☆昨夜、『少年メリケンサック』を観たのだが、『チェンジリング』が本日公開で、速報性を重視し、先に報告させて頂く。
・・・イーストウッド監督作品である。
今、最も安心して、その新作を観ることができる監督だと思う。
観てみると、驚くほど、その作家性は見られないのだが、映画本来の「ちゃんと物語を語る」・・・、それを徹頭徹尾、完璧に行っている。
それが昨今では貴重な<芸術性>なのである。
さて、その待望の新作『チェンジリング』である。
◇
極上の「映画」であった。
いつも言うことだが、私は完成度の高い作品には語るべき言葉が少ない。
どこから、手をつければいいか分からないのだ^^;
着実な「描写」の積み重ねが、至高へと極まっていた。
例えば、途中で判明する大事件の舞台となった牧場だが、警察が別件で訪れたとき、斧やら鉈やらナイフがカットバックされる。
この後の展開を考えると、あまりにも分かりやすい律儀な描写である。
しかし、それが、最近の映画に欠落しているモンタージュでもある。
◇
主演はアンジェリーナ・ジョリー・・・。
この人、作品によって硬軟の使い分けが達者である。
私は、この方が出演していた『グッド・シェパード』(クリック!)で、この方と知らず、「なんて綺麗な女優なんだ」と思ったら、『トゥーム・レイダー』のララだったので驚いた。
『トゥーム・・・』のワイルドさと、『グッド・・・』の貞淑な雰囲気が、全く、私の心で折り合わなかったのだった。
演技だけでなく、顔かたちも全く変わるんだもんなあ。
今回の作品では、世界恐慌前年の頃のファッション・メイクに身を包み、電話局で働きつつ一人息子を養うシングルマザーを見事に演じている。
先に書いた2作品のハイブリッドのような役柄で、一人息子の失踪を通して、腐敗した警察機構や、それを超越した「運命」と戦う<強い女>である。
私は、リアクションにも時代性があると思う。
主人公クリスティンが、多くの悪い情報を受け、細い手を顔に寄せて、口元をワナワナと震わせて悲しみをあらわにするさまなど、いかにも、その時代の「悲しみのリアクション」に見える。
・・・事実と異なる現実を与えられ、ひたすらに真実を求めようとするクリスティンは、警察の手によって、精神病院に入れられる。
その展開は、私の去年のナンバー1作品『ブラインドネス』を彷彿とさせた。
私は、どうも、極限状況下で、なおかつ、自分を信じ続けられる人間に共感を感じる。
両作品とも、女性が主人公であるのは、時代の流れなのだろう。
◇
クリスティンを助ける牧師をジョン・マルコヴィッチが抑え目の演技で好演していた。
この人はガタイがいいので、更に際立った演技をかますとキャラが立ちすぎるからなあ^^;
◇
ささやかなサイドストーリーとして、過酷な状況に陥ってしまったクリスティンの勤める電話局の上司がいて、控えめにクリスティンへの気遣いを示し続ける。
この作品では、失踪した息子の生存の可能性と、その極限状況下での息子の、人間性を失わない生き方が示され、大きな<希望>を抱けるエンディングとなっている。
しかし、くだんの電話局の上司の、クリスティンへの控えめな愛情が、クリスティン自身のこの先の幸せを案じさせてくれるのが素晴らしいのだ。
◇
イーストウッドは、近日、主演もしているもう一本の作品『グラン・トリノ』の公開が控えているんだよね。
楽しみだ^^v
(2009/02/20)
・・・イーストウッド監督作品である。
今、最も安心して、その新作を観ることができる監督だと思う。
観てみると、驚くほど、その作家性は見られないのだが、映画本来の「ちゃんと物語を語る」・・・、それを徹頭徹尾、完璧に行っている。
それが昨今では貴重な<芸術性>なのである。
さて、その待望の新作『チェンジリング』である。
◇
極上の「映画」であった。
いつも言うことだが、私は完成度の高い作品には語るべき言葉が少ない。
どこから、手をつければいいか分からないのだ^^;
着実な「描写」の積み重ねが、至高へと極まっていた。
例えば、途中で判明する大事件の舞台となった牧場だが、警察が別件で訪れたとき、斧やら鉈やらナイフがカットバックされる。
この後の展開を考えると、あまりにも分かりやすい律儀な描写である。
しかし、それが、最近の映画に欠落しているモンタージュでもある。
◇
主演はアンジェリーナ・ジョリー・・・。
この人、作品によって硬軟の使い分けが達者である。
私は、この方が出演していた『グッド・シェパード』(クリック!)で、この方と知らず、「なんて綺麗な女優なんだ」と思ったら、『トゥーム・レイダー』のララだったので驚いた。
『トゥーム・・・』のワイルドさと、『グッド・・・』の貞淑な雰囲気が、全く、私の心で折り合わなかったのだった。
演技だけでなく、顔かたちも全く変わるんだもんなあ。
今回の作品では、世界恐慌前年の頃のファッション・メイクに身を包み、電話局で働きつつ一人息子を養うシングルマザーを見事に演じている。
先に書いた2作品のハイブリッドのような役柄で、一人息子の失踪を通して、腐敗した警察機構や、それを超越した「運命」と戦う<強い女>である。
私は、リアクションにも時代性があると思う。
主人公クリスティンが、多くの悪い情報を受け、細い手を顔に寄せて、口元をワナワナと震わせて悲しみをあらわにするさまなど、いかにも、その時代の「悲しみのリアクション」に見える。
・・・事実と異なる現実を与えられ、ひたすらに真実を求めようとするクリスティンは、警察の手によって、精神病院に入れられる。
その展開は、私の去年のナンバー1作品『ブラインドネス』を彷彿とさせた。
私は、どうも、極限状況下で、なおかつ、自分を信じ続けられる人間に共感を感じる。
両作品とも、女性が主人公であるのは、時代の流れなのだろう。
◇
クリスティンを助ける牧師をジョン・マルコヴィッチが抑え目の演技で好演していた。
この人はガタイがいいので、更に際立った演技をかますとキャラが立ちすぎるからなあ^^;
◇
ささやかなサイドストーリーとして、過酷な状況に陥ってしまったクリスティンの勤める電話局の上司がいて、控えめにクリスティンへの気遣いを示し続ける。
この作品では、失踪した息子の生存の可能性と、その極限状況下での息子の、人間性を失わない生き方が示され、大きな<希望>を抱けるエンディングとなっている。
しかし、くだんの電話局の上司の、クリスティンへの控えめな愛情が、クリスティン自身のこの先の幸せを案じさせてくれるのが素晴らしいのだ。
◇
イーストウッドは、近日、主演もしているもう一本の作品『グラン・トリノ』の公開が控えているんだよね。
楽しみだ^^v
(2009/02/20)