演劇書き込み寺

「貧乏な地方劇団のための演劇講座」とか「高橋くんの照明覚書」など、過去に書いたものと雑記を載せてます。

演出-3

2018年09月08日 18時14分19秒 | 演出
生徒への通信教育も、今回が最後です。

演出―3

今回は具体的な手法について。

立ちげいこ

1.音楽や効果音は早く用意する。

公演2週間前には、準備が終わっていたい。

2.衣装のうち靴は早くから、舞台で使うものを練習の時も使う。

履くものによって、動きが変わります。

3.舞台装置を使わない場合は、あるべきものを想定して、必ず同じ場所で同じ動作を行う。

入り口がないのに、入り口を表現するときは床にマーキングをして、同じ場所で扉を開けるようにする。
逆にこれを応用すると、本来見えないはずの扉の向こう側での表情が見えるし、歩いてくる廊下での動きも見える。
これは、意外と効果的に使うことができる。

4.役者の動きが決まらないときは、間に動作を加える。

ただ、席に着くのではなく、ごみを拾ってから席に着くとかする。

ここっから先は以前書いたもの。
https://blog.goo.ne.jp/mcberry/e/afce890a9d0fe946707d1f50c1137d50

1.始まり方

幕が開いたときに、何を見せるのかだ。
誰もいなくて音楽だけが鳴っている、なんてのは頭の中のイメージでは素敵に見えるが
自分が観客の立場だったら、退屈だ。
音楽からはじめたかったら、客席の電気が消えたときから鳴らし始めるとか
観客が飽きない工夫が欲しい。

あと、幕が開いたときに、役者は動いているのか、それともストップモーションから入るのか。止まっている役者の間を一人だけが動くとか。
シーンによっては全員が足踏みしていたり、歌っているのもいいだろう。

2.転換

本当に暗転が必要なのか、もう一度チェックしよう。
暗転するなら、暗転時間を短くする工夫をしてみよう。
さらに、止まって暗転するのか動いたまま暗転するのか
暗転してからどのぐらいで動き始めるのか、チェックする。

逆に明るくなるときにどういう状態でいるのか。

転換がきれいだと芝居はスマートに見える。

3.終わり方

幕をどう下ろすのかだ。
これは、観客にどういう感情を見せたいかを考えると
案外簡単に決まる。

余韻をどこにもたせるのかだ。

どたばただったら
幕が下りる瞬間まで大騒ぎも面白いだろう。

台本の内容によっては
照明がぱっと消えて
誰もいない舞台に天井からの
スポットがひとつ入って終わるのが
一番かっこよかったりもする。

余韻を計算して
音楽と照明をさりげなく使う
これがコツだ。

(中略)

6.部分にこだわらないで通しの練習をする

とにかく、舞台全体が流れないと作品にならない。
細かいところが気になるかもしれないが
全体を通すことで、出演者は全体の流れを体に覚えさせることができる。
台詞の忘れ防止につながる。
とにかく、一日一回は通しで練習するのが望ましい。

うまいシーンを作るのではなくて
だめなシーンを作らないほうが、舞台はスマートなのだ。

https://blog.goo.ne.jp/mcberry/e/637a886f55fa7a72972da301abdd7088


1.退場するとき、劇場の観切れを過ぎても演技をやめない。

袖幕手前で演技をやめてしまう生徒が多いのですが
演技は舞台袖の奥の壁に達するまで
やめてはいけません。

緊張が途絶えて見えます。


2.演技に自信がないときは顔が隠れないような髪型にする

顔が見えるだけで、まあ、何を言いたいかは分かります。


3.動きが分からないときは思い切って動かない

でも、動かないのも意外と難しいんですよね。


https://blog.goo.ne.jp/mcberry/e/30d0581b9de74545aa998b7b065a8afe

目線をそろえられますか。
数人で演技をするときに、同じものを見ていることを示すもので、
「あれはなんだ」
「え?」
「ほらあれだ」
「なるほど、あれか」
というようなときです。

