出会い、結婚したのか。
「川と小石」は母親がなぜ父と結婚する気になったのか、なぜ夫の赴任先へついていかなかったのか。彼女の父親の秘密とともに明らかになっていく。
「寄り道タペストリー」は妹が高校生になって、友人のちょっとした不良行為から、父親のしたことについて考える、という話になっている。
最後の「ひとつ空の下」では、家族がお互いを理解したうえで、それぞれの屋根を持つことが描かれている。
なかなか描かれている心理が面白く文芸作品かなと思って、奥付を見たら掲載誌は「小説宝石」だった。
また、ネットで検索したら、推理小説家だということだ。あさのあつこに似ている感じがあるのかもしれない。お勧めです。


古本屋のシステム

2022年06月20日 12時54分19秒 | 読書

駿河屋のホームページで検索したら、藤枝の駿河屋に目的の本があると書いてあったので、スクーターのバッテリー充電を兼ねて行ってきた。
しかし、店舗に本がない。
店員に確認してもらったら、確かに店舗にあることになっているのだが、これはコンピュータ上の話で、まだいくつかの段階を経ないと、店先には並ばないらしい。
入荷するとすぐに登録されるので、しばしばこういう齟齬が起きるらしい。
それならと、ネットで注文しようとしてみたが、提携店からの取り寄せになるらしく、駿河屋の送料と別で、これがまたえらく高い。
紙の重版を止めてしまったためか、新刊で購入できないため、苦労している。紙でほぼそろえて、あとは最終巻だけなのだ。
全く困ったものだ。

 


しにがみさん

2022年06月11日 04時10分46秒 | 読書

落語の「死神」を子供向けに桂小三治がアレンジした絵本だ。
町内の回覧板に、小学校の「読み聞かせ」のボランティア募集というのが載っていたので、先日応募して、6年生の読み聞かせをすることが決まった。
ネットで検索すると、高学年の読み聞かせでは絵本の「ねこのさら」の評判がいいという。このボランティアの読み聞かせは、子供の読書を推進する一助とする、というものらしく、原則図書室にある本の中から選ぶことになっている。
そこで、学校へ行って「ねこのさら」を借りようとしたのだが、「ねこのさら」は蔵書にはないとのことで、代わりに推薦されたのが「しにがみさん」だ。
元となった落語の「死神」はグリム童話の「死神の名づけ親」が原作で、三遊亭圓朝の創作したものだ。
あらすじは後述するが、絵本版では、金策できないことを女房にののしられた男が死にたいと思ったのだが、死神に医者にしてもらって、その報酬で大金持ちになり、女房子供を連れて豪遊した結果、再び貧乏になり、やってはいけない延命をしてしまう。
ここで絵本版の問題と思えるのは、豪遊したのは一人ではなく、女房子供も一緒だということだ。しかし、最後に出てくる命のろうそくが消えそうなのは、やってはいけない延命をやった男だけなのだ。
落語では、いろいろバージョンがあるようだが、談志のバージョンでは、きれいどころを連れて豪遊する話になっていて矛盾はない。
まあ、解釈の仕方はもう一つあって、絵本のラストシーンでは、男のくしゃみでローソクが消えて真っ暗になって終わる。
だから、みんな殺してしまった、という解釈だ。
これだと矛盾はないが、巻き込まれた人たちはいい迷惑だ。

ネットで感想を検索しても、このあたりに矛盾を感じている感想がないことから、考えすぎなのかもしれないが、果たしてこのまま読んでもいいものなのかどうなのか、しばらく悩むことになりそうだ。

あらすじ(ウィキベテアより)
やることなすこと失敗続きで金もなく、ついに自殺しようとしている男が眼光鋭い痩せこけた老人に声を掛けられる。老人は自らを死神だと言い、男はまだ死ぬ運命にないこと、また自身との数奇な縁を明かして助けてやるという。死神によれば、どんな重病人であっても死神が足元に座っていればまだ寿命ではなく、逆に症状が軽そうに見えても枕元に死神が座っている場合は死んでしまうという。足元にいる場合は呪文を唱えれば死神は消えるので、それで医者を始めると良いと助言し、死神は消える。

