しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

ヤブツバキ ( 藪椿 )

2016-02-12 |  2月 の花たち

                           ↑ 2015/03/24 撮影…A株

〃…B株

2014/04/10 撮影…C株

[ ツバキ科ツバキ属の常緑高木 ] 

日本では、
本州~沖縄にかけて、
海岸~山地までの温暖な照葉樹林に広く自生します。
樹高は、5~15m。
樹皮は褐灰色で滑らか、枝は分枝します。
葉は、無毛の柄を持ち、長さ5~11cmの楕円形または卵形長楕円形、
先が短く尖り、質は硬く厚く緑色、表面に光沢があって、
縁に細かい鋸歯があり、互生します。
花期は、2~4月 (温帯では晩秋も)。
枝先の葉腋に赤い漏斗状の5~6弁花を半開して付けます。
花冠は筒状で、花弁上部が外側に反り返るものもあります。
多数の雄しべの白い花糸が筒状になり、花弁の基部と合着しています。
子房には毛がありません。
果実はさく果、径2~3cmの球形で光沢があり、熟すと3裂します。
『万葉集』に春の花を代表する1つとして詠まれました。
江戸時代には、将軍徳川秀忠がツバキを好んこともあり、
一般にもヤブツバキの栽培が広がって、
多くの観賞用品種が作られました。
現在も、観賞用の花木として、
日本のツバキの原種と他のツバキ属との交配から、
わが国および諸外国で多くの園芸品種が栽培されています。
古来、椿は霊力が宿る木として、神社やお寺にも植えられました。
庭木・公園樹・街路樹などにも利用され、また茶花として好まれています。
種子からは良質の油が採れ、
材は堅く緻密なので、縄文時代から石斧の柄や櫛として用いられ、
工芸品や細工物などに使われています。
名は、葉がつやつや光る木の意味で、艶葉木(つやばき)または厚葉木(あつばき)・津葉木(つばき)から付いたそうです。
別名 ; ツバキ(椿・海柘榴)・ヤマツバキ(山椿)

春の訪れを告げる大きな花。
紅い花弁の中央に鮮黄色の花粉が目立つ白い筒蘂(つつしべ)の花が、
艶のある濃緑色の葉に映えます。
存在感のある花なのに、
一重咲きのもの静かな趣もあります。


                                            2015/03/24 撮影
…A株‥つぼみ



…開花

…B株‥開花


<  2014 年  >
C株

2014/03/22 撮影
2014/03/24 撮影
2014/03/31 撮影

2014/04/01 撮影


2014/04/02 撮影

2014/04/04 撮影

2014/04/05 撮影


2014/04/06 撮影

2014/04/08 撮影

〃…落椿
2014/04/09 撮影
2014/04/10 撮影
2014/04/10 撮影
2014/04/14 撮影
2014/04/22 撮影



 ツバキ (椿・海柘榴) 
 ツバキとはツバキ科ツバキ属の常緑高木数種の総称です。

ー 野生種

ヤブツバキ (藪椿)
日本のツバキの原種で、
本州・四国・九州・朝鮮半島南部の海岸地帯に自生し、高木です。
短い葉柄は無毛です。
花は径5~8㎝の赤い漏斗ロウト状で、
雄しべの白い花糸は筒状に合着する筒しべです。
多くは花弁が基部でつながっていてがくを残して丸ごと落ちます。

ユキツバキ (雪椿)
ヤブツバキの変種という見方もあり、
本州の日本海側の多雪地帯の山地に自生します。
樹高は、1~3m。
樹の姿は株立ちで低く、枝は柔軟性があります。
葉は短い有毛の柄をもち、長楕円形または楕円形で先はするどく尖り、
質は薄くて艶があり、葉脈が透けて見え、
縁に鋭い鋸歯があって、互生します。
花期は、4~5月。
花は小振りの濃い紅色で平開咲きで、白花のものもあります。
雄しべの黄色い花糸は短く、基部近くまで切れ込んでいて基部より離れる、ユキ芯です。
実はさく果です。
名は雪の多い地方に生えることから付いたそうです。
別名:オクツバキ・ハイツバキ・サルイワツバキ 

