令和4年2月5日(土)
②では、延宝三年(1680)、
すなわち十年前に、
芭蕉が日本橋小田原町を出て、
江東深川村の草庵に移った時から
現在までの行動が回顧されている。
その文章は、簡潔で動きに富んでいる。
蓑虫の蓑ををウシナウ、
蓑虫の蓑ををウシナウ、
住んでいた家をハナレル、
海岸の暑い日に面をコガス、
荒磯にかかとをヤブル、
湖水の波にタダヨウ、
という動詞尽くしの文章で、
十年の年月の旅を回顧している。
全て否定的で、刹那的な動詞で
自分の過去を綴っていく。
それが俳諧師としての生き方のように!
そして、現在の時制で、
幻住庵で文章を書く芭蕉の姿が
読者にははっきりと見えるように
、文章を閉じている。