本人たちは前を向いているので
目線があっているかどうか分かりません。
こういうときは、あらかじめ目標を決めてください。

一番後ろの非常灯とか
脇の時計とかです。

http://www.geocities.jp/nagatosi3/check/1week

公演1週間前のチェックシートも参考に。

演出-2

2018年08月21日 23時13分41秒 | 演出


1960年代の後半から70年代にかけては、アンダーグラウンド通称アングラと呼ばれる演劇の流行があって、訳の分からないセリフを連呼したり、とにかくおどろおどろしければそれでいいという、舞台がたくさん作られた。
もともとは、オフブロードウェイとかオフオフブロードウェイとかに影響された始まった流れなのだが、日本に入ってきて、土着の踊りとかいろんなものが混じって変貌を遂げたみたいだ。
しかし、この時期の一般劇団(新劇など)は、そうそう変な方向に走るわけにもいかないので、古典の新解釈による上演を多くやっていた記憶がある。
藤田弓子の「12夜」(シェイクスピア)は、キックボードに乗って登場してきたし、山本圭の「ハムレット」は鉄パイプの舞台装置だった。
まあ、これらはごく表面的な話だが、考えようによっては、演出の仕事の一部を、どう解釈すればいいか、表面的に理解できるわけだ。
馬がなければ、スケートボードでもいいではないか。悲劇なんだけど、コメディでも上演できる、とか。
基本は、どういう舞台を自分が見たいか、見たい舞台を作ればいいわけだが、それが分かっていたら、それができたら、誰も苦労しない。

無意識のうちにやっているので、うまく説明できているかわからないのだが。自分がやっている作業は多分こんな感じだ
読み合せ。


1.役者にはト書きを無視して読んでみてもらおう。特に感情表現については、かえって邪魔になることがある。

2.・・・とか、えっ、とか、あっ、という表現を一度無視してみよう。書いてあるから、書いてある通りに「間」を開けるのは、不自然だろう。

3.感情の流れを作ってみよう。いきなり笑ったり怒ったりしない。笑うには笑う理由が、怒るには起こる理由がある。これを頭の中で整理し、不自然なところについては、なぜ不自然か考えてみる。動きで代弁できるかどうかを、考えてみる。あるいは、動きで代弁できるのなら、セリフをカットすることを検討する。これについては、立ちげいこで検証する。

4.読み合わせの段階で細かい指示を出すのをやめて、役者が声に出すことで、物語が自分の中で再構築されていく過程を確認しよう。やさしい言葉で言うと、ラジオドラマを聞く感じで、頭の中で、だれがどこでどうするのかを妄想(視覚化)するのだ。

こうした、台本の問題を一番見据えていた作家の一人がつかこうへいかもしれない。つかこうへいの脚本とつかこうへいの演出する舞台とは、ものすごくギャップがあって、こういう風に自由に変化していいのかと、感心したものだ。


演出−1

2018年08月09日 01時53分57秒 | 演出
演出は演技指導とは違う。高校生の演出を見ていると、ここのところをよく間違えやすいようだ。
演出とは芝居全体をデッサンして、演出が描きたい世界を役者という絵の具で埋めていく作業と言ってもいいだろう。もっと簡単に言うならば、オーケストラで言う指揮者と演奏家の関係のようなものだ。脚本は作曲家によって書かれた楽譜にあたる。
指揮者が違えば、演奏が違ってくる。オーケストラと異なるのは、これに音響や照明という要素が加わってより複雑に観客の感性に訴えることにある。だから、音楽は、映像がない方が感動が大きいこともあるだろう。ライブに行ってがっかりしたことはないだろうか。
演劇は音楽と異なりDVDに収録されたものでは、部分しか感じることが出来ないので、こうした収録されたものを見ても、、劇場で見た時よりも感動が薄いと言える。

