出版社のHPから
下落合で弔いを専門とする墓寺、青泉寺。お縁は「三味聖」としてその湯灌場に立ち、死者の無念や心残りを取り除くように、優しい手で亡骸を洗い清める。そんな三昧聖の湯潅を望む者は多く、夢中で働くうちに、お縁は二十二歳になっていた。だが、文化三年から翌年にかけて、江戸の街は大きな不幸に見舞われ、それに伴い、お縁にまつわるひとびと、そしてお縁自身の運命の歯車が狂い始める。実母お香との真の和解はあるのか、そして正念との関係に新たな展開はあるのか。お縁にとっての真の幸せとは何か。生きることの意味を問う物語。
出世花の続編で完結編。
もっと、俗世に生きさせてやる結末でも良かったのではないかと思われるが、真の信心という主題を追いかけた物語だけに、自然とこういう結末となったのであろう。
読めて良かったという小説だ。