演劇書き込み寺

「貧乏な地方劇団のための演劇講座」とか「高橋くんの照明覚書」など、過去に書いたものと雑記を載せてます。

あしながおじさん

2020年03月30日 22時00分36秒 | 読書

谷川俊太郎訳、安野光雅絵という豪華コンビで出版されたアメリカ文学の古典。
新潮文庫版で読んだ記憶があるのだが、谷川訳だとどうなるのかと思って読んだのだが、とにかく挿絵が残念でした。
もともとは、作者のジーン・ウェブスターの描いた挿絵が入っていて、これが、アーサーランサムスの挿絵と同様に、実にいい味なんです。

谷川訳は、どこが谷川さんなのかなという感じで、よく分からなかったのですが、底本があるようで、できればその訳者の名前も載せてくれていると、よかったです。


こっちが、いい大人になった分、細かいところがすごくおもしろかったのですが、紙質が良すぎて読みづらかったです。もう少し、生成の紙の方が目に優しいかと。


最後に、この本は誰を対象にしたのでしょうか?
図書館では、英米文学のコーナーにありました。大人を対象とするなら、ルビをもう少し減らした方が読みやすいです。

個人的には「続あしながおじさん」の方が好きでした。


今日もやっぱり処女でした

2020年03月29日 11時47分12秒 | 読書

子供のころによく遊びに行っていた山原堤の桜が、5分咲きぐらいでした。子供のころはイモリを採ったり、田螺を採ったりして、遊んだ場所ですが、当時は山桜しかなかった気がします。桜って白いんだと思っていましたから。


さて、家に帰ってきてから、夕べから読んでいた夏目玲子の「今日もやっぱり処女でした」を読了。主人公のあおばさんは、歩く時にいつも下を向いていて、何をするにも自信がなくて、どことは書いてなかった気がするけれど、そこそこいい大学を出ているらしいです。卒業して就職した映画会社を2年で辞めて、今は派遣社員として化粧品会社に勤務中の24歳で、母親と実家で二人暮らししています。お父さんは会社で行き詰ったらしく、近所にアパートを借りて、一人暮らしをしています。
ある意味、面白かったのですが、普通のストーリーを期待すると、ラストシーンなどは拍子抜けしてしまうかもしれないです。でも、きっと、タイトル通りなんですよね。ただ、最初と最後で、言い方が違うだけで。
読みあぐねていた「活版印刷三日月堂-空色の冊子」も読了。
なぜ読みあぐねていたのかというと、1巻目で話がスタートしたときに、亡くなっていた人たちの話がほとんどだったからです。
ただ、まだ、6巻目があるということなので、これがどうまたつながっていくのか、細かい過去を提示したのには理由があるのか。楽しみなところです。


読みやすい本読みにくい本

2020年03月28日 06時41分18秒 | 読書

今読んでいるのが我孫子武丸の「怪盗不思議紳士」とほしおさなえの「活版印刷三日月堂 空色の冊子」。
この2冊がなかなか曲者で、「怪盗不思議紳士」は時代背景を説明しようとしているのか、説明が長く、それに合わせるかのように情景描写が細かい気がする。特に中盤から読みづらく、現在160ページで止まっている。
「活版印刷三日月堂 空色の冊子」はシリーズ5作目。これまでの登場人物の過去を短編仕立てで語る連作だが、これまでの4冊でどういう状況となっているのか(死んでいるのか生きているのか、離婚しているのかしていないのか等)がある程度わかっているので、全体が暗く、146ページで止まっている。
これは、自分が読めなくなっているのかと、北川恵海の「ちょっと今から人生かえてくる」を読んでみたら、一気に読めた。そして、もしかして、「今からちょっと会社をやめてくる」は映画は見たけど、原作を読んでいないかも、と心配になった。
ヤマモトの母親の印象がないのだ。ただ、断片的に文章の記憶があるので、多分読んでいるのだろう。
今回の「ちょっと今から人生かえてくる」でヤマモトの秘密も明らかになって、なかなかいい読後感だった。

 


黒い羽根

2020年03月26日 17時08分31秒 | 読書

文庫書下ろし「黒い羽」誉田哲也
光文社のHPから

右肩にある瑕に、君島典子は幼い頃から苦しんできた。激しい痒みと痛み。どんな治療もほとんど効果がなかった。病院を転々とした末に辿り着いた遺伝子治療という選択。典子は主治医らとともに、人里離れた山奥にある研究施設へと向かう。ところが、そこには、何体もの惨殺死体が転がっていた!  ここには凄まじく危険なナニカがいる。