半信半疑で家に帰ってきた男が試しに医者の看板を掲げると、さっそく、さる日本橋の大店の番頭がやってきて主人を診て欲しいという。既にほうぼうの名医に診せたが匙を投げられ、藁にもすがる気持ちで男の家に来たという。男が店に行き、主人を見ると足元に死神がいたので、これ幸いと呪文を唱え死神を消して病気を治す。またたく間に元気になった主人は、男を名医と讃え、多額の報酬を払う。

この一件がまたたく間に広まり、男は名医として数々の患者を治し、その報酬で贅沢な暮らしを始める。しかし、それからしばらく経つと、男が訪問する病人はみな枕元に死神がいて治すことができず、しまいにヤブ医者と言われるようになって再びお金に困るようになってしまう。

そんな折、大きな商家から声がかかる。男が病床の主人を見れば、また枕元に死神がおり、諦めるよう諭すが、たった一ヶ月でも延命できたら大金を出すという。積み上がる大金に目がくらんだ男は、一計を案じ、店の男手を集めると、主人の布団を持たせ、頭と足の位置を逆転させた瞬間に呪文を唱え、死神を消した。これによって主人はみるみる病状が改善し、大金の約束を果たすと男に言う。

その帰り道、男はあの死神に再び声をかけられる。どうしてあんなことをしたんだと非難する死神に対し、男は言い訳するが、死神はもはやどうでもいいと答え、男をたくさん火のついた蝋燭がある洞窟へと連れてくる。死神は、この蝋燭の1つ1つが人の寿命だといい、男の寿命は、間もなく死ぬ主人を助けてしまったために入れ替わってしまったと、今にも消えそうな蝋燭を指し示す。驚いた男が助けて欲しいと懇願すると死神は新しい蝋燭を差し出し、これに火を継ぐことができれば助かるという。

そして、男は今にも消えそうな自分の蝋燭を持って火を移そうとするが、焦りから手が震えてうまくいかず、やがて「あぁ、消える…」の一言の後演者がその場に倒れ込み、演目は終わる。


江戸の闇風シリーズ

2022年06月07日 06時55分23秒 | 読書

山本巧次の時代小説だが、常磐津の師匠であるお沙夜の裏家業の話でSF的な要素はない。
シリーズは2冊刊行されており、いずれも悪徳商人から大金を奪う大規模な詐欺の話だ。
ただ、話はやや粗く、こんな人物配置でよくばれないな、という感じだ。まあ、昔の「スパイ大作戦」みたいな感じで、読んでいる方は「こんなのでだまされちゃうんだ」と、時々頭を抱えることとなる。
読んでいるときはそれなりに面白いので、お勧めだが、シリーズを続けるのは難しそうだ。


大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう ステイホームは江戸で

2022年06月07日 06時32分51秒 | 読書

コロナ禍の東京から、江戸へスティホームしようというおゆうさんが、人さらいの事件に活躍する話だ。
コロナは一時的なものだから、小説の題材にするのは難しいのかと思ったが、意外と流行が長く当初の予想よりも大きく世界の政治経済に影響したため、小説で取り上げても実感がこもっている。
だが、それだけではなく、リアルに感じるのは登場人物のイメージが、山本巧次のほかの作品と比較して明瞭だからではないか。これは、このシリーズの読みやすさにもつながっており、同じ作者でも「開化鐡道シリーズ」では、人物の印象がやや薄く、そのために読みづらくなっている。
今回は、3歳児の連続誘拐事件が発生したのだが、なぜか数日で解放され、犯人の狙いが分からない、という謎を解くものだった。
コロナのために江戸と東京を行き来するにも支障があり、いつものような捜査ができないのだが、かえってそれが面白さを増している気がする。


開花鐡道探偵

2022年05月26日 06時27分05秒 | 読書

作者の山本巧次さんは鉄道会社に勤務しているそうで、その関係もあってか鉄道にかかわる作品が多い。
この作品はその鉄道ものの第1作なのだが、やや力が入りすぎていて、展開がのろい気がする。
さらに、探偵役の草壁とワトソン役の小野寺の魅力があまり感じられない。
次作の「第102列車の謎」は出だしから謎っぽいので期待できるか?冒頭だけ読み始めたところだ。

