☆さて、鬼丸師匠の一席「お見立て」だが、
私、その本題に入る前のまくらの部分に、ちょいと苦言と言うか、マイナスポイントの指摘をしたい。
鬼丸師匠の師匠は、今回の「親子会」でトリに登場する三遊亭圓歌師匠で、その弟子たちはすべからく「歌」の一文字を名前に含んでいる。
しかし、「鬼丸」である。
名前に「歌」の一文字がない^^;
その名に至るまでには、色んな逸話があり、それは鬼丸師匠の高座を聴きにいけば、その話を数回目かには聞けると思うが、ここでは書かない。
で、鬼丸師匠が真打となり、「鬼丸」名を決めてからと言うもの、圓歌師匠がことあるごとに難癖つけてくるのだそうだ。
「お前の名前には『歌』がついてないから、俺の弟子でもなんでもねぇ」などと、わりとグチグチと言い募ってくるのだそうだ。
鬼丸師匠は、「うへ、まただよ・・・」と心の中で思いつつ、顔には笑顔を浮かべ、頭を下げつつやり過ごすのだそうだ。
ちなみに、落語界の弟子と言うものは、師匠を呼ぶのに「○○師匠」などと、敬称に名前を付けることなどはないとのこと。
「圓歌師匠」などと呼ぼうものなら、「ならば、お前にとっての師匠は、他にもいるのかっ? インカ師匠も、アステカ師匠もいるのかよ!」と言う理屈らしい。
話を戻す。
だが、いつもの如く、鬼丸師匠が圓歌師匠から、名前に「歌」の一文字がないことについてクドクドと説教されていたある日のこと、
兄弟子の三遊亭歌橘さんが「しかしながら、お言葉ですが、師匠!」と、弟弟子・鬼丸をかばう発言をし始めたのだそうだ。
ちなみに、三遊亭歌橘さんとのエピソードは、鬼丸師匠、よく「GOGOMONZ」でも語っていまして、いつも爆笑させられています。
それから、もひとつちなみに、私は鬼丸師匠を、私が勝手にラジオでいつも聴いていて親近感を感じているので「師匠」と呼んでいますが、その兄弟子にあたる歌橘さんのことはよく知らないので「さん」付けで勘弁させていただきます。
なお、歌橘さんの顔を、ネット検索で見たら、何故か、大爆笑してしまいました^^
話を戻します。
自分をかばってくれる兄弟子・歌橘の横顔を見て、鬼丸師匠は感動していた。
「さすがは、兄弟子! 弟弟子の苦境を助けてくれるのだな!^^」
歌橘さんは淡々と話し続けます。
「しかしながら、お言葉ですが、師匠! ・・・この間、テレビ出演した時、楽屋のドアに私の名前が張り出されていたんですけど、その私の<歌橘>の名前を見て、局の上層の関係者の方が訪ねてきてくれたんですよ。『あなた、お名前に「歌」の一文字が付いているけど、圓歌さんのお弟子さんかい?』って!^^ 私など、まだまだの芸人ですが、師匠から頂いた「歌」の一文字で、芸に目の肥えた方からも声を掛けて貰えて、とても嬉しいんですよ^^」
・・・、・・・えっ?
・・・えーっ!? 歌橘兄さん・・・、「しかしながら」でも、「お言葉ですが」でも、・・・なんでもないじゃないすか!!
全然、かばってくれていない!^^;
鬼丸師匠は唖然とするのでした・・・。
で、この(↑)歌橘さんの「鬼丸追い込みエピソード」が、私は大好きで、ラジオでも都合二回聞いていたのですが、そのたびに笑わせられたものだった^^
だから、今回の鬼丸師匠、一席の前のまくらで、このエピソードを話し始めたとき、私は「待ってましたぁ!!」と喜んだ。
・・・だが、この時、鬼丸師匠の「歌橘さんによる、鬼丸追い込みエピソード」のオチだが、チョイ滑ってしまった。
爆笑できる話なのに、クスクス笑いで終わってしまったのだ。
私も、いつもの爆笑ルーチンと何かが違うと思った。
大成功に終わったと思われる「親子会」、しかし、私は、ここにおいての「滑り」が気になった。
気になったから、考え続けた。
雲泥の差はあれど、エンターテイナー視線で、この状況を考えてみようと思った。
すると、その答えが出た。
おそらく、少なくとも、「GOGOMONZ」番組内で、この話を2回も話していたし、
鬼丸師匠も、この話を気に入り、寄席で話しても好評を博していたのだと思う。
だが、今回、爆笑に至らなかった。
何故か?
