貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

あでやかな春の近江!

2020-01-29 09:01:07 | 日記

あでやかな春の近江!

令和2年1月29日

 雪から土砂降り、

そして降り続く雨。

 1月のこの大雨も珍奇!

今朝の多摩川は数倍の水量。

 4月の陽気になるという予想。

 今朝も『酒落堂の記』。

『洒落堂の記』碑。

「山は静かにして性を養ひ、

水は動いて情を慰す。

静・動二つの間にして、

住みかを得る者あり。

 浜田氏珍夕といへり。

目に佳境を尽し口に風雅を

唱へて、濁りを澄まし塵を

洗ふがゆゑに、

酒落堂といふ。

 門に戒幡を掛けて、

「分別の門内に入ることを

許さず」

と書けり。

 かの宗鑑が客に教ゆる

戯れ歌に、一等加へて

をかし。

 且つそれ簡にして方丈なる

もの二間、休・紹二子の侘び

を次ぎて、しかもその矩を見ず。

 木を植ゑ、石を並べて、

かりのたはぶれとなす。

そもそも、おものの浦は、

瀬田・唐崎を左右の袖の

ごとくし、

湖をいだきて三上山に向ふ。

湖は琵琶の形に似たれば、

松のひびき波をしらぶ。

比叡の山、比良の高根を

ななめに見て、

音羽・石山を肩のあたりに

なむ置けり。

長等の花を髪にかざして、

鏡山は月を粧ふ。

淡粧濃抹の日々に変れるが

ごとし。

 心匠の風雲も、またこれに

習ふなるべし。」

 おものの浦は、もと膳所城が

琵琶湖に突き出して立って

いた浜。

 三上山は野洲に位置する

近江富士。

長等山は三井寺の裏山で

桜の名所。

鏡山は月の名所。

 春の近江のあでやかな風景が

目に浮かぶ。

  完璧なセッティングに囲まれた

洒楽堂の主、珍夕の風流を

称えたものである。

 濱田 酒堂(しゃどう)は、

近江蕉門の俳人、

近江国膳所藩の医師。

 風流人の中の風流人。

 芭蕉の挨拶句は、  

「四方より 

  花吹入て 

   鳰の波」  。

  元禄3年(1690)47歳の作。