内容についてはグーグルブックスから。
明治十二年晩夏。鉄道局技手見習の小野寺乙松は、局長・井上勝の命を受け、元八丁堀同心の草壁賢吾を訪れる。「京都‐大津間で鉄道を建設中だが、その逢坂山トンネルの工事現場で不審な事件が続発している。それを調査する探偵として雇いたい」という井上の依頼を伝え、面談の約束を取りつけるためだった。井上の熱意にほだされ、草壁は引き受けることに。逢坂山へ向かった小野寺たちだったが、現場に到着早々、仮開業間もない最寄り駅から京都に向かった乗客が、転落死を遂げたという報告を受ける。死者は工事関係者だった!現場では、鉄道工事関係者と、鉄道開発により失業した運送業者ら鉄道反対派との対立が深まるばかり。そんな中、更に事件が...。


日韓対立の真相

2022年05月26日 06時08分40秒 | 読書

元在大韓民国特命全権大使である武藤正敏が最初に出した著作だ。
2015年の著作なので、民主党政権が終わりを遂げたころに書かれたもので、今読むとかなり遠慮して書いているのかなと思わされる記述が多い。
この頃はまだ、韓国との融和が望めると思っていたのだろうが、その後の文政権の樹立で「こりゃあかん」と思ったのだろう。最近の論調とは異なっている。
ただ、伊新政権には若干の期待があるのだろうか。ダイヤモンドオンラインの「韓国ウォッチ」ではそうした論調に変化があるようだ。
こうして古い著作を読むと、当時の世相と今の世相を比較できて面白い。


大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう ドローン江戸を翔ぶ

2022年05月26日 05時56分19秒 | 読書

科学分析ラボの宇田川がとうとう江戸へ登場という作品だ。
泥棒の設定に若干無理を感じるのと、かなり早く犯人が分かってしまうのが残念かもしれないが、犯行の描写や動機などはほかの作品よりも面白いかもしれない。
気楽に読めるという点では、同じ作者の鉄道ものよりはいい意味でよくかけていると思う。
このシリーズはお勧めだ。


途中下車はできません

2022年05月24日 06時36分21秒 | 読書

山本巧次の鉄道ものだが、ばらばらの話が一つに集約されていく形式のミステリーだ。

この本を書いた意図は本人の説明がなさている。
出てくる駅は5つ。
収録作品:富良野線 美馬牛駅 / 釧網本線 北浜駅 / 宗谷本線 音威子府駅 / 根室本線 落石駅 / 函館本線 札幌駅 / 富良野線 美馬牛駅

読みやすいが、静岡に住んでいると北海道のイメージがなかなかできないところが難点だろうか。

作品の宣伝は、以下の通りだ。
北海道の各地を結ぶ鉄道のローカル駅。出会い、別れ、そして謎解きが、人々を数奇に絡み合わせる――。<美馬牛駅>オープンしたての紅茶専門カフェ。オーナーの美和は美人だが、どこかワケありの雰囲気である。民宿「ドゥマン」に集う人々が推理をめぐらすが、そこには誰も知らない黒歴史があった。<北浜駅>大学生の康生は行方不明になった祖母を探し、わずかな手がかりからこの地を訪れた。だが突然見知らぬ男にあらぬ疑いをかけられる。<音威子府駅>札幌の建築会社で横領事件が発生。社長命令を受けた尾崎は音威子府を訪ねる。犯人の酒井は四千万円を元手に蕎麦屋を開こうとしている?<落石駅>罠に嵌まり、振り込め詐欺グループに追われている荒川は、落石岬から投身自殺した、と見せかけ行方をくらますつもりだった。だが次々と邪魔が入って……。<札幌駅>ライラック36号に乗る尾崎と酒井、康生。スーパーおおぞら8号に乗る荒川。地下鉄南北線でやってきた美和。多くの乗客が旅立ち、帰郷し、あるいは通り過ぎてゆく札幌駅のコンコースで、さらなる奇跡が巻き起こる! 現役鉄道マンで北海道フリークの著者が紡ぎ出す、人生大逆転ミステリー。

結構、楽しめた。