譽田哲也の小説だと、個人的には明るい「武士道」シリーズがお気に入りだが、「ヒトリシズカ」のように、ぞくぞくするような小説も嫌いではない。
本作は一種のSFスリラーものだが、明かされない謎が結構多くて、時々「?」となりながらも、途中からは一気に読める。ただ、描写がグロテスクなので、向かない人には向かないかもしれない。

今度読んだことのあるものを整理してみよう。


小笠原純さんが亡くなられていたことがわかった。

2020年03月24日 22時49分50秒 | 照明

照明家の小笠原純さんが、十月二十六日に亡くなられていたことがわかった。六十九歳だった。
そう考えると、純さんとは5つしか離れていないことになる。

初めてお会いしたのが、大谷採石場跡地で上演した故滑川五郎さんの「アボリジニ」、その後「山本寛斎の大谷でのファッションショー」「池袋のサンシャィ60前で勅使河原三郎」が踊った時。

なかなかの2枚目で。その顔に似て2枚目の照明する人でした。

純ちゃん安らかに。


別役さんが亡くなったこととロマン・ヴェンガルテンの『夏』

2020年03月17日 23時16分47秒 | その他

 ロマン・ヴェンガルテンの『夏』を、別役実が潤色したラジオドラマ版は、出演が加賀まりこ、萩原朔美。2匹の猫は三国一郎、露口茂。1972年放送。それまで、そんなに好きでなかった別役でしたが、このラジオドラマは素晴らしかったです。とにかくセリフがきれいでした。
そんなラジオドラマを録音して、未だにipodで聞いている人がいるらしく、ブログを見つけたときはびっくりしました。
我々の仲間もオープンリールで録音してくれていたのですが、同級生の誰だったんだろう?もう一度聞いてみたい。もう、47年前の放送なのに。

蠍座の公演は2か月のロングランだったそうで、あの頃の加賀まりこさんだったらきれいだったろう。「話の特集」という雑誌の彼女のヌード写真も、まだ若かった篠山紀信が撮っていて素敵だった。

別役さんの脚本は、なんか自分の実生活を舞台で見せられているような感じで、夢の中で見ている話がそのままっ目の前にある、あるいは、毎日の生活がそのまま目の前にある、という感じでした。そんなはずはないのですが。
早稲田小劇場のあの鉄階段を上っていく感じが、結構好きでした。残念ながら、そのころはもう、別役作品は上演していませんでしたけど。
ご冥福をお祈りいたします。


七月に流れる花

2020年03月12日 21時57分09秒 | 読書

恩田陸の「かって子供だったあなたと少年少女のための ミステリーランド」シリーズの最終配本した17巻18巻のうちの17巻。
SFミステリー仕立てで、面白いことは面白いのだが、なぜ図書館の大人本のコーナーにあるのか、ちょっと謎だ。
実は、この本を借りてきたのには訳があって、あとがきの中で、「秘密の花園」や「若草物語」が好きで、「赤毛のアン」は「おしゃべりで鬱陶しかった」と恩田陸は書いています。
そして、作家には「話のが苦手」だから作家になる人と「話し好き」だから作家になる人がいて、自分は前者だと書いていますが、私は「話すのが好き」に見える人は、必ずしも「話すのが得意」ではなくて、「自分を守るために」話してしまう、こともある気がします。
アンが魅力的なのは、だんだんと大人になると、「自分を守るため」に話すことが少なくなっていく、成長の物語だからでしょう。だから、でも、読者が一番惹かれるのは、少女時代のアンではないでしょうか。
書いているうちに、まとまりがなくなってしまいましたが、役者も「話すのが苦手」という人がたくさんいます。もし、本当に話好きだったら、「表現」をする必要がなくなっていくからだと思います。台本をもらった時に、一番生き生きとするのが、「役者」なので。そこが芸人さん、特に最近の芸人さんとの違いではないでしょうか。作家も、書いたものは「饒舌」かもしれませんが、作家自身がそうだとは限らないと思います。


校閲ガール

2020年03月12日 18時12分52秒 | 読書

石原さとみ主演でテレビドラマになった小説だ。

ファッション雑誌の編集者になりたかったのだが、校閲の仕事に回された
面白いのだが、テレビドラマの方が面白かったかもしれないと、読みながら思ってしまった。
こういうのは珍しい。大体は、原作の方が面白いのだ。


