地上の萩と天上の月
平成30年12月5日(水)
昨日は、師走の夏日。
小夏日和!
今朝は、いつもの恰好で歩行禅。
途中から、暑くてちょっと気持ち
よくなしとなる。
ちょっと適応にくふうして!
糸魚川は、市振。
桔梗屋の跡へ。
道の駅「親不知」で休憩。
魚センターをうろうろして、
海沿いへの路を下る。
桔梗屋の跡に着く。
奥の細道では、新暦8月26日、
市振の関に泊まる。
北陸道9日間の旅は、「暑湿の労に
神(しん)を悩まし,病おこりて事を
しるさず。」とまで、健脚芭蕉を
苦しめたよう。
「 今日は、親知らず子知らず・犬もどり・
駒返しなどという北国一番の難所を
越えて疲れたので、枕を引き寄せて
寝ていると、一間隔てたおもての方の
部屋から若い女二人の声がしてくる。
年を取った男の声も混じって世間話を
しているのを聞くと、越後の国・新潟と
いう所の遊女であった。
お伊勢参りをするというので、この関
まで男が送って来て、明日は故郷に返す
手紙を書いてちょっとした伝言などを
しているようである。
白波が押し寄せる浜辺の町に遊女と
して身を晒して、漁師の子のごとくひどく
落ちぶれて日々客を取り当ての無い契りを
交わす生活を送る私たちの因縁は何なんだ
ろうなどと言う話を聞きながら寝込んで
しまった。
翌朝旅立つときに、我々に『どう行った
ら良いか分らない旅、不安で悲しくござい
ますので、見え隠れ程度で宜しいですから、
貴方様方のあとを付いて行きたく思って
います。
僧衣をまとっているお情けとして、仏の
大慈をお恵み下さいまして、仏道との縁を
結ばせてくださいませ』と涙ながらに訴える。
『気の毒なことでは有りますが、我々は
あちこち寄り道しながらの旅。
あなた方は、ただ人の流れに任せて
後をついて行きなされ。
伊勢神宮のご加護の下、きっと無事に着く
ことが出来るでしょう』
と言い置いて出発したものの気の毒だった
なぁという気持ちがしばらく納まらなか
った。
「一家(ひとつや)に 遊女もねたり 萩と月」
※一軒の家に我々と共に遊女も寝ていたよ。
まるで、地上の萩と天上の月のような
組み合わせだった。
曾良に話すとそれを記録してくれた。
と記している。