日々雑感 ~写真と思い~

今日と言う日は、二度と来ない。 
だから今日を大切に・・そんな私のデジカメ散歩 

* 平山郁夫さんの訃報に接し・・ *

2009年12月02日 | 雑感

昼下がり、ラジオを聞きながら部屋で用事をしていたとき平山郁夫さんの訃報を聞いた。
何かしら急に一抹の寂しさを覚えたのは、ふるさと生口島出身であることの親近感からだろうか。
お会いしたことはないが、自分の中ではすごく誇らしく(同郷なのだと言う)世界に名前がいきわたるほどに、
嬉しくて嬉しくて、美術館の中で作品をまじかで拝見したときの感動を思い出しながら嬉しく思っていた。

生口島で弟さんが館長をされている”平山郁夫美術館”には、何度か夫や身内と訪ねたことがある。
幼少の頃の絵日記から、現代に至るまでの平山さんの足跡である2000点あまりの作品が展示
平和への情熱、絵に多く使われたこだわりの蒼色に拘られた石も見ることができた。
私が高校へ通った3年間、毎日島を一周していたかのような風光明媚な生口島である、
瀬戸内海や山並み、瀬戸田の町並みなどは特に、あまりにも近くて、それらを描かれているのが、
まさに巨匠、世界的に有名な日本画家平山郁夫さんなんて。 どう言っても、嬉しくて仕方が無い。



平山さんの写真集を二冊、宝物のように持っている。 
一冊は図録”平山郁夫作品集”昭和34年から平成18年までの作品の中から、240ページに渡り150点あまり。
全国21都市で開催された”シルクロード展”は、行かれた方も多いのではと思う。
絵は荘厳である。 人々の平和を願われる平山さんの絵は祈りのような気がする。
A4サイズの大きさとページの重さに、悲しいと感じてい今である。 

もう一冊は”しまなみ海道五十三次”これはちょうど10年前、しまなみ海道が開通してから書き溜められた、
瀬戸内海の景色や島々を繋ぐ橋を含めたしまなみ海道のスケッチや素描、水彩画67点の作品である。     
そんな作品の数々を美術館で目の辺りに拝見させていただき、写真集を改めて見せていただくと、
描かれた場所は懐かしくて郷愁をそそられる。
瀬戸田港の桟橋付近に、描かれた場所と同じ絵が刻まれた石碑などもあった。

美術館を訪ねても石碑や写真集を目にしても、お元気でおられる平山さんを想像しながら
拝見させていただくのと、亡くなられたこれからでは気持ちが違ってくる。 
実家にも平山さんの絵が掛けてあるが、私も写真や絵葉書、蒼の絵のマウスパットを使っている。
もうこの世にはおられないのだ。 病に臥されても絵筆を握っておられたと言う。
これからの絵はもう見られない、平山さんの絵は偲ぶ絵になってしまった。
素晴らしい巨匠、画家として人として関係ある方々出会われた多くの方の無念は大変なものであろう。
特に町の人たちの驚きや悲しみははかり知れない。 
偉そうかもしれないが、紳士であり、また心深く生口島の風景のようにやさしくて穏やかな素晴らしい
人生を数多くの絵に残された平山郁夫さんの精神や魂は、永遠に人々の心に残るであろう。
平山さんを検索する毎に、測り知れないほどに涙が出るほどに偉大な方であったことを深く思い知らされる。

12月20日まで、瀬戸田町の平山美術館では”秋の特別展 平山郁夫 幻想美の世界”が開催されている。
良かった・・開催の間で。 より多くの方々が平山さんの死を悼み訪ねられることであろうか。
我がふるさとの自慢であり大きな誇りとさせていただいている平山郁夫さんのご冥福を心からお祈り致します。

この国はどこへ行こうとしているのか」 1月掲載の記事より。