では、どう演出するのか。自分だったらどうするのか、を書いてみよう。

他の人との一番の違いは、ほとんど自分の書いた芝居しか演出していないことだろうか。自分が芝居を書くときは、自分が観たい芝居を書いているわけで、おぼろげながら、観たい世界が見えている。だから、演出はそんなに苦労しない。では、他人の作品を演出するときはどうするのか。
脚本をもう一度頭の中で組み立てなおして、自分の作品に作り変えるようにしていく。
これは、簡単なようでいて意外と出来ない。演出未経験者は、作品の本来の意味の解釈を重視しがちだ。これは、脚本を読んだ時に、どう解釈したらいいのかと、セリフの意味を求める役者たちに正確に答えようとする演出が陥りやすいわなとも言える。

本気

2012年09月29日 22時32分05秒 | 演出
本気を出すといつも入院患者が。
出し方が悪かったのかもしれないけど。
付き合ってくれた役者には感謝。

助平心を出すと
周りのお姉さま方が・・・。

まあ、もてないからしょうがない。

たまには出したかった。
本気。

出して失敗した作品もかなりあるから仕方がないけど。
「寒椿落花」とか「せれなーで」といった静かな作品系です。

女優は難しい。

面白いって

2012年02月20日 23時53分57秒 | 演出
その昔、ある種の芝居に「うなづき芝居」と名づけたことがあった。
「なるほど」と思うような話が展開するのだ。
でも、すごくなるほどとは思うのだが
だったらお芝居でなくたっていいよな
という内容なのだ。

お芝居の面白さって
もっと別なことにある気がする。

本番直前

2010年06月19日 08時34分38秒 | 演出
本番が近づいてくると
慣れていない演出は演技のことばかりが気になるものだが
演技はきちんと台詞が入っていれば
舞台の上で流れができるので、なんとかなるものだ。

むしろ、本番が近づいたら次の点に注意したい。

1.始まり方

幕が開いたときに、何を見せるのかだ。
誰もいなくて音楽だけが鳴っている、なんてのは頭の中のイメージでは素敵に見えるが
自分が観客の立場だったら、退屈だ。
音楽からはじめたかったら、客席の電気が消えたときから鳴らし始めるとか
観客が飽きない工夫が欲しい。

あと、幕が開いたときに、役者は動いているのか、それともストップモーションから入るのか。止まっている役者の間を一人だけが動くとか。
シーンによっては全員が足踏みしていたり、歌っているのもいいだろう。

2.転換

本当に暗転が必要なのか、もう一度チェックしよう。
暗転するなら、暗転時間を短くする工夫をしてみよう。
さらに、止まって暗転するのか動いたまま暗転するのか
暗転してからどのぐらいで動き始めるのか、チェックする。

逆に明るくなるときにどういう状態でいるのか。

転換がきれいだと芝居はスマートに見える。

3.終わり方

幕をどう下ろすのかだ。
これは、観客にどういう感情を見せたいかを考えると
案外簡単に決まる。

余韻をどこにもたせるのかだ。

どたばただったら
幕が下りる瞬間まで大騒ぎも面白いだろう。

台本の内容によっては
照明がぱっと消えて
誰もいない舞台に天井からの
スポットがひとつ入って終わるのが
一番かっこよかったりもする。

余韻を計算して
音楽と照明をさりげなく使う
これがコツだ。

4.照明を感情に合わせて変えない

悲しいシーンだからホリゾントをブルーにするとか
怒りのシーンだから赤にするとかを、してはいけない。
感情は役者が表現するもので、照明は役者をよく見せるためのものであるのが基本だ。
役者がかっこよく見える照明を考えるのが重要だ。
照明がかっこよく見えるのは本末転倒。

5.笑い

ここまできたら笑いは無理にとりに行かない。
自分たちがつまらなくなったことでも
客には新鮮だから。
妙に大げさな演技にしたりすると
かえってすべる。

6.部分にこだわらないで通しの練習をする

とにかく、舞台全体が流れないと作品にならない。
細かいところが気になるかもしれないが
全体を通すことで、出演者は全体の流れを体に覚えさせることができる。
台詞の忘れ防止につながる。
とにかく、一日一回は通しで練習するのが望ましい。

うまいシーンを作るのではなくて
だめなシーンを作らないほうが、舞台はスマートなのだ。



自分が高校生の演劇部を教えていた時
本番直前1週間前に言っていたことをまとめてみた。
あまり約にはたたないかな。

つまらないことにこだわる

2009年12月03日 22時27分31秒 | 演出
「銀河鉄道の夜」の高校生版(題名を忘れました)を上演したとき
前々から疑問だったのだが、なぜか、開演前にアナウンスをするみたいなんで
こんなのを入れてみました。


星めぐりの歌が聞こえている.

