◉ 宝鐸の花 (ほうちゃくのはな)・宝鐸草 (ほうちゃくそう)・狐の提燈 (きつねのちょうちん)
木をめぐり宝鐸草へ蝶降りる ・・・・・ 井橋照々
狐の提灯古みち失せて咲きにけり ・・・・・ 水原秋桜子
山役人となり宝鐸の花を知る ・・・・・ 鳥羽山人
五月ごろ、枝分かれした枝の先に、
白色で先端が淡緑色の細長い筒状の花を1~3個下向きに付けます。
花被片は互いに接してわずかに先が開き、基部まで裂けます。
宝鐸草も狐の提灯も花の形から命名されたと言われています。
宝鐸は堂塔の四隅などに吊るして飾りとする大形の大鈴(風鐸)のことです。
また俗名の狐の提灯の名で親しまれています。
地味ですが、静かな趣のある花です。
[ イヌサフラン科ホウチャクソウ属の多年草 ]
宝鐸草雨よく降れば鮮やかに ・・・・・ みなみ
お茶花に母が用いていたことを思い出します。
何度も移動していますが、丈夫で毎年花を咲かせています。
ホウチャクソウ (宝鐸草)
北海道~九州にかけて、
山地や丘陵の林内に自生します。
草丈は、30~60cm。
根茎は小形で匍匐枝を出し、
茎は直立して、上部で分枝します。
葉は、柄が無く、長楕円形で長さ5~15㎝、幅1.5~4㎝、
先は尖り、基部は円く、表面には光沢があって、互生します。
花期は、4~5月。
枝先に短い花柄を持ち、長さ2.5~3㎝の筒状花を1~3個垂れ下がって付きます。
花披片は倒披針形で外花被片3枚と内花被片3枚、互いに接して筒状に集まり、先がわずかに開きます。
基部は白色でふくらみ、先は緑色を帯びます。
雄しべは6本、葯は淡黄色、
花柱は無毛で先端が3裂して花被片とほぼ同じ長さです。
果実は、液果で径約1㎝の球形、黒く熟します。
有毒と言われています。
名は、花の形を寺院の軒下に下がっている宝鐸に見立てて付いたそうです。