演劇書き込み寺

「貧乏な地方劇団のための演劇講座」とか「高橋くんの照明覚書」など、過去に書いたものと雑記を載せてます。

世の中は偶然に満ちている

2020年04月30日 11時29分16秒 | 読書

赤瀬川原平没後に出版された日記と小説集。
日記の中にしばしば石子順造氏の名前が出てくる。墓参にも行っていたらしい。
前にも書いたことがあるが、高校生の頃Uさんに誘われて、石子順造さんと対談をしたことがある。片田舎の高校生相手に、それも、現代美術に関心も知識もない相手に2時間近く暑く語ってくれた記憶がある。
その様子はVTRに撮っていたので、後年見せて欲しいとUさんに頼んだら、「なんの話?」と記憶に残っていないらしかった。
石子さんの本をくださった、杉山さんも若くして亡くなられてしまった。
下の名前を思い出せないのはなぜだろう。


頂いた「表現における近代の呪縛」には「前田守一様1970.12.8石子順造」とある。版画家の前田守一さんなのだろうか?

実はこの本をもらってから一度も読んだことがない。なぜなら、そこに紹介されている作家評は現代美術への造詣が深くないと、誰のどの作品、あるいはその行動の過程について記載しているのか、理解できなかったからだ。しかし、今本を手にとって、ネットがあれば、その人がどんな人か、どんな作品を残してきたかを知ることができることに気がついた。

 


カーの復讐

2020年04月28日 10時40分49秒 | 読書

ミステリーランド第8回配本に二階堂黎人の作

あらすじは講談社BOOK倶楽部より

古代エジプトの秘宝≪ホルスの眼≫という名のメダリオン。この素晴らしさに心魅かれる男がいた。その名は怪盗アルセーヌ・ルパン。彼はそのお宝を頂戴するために、発掘者ボーバン博士に近づくが、博士の居城≪エイグル城≫で、ルパンを待ち受けていたのは奇妙な連続殺人事件だった。暗号文を手に死んだ老婆、財宝を荒らしたボーバン家への、生霊≪カー≫の復讐を口にする謎のエジプト人、城に出没するミイラ男、完全なる密室に置かれた脅迫状、そしてあらたに発生した連続殺人……。数々の事件を解決したルパンの頭脳をもってしても説明不可能な事件が続発し、人々を恐怖へおとしいれていく。果たしてこの前代未聞の難事件の犯人は誰なのか? ルパンはプライドをかけて事件に挑む!

本物のルパンシリーズといわれても、分からないくらいです。ルパンシリーズが好きな小学生に読んでもらいたい作品です。難点といえば、編集長に化けるのは良いのですが、本物はどうしているのでしょうか?新聞社もルパンのものなのでしょうか?
まあ、細かい点は本家本元もかなり怪しいので、そこらへんは気にしないで物語を楽しめばいいのかと思います。


神様ゲーム

2020年04月28日 08時13分23秒 | 読書

講談社ミステリーランド第7回配本の麻耶雄嵩作品。
あらすじは講談社BOOK倶楽部より
自分を「神様」と名乗り、猫殺し事件の犯人を告げる謎の転校生の正体とは? 神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか謎の転校生・鈴木太郎が事件の犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。そして、鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか?


後味の悪さ、結末の分かりにくさ、等々問題はいっぱいありますが、続編が出ているほど不思議な魅力があります。
でも、小学生には読ませたくない作品でした。
R15指定でもおかしくない、作品ですが、主人公は小学生ですし、途中まではいかにもいかにも小学生向きの小説なんです。
結末も、答えを出せない結末でした。大人のあなたにはお勧めします。


ラインの虜囚

2020年04月27日 18時14分38秒 | 読書

講談社ミステリーランド第7回配本の田中芳樹作品。
あらすじは講談社BOOK倶楽部より


時は1830年、冬のパリ。
カナダから来た少女コリンヌは
父の不名誉を拭うため
「ライン河までいき、双角獣(ツヴァイホルン)の塔に幽閉されている
人物の正体をしらべよ」という老伯爵の難題に挑む。
塔の仮面の男は死んだはずのナポレオン!?
酔いどれ剣士、カリブの海賊王、若き自称天才作家と共に
少女は謎に満ちた冒険の旅へ。


面白いです。どこがミステリーなのか、あまり良く分かりませんが、冒険小説として読めば、さすが「アルスラーン戦記」の作者です。飽きさせません。
歴史的資料もしっかりしているようでしたし、エピローグもなかなか素敵でした。

お薦めです。


あきない世傳 金と銀8巻

2020年04月25日 21時10分50秒 | 読書

高田郁のシリーズ8巻目。
なかなか最初は面白くならなかったシリーズだったが、巻を進めるうちにだんだん面白くなってきた。


あらすじは、AMAZONから

遠目には無地、近づけば小さな紋様が浮かび上がる「小紋染め」。
裃に用いられ、武士のものとされてきた小紋染めを、何とかして町人のものにしたい
──そう願い、幸たちは町人向けの小紋染めを手掛けるようになった。
思いは通じ、江戸っ子たちの支持を集めて、五鈴屋は順調に商いを育てていく。
だが「禍福は糾える縄の如し」、思いがけない禍が江戸の街を、そして幸たちを襲う。
足掛け三年の「女名前」の猶予期限が迫る中、五鈴屋の主従は、この難局をどう乗り越えるのか。

着物というのが、男には縁が薄いので、服装の描写とか、単語が入ってくると、読むのがしんどくなるのですが、今回は、がらをどうするかという話と恋愛ものなので、読みやすかったです。