朝鮮半島はなぜいつも地獄が繰り返されるのか

2020年03月08日 22時25分22秒 | 読書

石平が2017年に書いた本です。
この手の本は、結構出ているし、ネットでも色々出ているので、内容のほとんどは知っていることでした。

知り合いに、韓国人が何人かいるので、今のコロナは大丈夫か気になります。
3.11の時の菅首相の対応を見ていても、今の文大統領と似たようなもので、現実主義者でないと政権運営は危なくて任せられないし、コロナ対策も現実無視で、マスク製造なんか業者は原価以下で納品しろと言われているようで、たまったもんじゃないですよね。
この本に書かれているように、報復合戦や相手のあら捜しばかりしているようでは、そのうち企業は韓国国内にいなくなってしまうでしょう(特にサムスンが)。

安倍政権が長期化して、歪がいろいろあるのはわかりますが、桜を見る会にしたって、別の見方をすれば地元のアイドルを見に行きたいファンの集い、みたいなもんでしょ。鳩山さんや菅さんの時は、そんなファンがいたんでしょうか。
「今後、こういうことは自覚をもって慎んでいただきたい」の一言で終わりそうな話だと思います。少子高齢化対策とか、教育の無償化に伴い高度化をどうするのか、とか、議題はいっぱいある気がするのだけど。

本当にウネちゃんは、大丈夫だろうか。ほかの二人も。

最後に石平が引用していた福沢諭吉の「脱亜論」の明治18年版(引用した形)と現代語訳をWikisouceから引用しておきます。
「我國は隣國の開明を待て共に亞細亞を興すの猶豫ある可らず寧ろ其伍を脫して西洋の文明國と進退を共にし其支那朝鮮に接するの法も隣國なるが故にとて特別の會釋に及ばず正に西洋人が之に接するの風に從て處分す可きのみ惡友を親しむ者は共に惡名を免かる可らず我れは心に於て亞細亞東方の惡友を謝絶するものなり」


「そうであるから、現在の戦略を考えるに、わが国は隣国の開明を待ち、共にアジアを発展させる猶予はないのである。むしろ、その仲間から脱出し、西洋の文明国と進退をともにし、その支那、朝鮮に接する方法も、隣国だからと特別の配慮をすることなく、まさに西洋人がこれに接するように処置すべきである。悪友と親しく交わる者も、また悪名を免れない。筆者は心の中で、東アジアの悪友を謝絶するものである。」





「図書館ホスピタル」

2020年03月08日 20時02分33秒 | 読書

中学生や高校生の演劇部を指導していた時期に、一番難しかったのは、脚本の選定に関してでした。
子供の成長には、時期時期があって、読書に例えれば、絵本から始まって、子供向けの童話、子供向けの小説、大人が読んでも子供が読んでも面白い小説、純文学と呼ばれるような高尚な小説、とレベルが上がっていくはずです。
しかし、どこかでつっかえると、「本なんて年間に1冊も読みません。ましてや、純文学なんて教科書に載っていたのしか知りません」ということになります。

脚本選びも同じで、選んでくる脚本を見ると(なぜか顧問の意向なのか脚本が選ばれてから指導に行くことが多かった)内容のなさに、頭を抱えたり、小説ならいいかもしれないが、舞台にするのは力業が必要だと頭を抱えてしまうことがままありました。あまりにもどうしようもないときは、「脚本を替えよう」と提案したりしましたが、時間的に間に合わないことがほとんどでした。
だから、ライトノベルというのは、ある時期の人間にとって、大切な出会いとなることがある。物語の表面的な面白さだけでなく、いろいろな人がいて、いろいろな思いがあるんだということを、体験できる。
演劇だと脚本を読んだときには、それをどう表現したらいいのか、想像することもできるようになる。


三萩せんや著「図書館ホスピタル」は何の前知識もなく図書館で借りてきた本でしたが、ストーリーを楽しめて、主人公の個性がストーリーを引っ張っていくという意味で、面白かったです。ただ、主人公の年齢設定や思春期の生活が、読者層に微妙かなとは思いましたけど。



ストーリーの中に「夜と霧」(ヴィクトール・E・フランクル)の話が出てきますが、私は理由があって読んだことがありません。高校生の時に、当時「狐狸庵シリーズ」で人気のあった遠藤周作が学校に講演に来て、我々としては「どんな面白い話をしてくれるのだろうか」と期待したのですが、彼が話したのは、この「夜と霧」についてで、内容を覚えていないほど、つまらない話でした。
3年間のうち、ほかの二人のお名前は忘れたのに、内容は意外と思い出せるのですが、遠藤周作については「夜と霧」について、それも、やたら短かったような記憶しかありません。はたして、この講演を聞いて「夜と霧」を読んでみようと思った同級生はいたのでしょうか。