鬼丸師匠は、この、「歌橘さんによる、鬼丸追い込みエピソード」が、まだまだ改良の余地のある、工夫によっては、もっともっと爆笑を得られる小話になり得ると考えたのだと思う。
故に、今回、ちょっとアレンジを変えてみたのかも知れない。
アレンジとは、間(ま)の取り具合や、語彙の変換、言い回しを変えたり、音域を上下広狭させたりすることにある。
例えば、間(ま)の取り方などは、0.01秒単位の違いで、爆笑か沈黙かと言う境界を生んでいると思う。
「(笑いの)神」の領域である。
それが、「計算」によって為されるのか、「感性」によって為されるのか、そこまでは、私、まだ鬼丸師匠を知らない。
その、両方なのだと思う。
そして、この人、まだまだ若いが、とびきりに面白い人物であることは分かる。
だが、今回の、「歌橘さんによる、鬼丸追い込みエピソード」のヴァージョンアップは、成功とは言い難い。
しかし、鬼丸師匠が、現状に安穏とすることなく、日々、ストイックに芸に磨きをかけ続けているのは、よーく分かった。
・・・鬼丸師匠の一席が終わり、中入りとなった。
私は、A子さんの顔をグイッと覗き込みながら問うた。
「鬼丸師匠、面白いべ?^^」
すると、A子さん、素直な顔で「うんッ!^^」と言った。
「落語って、凄いべ?」
「うん!^^ ただ、まわりの笑い声で、聞き取りにくいときがあるのが悔しかったよぅ」
・・・続いて、「(笑いの)神の領域」をいとも簡単に引きつける能力を会得している男・三遊亭圓歌が登場した・・・。
(2012/11/03)
私、その本題に入る前のまくらの部分に、ちょいと苦言と言うか、マイナスポイントの指摘をしたい。
鬼丸師匠の師匠は、今回の「親子会」でトリに登場する三遊亭圓歌師匠で、その弟子たちはすべからく「歌」の一文字を名前に含んでいる。
しかし、「鬼丸」である。
名前に「歌」の一文字がない^^;
その名に至るまでには、色んな逸話があり、それは鬼丸師匠の高座を聴きにいけば、その話を数回目かには聞けると思うが、ここでは書かない。
で、鬼丸師匠が真打となり、「鬼丸」名を決めてからと言うもの、圓歌師匠がことあるごとに難癖つけてくるのだそうだ。
「お前の名前には『歌』がついてないから、俺の弟子でもなんでもねぇ」などと、わりとグチグチと言い募ってくるのだそうだ。
鬼丸師匠は、「うへ、まただよ・・・」と心の中で思いつつ、顔には笑顔を浮かべ、頭を下げつつやり過ごすのだそうだ。
ちなみに、落語界の弟子と言うものは、師匠を呼ぶのに「○○師匠」などと、敬称に名前を付けることなどはないとのこと。
「圓歌師匠」などと呼ぼうものなら、「ならば、お前にとっての師匠は、他にもいるのかっ? インカ師匠も、アステカ師匠もいるのかよ!」と言う理屈らしい。
話を戻す。
だが、いつもの如く、鬼丸師匠が圓歌師匠から、名前に「歌」の一文字がないことについてクドクドと説教されていたある日のこと、
兄弟子の三遊亭歌橘さんが「しかしながら、お言葉ですが、師匠!」と、弟弟子・鬼丸をかばう発言をし始めたのだそうだ。
ちなみに、三遊亭歌橘さんとのエピソードは、鬼丸師匠、よく「GOGOMONZ」でも語っていまして、いつも爆笑させられています。
それから、もひとつちなみに、私は鬼丸師匠を、私が勝手にラジオでいつも聴いていて親近感を感じているので「師匠」と呼んでいますが、その兄弟子にあたる歌橘さんのことはよく知らないので「さん」付けで勘弁させていただきます。
なお、歌橘さんの顔を、ネット検索で見たら、何故か、大爆笑してしまいました^^
話を戻します。
自分をかばってくれる兄弟子・歌橘の横顔を見て、鬼丸師匠は感動していた。
「さすがは、兄弟子! 弟弟子の苦境を助けてくれるのだな!^^」
歌橘さんは淡々と話し続けます。
「しかしながら、お言葉ですが、師匠! ・・・この間、テレビ出演した時、楽屋のドアに私の名前が張り出されていたんですけど、その私の<歌橘>の名前を見て、局の上層の関係者の方が訪ねてきてくれたんですよ。『あなた、お名前に「歌」の一文字が付いているけど、圓歌さんのお弟子さんかい?』って!^^ 私など、まだまだの芸人ですが、師匠から頂いた「歌」の一文字で、芸に目の肥えた方からも声を掛けて貰えて、とても嬉しいんですよ^^」
・・・、・・・えっ?
