☆15日からの現シフトになってから、一度たりとも定時帰宅がなくて、今日も忙しかったが、まだまだ残業のところを午後8時半に何とか切り上げ、そのまま会社の制服で、午後9時20分からの『SUPER8/スーパーエイト』のレイトショーを観てきた。
面白かった。
先ず書いておきたいのは、この作品、ジョー・ダンテが監督したかったんじゃなかろうか、と感じた。
でも、結果として、スピルバーグ印の、J・J・エイブラムス監督作で、「片寄らない」正攻法・高品質の作品になっていたと思う。
60年代末期、オハイオの片田舎の町を舞台にしたパニック物語だ。
主人公は、仲間たちとモンスター映画を作ることに夢中の少年だ。
撮影中に、何かしらの大きな裏が感じられる大列車事故に、目撃者として遭遇、物語は進む。
簡単に書いてしまうが、かなり面白かった。
特に、テーマが重層的でありつつ、それらがそれぞれ、見事に結実するストーリー性が上手かった。
仲間との友情とささやかな確執、初恋、それぞれの親との愛情と反目、謎のモンスター、その「ジョーズ」的ななかなか見せないもったいぶり、特殊な科学ギミック、異星人の思い、・・・
それまでのスピルバーグ作品とは違った、また更なる淡白さが感じられたし、そして、やや脚本にご都合主義が見られるも、それはJ・J・エイブラムス監督の「現代性」で押し切れたと思う。
作品の各所では、大震災・原発事故後の日本を彷彿とさせるかのような描写があるので、その「同時代性」にも驚く(もちろん撮影期間は以前なのだが)。
余談だが、NHK朝のドラマ「おひさま」も、東京大空襲を背景に描いた現エピソードのシーン描写の数々が、これまた大震災・原発事故後とリンクしていて興味深い・・・。
さて、主人公のジョー(ジョエル・コートニー)だが、とても可愛い顔をしている。
もうちょい年齢が上ならば、女性陣がキャーキャー喜びそうだ^^
だが、やはり、ヒロインのアリス(エル・ファニング)が登場すると、場を攫(さら)う。
『SAMEWHERE』での美少女振りとは全く異なる現実的な少女っぷり、私は、無免許で父親の車を借りてきて運転しているアリスのハスッパな姿に魅了された。
私は、女の好みの原風景に『がんばれベアーズ』のアマンダがあり、あの少女を取り巻いていたベアーズの面々の落ちこぼれの雰囲気が、この作品にもちょいと感じられ、その中でのアリスの「リアル」な美しさがたまらなかった。
映画作りの仲間たちも、その類型性は薄味で、それが却って良かったな。
町がパニックに陥っている中、仲間たちは映画作りを継続させる。
エンドロールで、その作品が流れるのだが、作品内で撮られたシーンや、その背景が描写させられている状況(アリスのゾンビメイク ← それでも可愛い^^)だけで、ちゃんと作品として完成されていたことに驚く。
主人公が死んだ母親の思い出として後生大事に持っていたロケットネックレスの行く末の、クライマックスでの作劇的な用い方もうまかった。
また、異星人との価値観・風俗の違い(その食物)と、だが、協調できる点(望郷の思い)を両立して描けているのも、アメリカ映画では斬新な気がした。
列車事故や、クライマックスの軍隊の戦闘が、妙に大仕掛けだったが、作品自体はいい感じでコンパクトにまとまっていた。
いい作品ですな^^
ああ、撮り方もフィルムフィルムしていたよね。
(2011/06/24)