演劇書き込み寺

「貧乏な地方劇団のための演劇講座」とか「高橋くんの照明覚書」など、過去に書いたものと雑記を載せてます。

三匹のおっさん ふたたび

2014年10月25日 23時07分53秒 | 読書

パートの話とかバレンタインのラッピングとか、女流作家でないと書けない目線で描かれており
とても楽に読め、なおかつ、現代の病巣がよく見える作品です。
前作よりも、事件数が減っているような気がしますが
高校生の祐希くんと早苗ちゃんの恋愛も微笑ましく、思わず応援したくなります。



映画「銀の匙」

2014年10月18日 10時04分32秒 | DVD

漫画のファンだし、ヒロインの広瀬アリスがご近所の子なんで珍しく新作で借りてきた。
しかし、キャスト、脚本、監督がすべてだめという「痛い映画」だった。
キャストは主人公と脇役の一部を除いてほとんどミスキャスト。映画館で観てきた息子の言うとおりだった。
御影の父に竹内力というのが特にダメ。私だったらピエール瀧にする。
校長もなんでお笑いを持ってくるのかな。

脚本は原作への愛情を感じないし、八軒の成長の過程が見えない。

ダメな映画の特徴は、
①何故かトイレのシーンがある。
②アップが少なく、ロングショットが多い。かといって、長回しでもない。
③卓球のシーンのように、余計なものを付け加える。
④何を言いたいのかわからない風景のシーンが入る。

全部当てはまる。
「純喫茶磯部」の監督だという時点で気がつくべきだった。

原作を凌ぐ映画になれば原作も刺激を受けて連載がもっと面白くなるのに、小学館は何を考えてこの監督に頼んだのだろう。

広瀬アリスは初めて観たが、カミさん曰く「ショートカットにしたらお母さんそっくりになった」そうだ。登校時の旗振りで一緒だったらしい。「イタイ映画」でかわいそうだった。



「ヒトリシズカ」誉田 哲也

2014年10月12日 10時10分02秒 | 読書

 

「武士道シックスティーン」の作者の警察小説。
最初は、大した話に思えなかったが途中からどんどん面白くなってくる。
それぞれ一見関係ない話が、有機的に絡んでくるからだ。

  • 闇一重(やみひとえ、2007年4月号)
  • 蛍蜘蛛(ほたるぐも、2007年7月号)
  • 腐屍蝶(ふしちょう、2007年10月号)
  • 罪時雨(つみしぐれ、2008年1月号)
  • 死舞盃(しまいさかずき、2008年4月号)
  • 独静加(ひとりしずか、2008年7月号)
    と6つの短編の連作。

    最初は主人公が誰かもわからないので、漠然とした印象を受けるのだ。
    この次は「フタリシズカ」という作品でも書くのだろうか。

    植物の名前で「ヒトリシズカ」と「フタリシズカ」があるので、ふと思いついたのだ。

宇江佐真理『通りゃんせ』

2014年10月12日 10時03分25秒 | 読書

あらすじ

小仏峠の滝で気を失った二十五歳の青年サラリーマン・大森連は、介抱してくれた時次郎とさなの兄妹から、ここは武蔵国中郡青畑村で、今は天明六年だと告げられる。
驚きつつも江戸時代を懸命に生き抜こうとする連に、さなは想いを寄せていく。
いっぽう連の歴史知識から幕閣の政変を知った時次郎は、村の領主である旗本・松平伝八郎の立場を守ることに成功。
時次郎はいったい何者なのか?天明の大飢饉が迫る中、村の庄屋が殺害される事件が起こる。
現代の知識だけで人々を幸せにすることはできない…。
江戸へ向かった連は、思いがけない再会を果たすが。
連の運命は、そして元の世界には戻れるのか?(紹介文より)

ネットであらすじが拾えたので載せてみたが
多分これは「JIN」へのオマージュみたいな作品なのかなと思い

年代を確認したら、ちょうどテレビドラマが始まった年に書かれていた。


ラストはともかく、途中の江戸時代の描写が切なくて

小説の持つ力を味わえる名作だと思う。





安部公房とわたし

2014年10月12日 09時13分58秒 | 読書

山口果林の自伝。
安部公房の愛人時代を書いたものだが、いいなあ、こういう愛人が欲しいものだ。
あまり嫉妬もせず、美人で、SEXもうまそうだし。
ただ、読んでいてつかれる。
読むのにひと月かかってしまsった。
山本亘に捨てられたのも、そこら辺に原因があるのかもしれない。

まあ、才能もなく、金もないわたしに、こういう女は目もくれないだろう。
安部公房の日常が一部見えたのが面白かった。

昔読んだ時も安部公房作品は、名作という感じを受けなかったが
この自伝を読んで、なぜそんな感じがしなかったのか
少しだけわかる気がした。