車掌①② 本日は「特別急行銀河鉄道星巡りツアー」をご利用下さいましてありがとうございます.
本日の運転手・演出は越智悠介、運転助手は向山大地・柴田昭平、機関担当・舞台監督鈴木健太、通信手・音響・照明松永健志、操作、前嶋貴志、仲村祥太、機関助手衣装担当望月利恵,池田沙織、村松舞子。
客室乗務員ジョバンニ・森田真奈美、カンパネルラ・長谷川雄一、車掌・細澤あゆみ、老婆・水野由香、小林教授・竹内真之介、水野助手 長津輝衣子、ゾンビ・大石憲、でございます。さらに本日は客室常務研修生として星達「ここにコロス30人の名前」が乗務いたしております.
なお、運行中の携帯電話は他のお客様のご迷惑になりますから、デッキ・ロビーでご利用下さい.また、本日は銀河星巡りツアーでございます.フラッシュをご利用の写真撮影は淡い星達の光が消え他のお客様の鑑賞のご迷惑になりますのでご使用をおやめください.写真撮影の業者が同乗しておりますので、ご希望の写真は後程ご購入下さるようお願いいたします.
本日の運行時間は50分を予定しております.まもなく最初の停車駅静岡文化会館でございます.停車の際には秒速30万キロメートルの高速からのブレーキとなりますので、大きく車両がゆれることがございます.おはやめに席におつきになってお待ち下さい.
それでは、快適な旅をお楽しみ下さい.

客電が消えて、幕のむこうから320番が聞こえる。

難しい演出-2

2009年11月24日 23時51分53秒 | 演出
ブレーメンの音楽隊の脚本指導をしていたときの課題です。
役柄の設定が親に捨てられた犬の男の子。
大学生が書いてきたのは
「僕は捨てられて悲しい」
「お父さん、お母さんに会いたいよう」
だったのですが、私は次のどれに書き換えたでしょう。
設定では、このあとわがままな老メスネコと出会います。

1.泣き喚いて、眠たいと言う。「明日になれば、目が覚めればお母さんに会えるんだ」
2.「ぜんぜん平気さ、悲しくなんてない。きっと会える。だから、僕はここで待っているんだ」
3.「腹減った、なんか食わせて」


最低限の演出-2 というか演技

2009年11月24日 23時15分58秒 | 演出
愛コンタクト、失礼アイコンタクトです。
かめおかゆみこさんが「演劇やろうよ!」の中で書いているあれですね。
そういえば、かめおかさん近々ご結○だそうでおめでとうございます。
いやあ、めでたいめでたい。
は、さておき、なぜアイコンタクトなのかはかめおかさんの本の中で見てください。

では、なぜ自分が今まで取り上げなかったのかということと、なぜ今さら取り上げたかについて書きます。

きちんと演出していれば、役者がアイコンタクトとれているかいないかは、一目瞭然なので演出が指摘することとして、当たり前だと思っていたのですね。

ではなぜ今さら取り上げたかと言うと、ラジオの人生相談で「相手の目を見ることが出来ない」というのを聞いたからです。
かめおかさんは、アイコンタクトすら出来ない場合の対処は書いていません。

鏡で自分の顔を見てください。
残念ながら私も鏡を見るたびにがっかりします。
でも、目を動かす練習からはじめましょう。
右を見て、上を見て、左を見ます。
次に、下を見て、元の位置に。

自分の目がどこを向いたか意識できましたか。
そんな感じで、人の目を見てください。

高校時代は念力をかけると
好きな女の子が振り向いてくれるんじゃないかと
一生懸命見たものですが
「好きだよ」「いやよ」
「可愛いね」「見られたくないわ」
という感じで、完敗してました。

でも、目の力は下手な台詞よりも重要かもしれません。