☆なんか、かったるそうで、見る気がなかったのだが、観たら、ヨーロッパの映画のような、なんか淡々とした雰囲気をたたえた傑作であった。
六年を経てから判明した、病院での子供の取り違えに端を発する二つの家族の物語だ。
たとえが突拍子もないが^^; ある意味、「デスノート」的な、1アイディア映画である。
もし世の中に名前を書いたら人が死ぬノートが存在したら・・・、もし自分の子供が病院で取り違いに遭い数年後に判明したら・・・。
普通の生活の中に、なんか「非現実」を一つ放り込んだだけで、当事者の世界は、異常な変容を示す。
なんで、「デスノート」を引き合いに出したかというと、「非現実」に対しての、当事者のリアクションがとても現実的であるということだ(「デスノート」はマンガ的なリアルだが)。
「そして父になる」という作品は、それだけで、物語の最後まで突っ走る。
生温かい画質も、BGMとしての冷静なピアノのメロディも、現実感を盛り上げる。
私が危惧していた「お涙ちょうだい」パターンではなかった。
メイン4人である、ガリレオも、エロいハゲも、カーネーションも、まいちゃんも、それぞれがいい演技をかましていた。
なんで、福山と思われる人物を「そして父になる」と特筆のタイトルにしたのかが分からないのだが、
福山の役だけが、私、「なんで、こいつはこういう態度になるかねぇ・・・?」などと思わされ、
そして、その福山演じる、やや価値観が他のメンバーと相容れない男の変化に感動させられた時、
そのタイトルの意味が理解できたのだ。
福山演じるセレブな父親は、再婚した父親及び再婚相手を認められなかった。
が、「取り違え」で、自分の育てた子・自分の血を分けた子、その周囲の状況に直面していく中で、両親を認められるようになるのだった・・・。
電話で、母親に謝る福山演じる男。
母親を演じるのは風吹ジュンで、「そんな話はいいから^^ 私はあなたと下らない話がしたいわ^^ テレビ見て、あの人はカツラだ! とか、そんな下らない話をしたいわ」と電話の向こうで言う。
そのささやかな万感の思いに、私はちょい泣き。
子供たちの自然な演技も良かった。
特に気に入ったのが、ヤマト君(取り違え相手の弟)だ。
なんか、この子が出てくると、微笑ましくなった^^
(2013/09/29)