・・・えーっ!? 歌橘兄さん・・・、「しかしながら」でも、「お言葉ですが」でも、・・・なんでもないじゃないすか!!
全然、かばってくれていない!^^;
鬼丸師匠は唖然とするのでした・・・。
で、この(↑)歌橘さんの「鬼丸追い込みエピソード」が、私は大好きで、ラジオでも都合二回聞いていたのですが、そのたびに笑わせられたものだった^^
だから、今回の鬼丸師匠、一席の前のまくらで、このエピソードを話し始めたとき、私は「待ってましたぁ!!」と喜んだ。
・・・だが、この時、鬼丸師匠の「歌橘さんによる、鬼丸追い込みエピソード」のオチだが、チョイ滑ってしまった。
爆笑できる話なのに、クスクス笑いで終わってしまったのだ。
私も、いつもの爆笑ルーチンと何かが違うと思った。
大成功に終わったと思われる「親子会」、しかし、私は、ここにおいての「滑り」が気になった。
気になったから、考え続けた。
雲泥の差はあれど、エンターテイナー視線で、この状況を考えてみようと思った。
すると、その答えが出た。
おそらく、少なくとも、「GOGOMONZ」番組内で、この話を2回も話していたし、
鬼丸師匠も、この話を気に入り、寄席で話しても好評を博していたのだと思う。
だが、今回、爆笑に至らなかった。
何故か?
鬼丸師匠は、この、「歌橘さんによる、鬼丸追い込みエピソード」が、まだまだ改良の余地のある、工夫によっては、もっともっと爆笑を得られる小話になり得ると考えたのだと思う。
故に、今回、ちょっとアレンジを変えてみたのかも知れない。
アレンジとは、間(ま)の取り具合や、語彙の変換、言い回しを変えたり、音域を上下広狭させたりすることにある。
例えば、間(ま)の取り方などは、0.01秒単位の違いで、爆笑か沈黙かと言う境界を生んでいると思う。
「(笑いの)神」の領域である。
それが、「計算」によって為されるのか、「感性」によって為されるのか、そこまでは、私、まだ鬼丸師匠を知らない。
その、両方なのだと思う。
そして、この人、まだまだ若いが、とびきりに面白い人物であることは分かる。
だが、今回の、「歌橘さんによる、鬼丸追い込みエピソード」のヴァージョンアップは、成功とは言い難い。
しかし、鬼丸師匠が、現状に安穏とすることなく、日々、ストイックに芸に磨きをかけ続けているのは、よーく分かった。
・・・鬼丸師匠の一席が終わり、中入りとなった。
私は、A子さんの顔をグイッと覗き込みながら問うた。
「鬼丸師匠、面白いべ?^^」
すると、A子さん、素直な顔で「うんッ!^^」と言った。
「落語って、凄いべ?」
「うん!^^ ただ、まわりの笑い声で、聞き取りにくいときがあるのが悔しかったよぅ」
・・・続いて、「(笑いの)神の領域」をいとも簡単に引きつける能力を会得している男・三遊亭圓歌が登場した・・・。
(2012/11/03)