三島由紀夫は女性のファッションにとても詳しかったようで、草薙洋平さんのエッセイにはこんな一文が引用されています。

妙子はさういふカクテルへ出るときの、自分の変り身の早さが好きだつた。彼女は洋裁店の奥の部屋で、お針子たちを叱りながら着換へをした。灰青色の泰国絹のブラウスに、黒繻子の縁取のついたエアリー・ウールのシャネル・スーツ、黒真珠の頸飾とブレスレット、それに灰色革のペランの長手袋を肱まではめ、その上からダイヤの指環をした。銀のメタリックなカクテル・バッグに、靴は黒エナメルのパムプス、……服地に合はせてブラック・サテンの香水をふりまき、シルバー・ミンクのストールをかけた。( 「肉体の学校」)


半分も理解できません。
高田さんのシリーズも女性が読むと面白さが増すのでしょう。


校閲ガールトルネード

2020年04月25日 20時54分21秒 | 読書

宮木あや子の校閲ガールシリーズ完結編。2冊目は読んだのですが、感想は書き忘れました。

軽く読めます、ただ脇の登場人物が前2冊に比較して弱めです。おなじみさんも結構出てくるのですが、こっちが慣れてしまったのか、普通に見えてしまいます。
小説も面白かったのですが、テレビドラマの方が、役者の個性と調和して面白かった気がします。原作がなければテレビもなかったのだから、仕方ないのだとは思うのですが。しかし、初体験が、高校生の時だとは。悦ちゃんなかなかやります。


魔女の死んだ家

2020年04月25日 20時38分12秒 | 読書

ミステリーランド第2回配本の篠田 真由美の作品。
あらすじは講談社BOOK倶楽部より
昔、あたしは高い石の塀で囲まれた大きなおうちに、おかあさまとばあやとねえやと四人で暮らしていた。うちにはお客さまのない日の方がめずらしいくらい。お客さまたちのことを、おかあさまの「すうはい者」と呼ぶのだとばあやは教えてくれた。ある春のこと、おかあさまはピストルで殺された。その日のことをあたしはよく夢に見る。「魔女だからね。魔女は昔から火炙りに決まっているからね。」という男の人の声が聞こえる。すると急にあたしは自分の手の中に硬い冷たいピストルの感触を覚えるのだった……。

一応伏線はあるのですが、なんというか、動機がよく分からない。それ以上に、おかあさまは本当は何をしている人だったのか?
雰囲気で押しまくったという感じの作品ですが、建築探偵桜井恭介のシリーズのスピンオフ作品でもあるようです(このシリーズ、私は知りませんけど)。

話自体が、あまり子供向けではないうえに、トリックが現実的でない気がします。
シリーズのスピンオフとして読めば面白いのかもしれません。


酸素は鏡に映らない

2020年04月23日 21時49分11秒 | 読書

講談社ミステリーランド第12回配本の上遠野浩平作品。


あらすじは講談社BOOK倶楽部より

「それはどこにでもある、ありふれた酸素のようなものだ。もしも、それを踏みにじることを恐れなければ、君もまた世界の支配者になれる――」ひとけのない公園で、奇妙な男オキシジェンが少年に語るとき、その裏に隠されているのはなんでしょうか? 宝物の金貨のありか? 未来への鍵? それともなにもかもを台無しにしてしまう禁断の、邪悪な扉でしょうか? ちょっと寂しい姉弟と、ヒーローくずれの男が巡り会い“ゴーシュ”の秘宝を探し求めて不思議な冒険をする、これは鏡に映った姿のように、あるけれどもなくて、ないけれどもある、どうでもいいけど大切ななにかについての物語です

やたら観念的な小説かと思いましたが、どうやら、ほかの作品と関連付けされているらしく、この作品だけ読んでいるとキャラクターが説明不足で不可解なところがあります。
雰囲気は好きな作品ですが、ちょっといろいろ無理がある設定かな。


くらのかみ

2020年04月23日 21時33分47秒 | 読書

講談社ミステリーランド第1回配本の小野不由美作品。
あらすじは講談社BOOK倶楽部より。


「四人ゲーム」。まっくらな部屋の四隅に四人の人間が立ち、肩を順番に叩きながら部屋をぐるぐる回るゲームだ。とうぜん四人では成立しないはずのゲームを始めたところ、忽然と五人目が出現した! でもみんな最初からいたとしか思えない顔ぶればかり。――行者に祟られ座敷童子に守られているという古い豪壮な屋敷に、後継者選びのため親族一同が呼び集められたのだが、後継ぎの資格をもつ者の食事にのみ毒が入れられる事件や、さまざまな怪異が続出。謎を解くべく急遽、少年探偵団が結成された。もちろんメンバーの中には座敷童子も紛れこんでいるのだが……。

推理なのかホラーなのか、一応きちんと全部謎解きはされています。ただ、ラストはいまいち釈然としません。もう少し年上向けの作品が得意そうな作家さんです。


ぼくと未来屋の夏

2020年04月23日 21時22分25秒 | 読書

講談社ミステリーランド第2回配本のはやみねかおるの作品。
あらすじは省略。
子供に人気があるらしく、漫画にもなっていますが、なかなか難しい作品だと思います。
特に後半に行くにつれて、水処理はどうなっているのだろう、とか、爆薬ってそんなに簡単に手に入らないし、大昔のものだと、保管や管理が大変だし、と余計なことが頭をよぎり、なぜ、子供に人気なのかがよく理解できませんでした。
たぶん、子供にも理解可能な単純なトリックが人気なのかもしれません。
はまっている子供が多いようですから、お子様にお勧めかもしれません。