『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『インモータルズ -神々の戦い-』を観た]

2011-11-11 23:59:24 | 物語の感想
☆名作『落下の王国』(クリック!)の監督ターセム・シンの最新作だ。

 こりゃ初日に観たいと、午後七時半から歯医者だったのですが、それだとレイトショーでも観れないので、仕事を終えたらすぐに、「時間を間違えちゃいました^^;」と強引に歯医者に行き、治療してもらって、さあ、これより見てきます^^

 予告編などを見ると、ちょいと一抹の不安もよぎるのですが、良作であることを期待し、これより、見てきますね^^

 帰ってきたら、感想をエントリーします^^v

   ◇

 さて、見てきましたよ。

 寸評としては、面白かったが、多くを考えさせられる強烈さはなかった…、が正直なところだ。

 それは、見る前から予想できた。

 物語的には新味のないギリシャ神話を背景にした英雄の物語だからだ。

 古典的物語の再構築であるがゆえに、私は、私が『落下の王国』で感じた、ターセム監督の美学や哲学が出し切れないのでは、と思っていた。

 しかし、序盤から、地下空間の大広間中央に設えられた巨大な黒い箱がドーンと画面上に現われ、それが角の部分から壁面部にカットが流れ、壁面部の格子から、その内部が覗け、そこに封印されたタイタン族たちがめざしの様に串で束ねられ、だが、その目は爛々と輝いているのを見たとき、ターセム美学、全く遜色なし! と思わせられた。

 古典的な物語だが、それを彩る美術には、相変わらず見惚れる。

 クライマックスの舞台である「ダム」屋上の、「どこでもドア」みたいな扉なんて、意味ありそでなさげだけど、アート的にはグッとくる。

 この監督、屋根が好きではないらしい、天井のない夜空の見える廃屋なんてシーンがやたらと多かった。

 もちろん、そういうシーンは、絵画のごとく決まっている^^

 悪の王・ハイぺリオン(ミッキー・ローク)の兜(クワガタ風)や、悪の軍団の被り物のデザインも大胆で良し!

 ・・・だが、作品にテーマ性が感じられなかった。

 まあ、この作品は、与えられた企画で、ターセムの情念(テーマ)を盛り込むまで行かなかったのだろう。

 大学生の頃、西田勝と言う左翼先生に文学の一つの科目を習ったのだが、まあ、左翼先生ではあったが、当時、「成る程なぁ」と思わせられた話に、「文学者には、その体験からのモチーフによって、テーマに昇華できる作品と言うのは、その活動において、せいぜい数件しかない」という話であった。

 つまり、ターセム監督の持つテーマ性は、前作でとりあえず吐き出せたのだろう。

 その希薄さを救うのが、映画『300』を作ったスタッフによる斬新なアクション描写である。

 特に、ギリシャの神々のバトルは、血みどろだが、人体が豆腐のように切断され崩れていく様は見ていて心地良ささえ感じる^^;

 それぞれの神々、その名前が、クライマックスであっても、いちいち字幕で入るのがウザかったが、作品全体を通しての、インド出身の監督主導による、他国で見る者との感覚のズレ(例えば、神々の装束、キャスティング、妙な残虐性などなど)は、却って、新鮮であり良かった。

 神の巫女を演じたフリーダ・ピントーは、いつものごとく美しいが、ギリシャ神話に、明らかなインド系の女性が出てくることについて、ギリシャ人などは面食らわないのだろうか?

 まあ、ギリシャは、国家破綻の真っ最中なので、そのような余計なことを考えている余裕がないのだろうか。

 アテナ(イザベル・ルーカス)も、メリハリのいいアクションと優しげな美貌で良かったなぁ^^

 ただ、ギリシャの神々の派手なバトルは、どうしても英雄テセウスらの人間界の戦いとは、分断されている・・・。

 どうしても神々の戦いのほうが派手で楽しいのだ。

 今回、この作品を見て思ったのが、ターセム監督は、その芸術感覚だけでも作り手としてやっていけるだろう、と言うことだ。

 そう思うと、ターセム監督は、ジョン・ウーみたいなタイプの映像作家なのだと思います^^

                                                     (2011/11/11)
コメント (5)
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