ユキバタツバキ (雪端椿)
ヤブツバキとユキツバキが接触する中間地帯に自生します。
ヤブツバキとユキツバキの自然交雑によってできたと考えられる雑種群は、
様々な中間種を示します。
葉柄は短くて無毛です。
おしべの花糸は短い筒があります。

リンゴツバキ (林檎椿)
四国の高知県と九州南部~沖縄にかけて自生します。
樹高は、5~6m。
葉はヤブツバキよりやや小さいです。
花期は、2~4月。
花はヤブツバキよりやや小さく紅色の一重筒咲きです。
果実は直径5~6㎝に大きく、熟すと赤く色付きます。
名は椿の実より大きくなって林檎に似ていることから付いたそうです。
別名:ヤクシマツバキ(屋久島椿)


ー園芸品種ー
日本原産の椿は、
江戸時代前半より野生種をもとにして数多くの園芸品種が作り出されました。
ヤブツバキを中心に、各地で品種改良が行われて独特の園芸品種が生まれました。
花の咲き方や色、葉にも変化が多く、変異を見つけて育成しました。
18世紀には欧米に渡り「西洋椿」と呼ばれる品種が多く作出され、
今では世界の多くの国々で栽培されています。
ヤブツバキ系、ユキツバキ系、ワビスケ系(ヤブツバキとピタールツバキの雑種)などがあります。
品種により咲く時期が大きく異なり、
秋咲きは9月から咲き始め、5月まで咲いている春咲きなどがあります。
花形は一重咲き(猪口咲き、筒咲き、抱え咲き、百合咲き、ラッパ咲き、桔梗咲き、椀咲き、平開咲き)から八重咲き(唐子咲き、八重咲き、千重咲き、蓮華咲き、列弁咲き、宝珠咲き、牡丹咲き、獅子咲き)などがあります。
また花の大きさも極大輪・大輪・中輪・小輪・極小輪などがあります。


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沈丁花 ( じんちょうげ ) <季> 仲春

2016-02-01 |  春の草木 の 俳句

◉ ちょうじぐさ・瑞香(ずいこう)・沈丁(じんちょう)・丁字(ちょうじ)

沈丁の香の石段に佇みぬ ・・・・・ 高浜虚子 [六百句]
ぬかあめにぬるゝ丁字の香なりけり ・・・・・ 久保田万太郎 [流寓抄]
沈丁の香の強ければ雨やらん ・・・・・ 松本たかし [松本たかし句集]

生垣や庭園などに植えられ、
厚く光沢のある葉の上に紫赤色の蕾を付け、
冬を越して翌年の早春に開花します。
紫赤色の蕾が咲くと内側は白色で、花弁に見えるのはがくです。
どこからともなく漂う馥郁とした香りに花の咲いたことに気づきます。
沈香や丁子に似た香りから丁子・沈丁ともよばれ、
高い香気は俳句に多く詠まれています。
漢名は瑞香、香りが沈香で、姿が丁字に似ています。
   
  [ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木・中国原産]

小雨やみ沈丁の香のことのほか ・・・・・ みなみ

ジンチョウゲ ( 沈丁花 )
日本には、
室町時代の中期以降に渡来しました。
樹高は、60~100cm。
根元から枝分かれして葉が密に茂り樹形を球状に整えます。
葉は、長楕円形の革質で先端が尖り、
表面に光沢があります。
雌雄異株、日本にある木はほとんどが雄木なので種子はできにくく、
挿し木で増やします。
花期は、3~4月。
枝の先端に紫紅色の小さな花を球状にまとめて付け、
強い芳香を放ちます。
がく筒の先が4裂した花で、内面は白く、
雄しべが8個あります。
果実は、まれに付き、楕円形で、7月に赤く熟します。
庭木のほか、鉢植えにもされます。
移植が難しい木の代表的なものと言われます。。
園芸品種には、シロバナジンチョウゲ・ウスイロジンチョウゲ・
葉の縁が白いフクリンジンチョウゲ・
シロバナフクリンジンチョウゲなどがあります。
名は、花の香りが沈香、花姿が丁字に似ているので
付いたそうです。


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