しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

ギボウシ ( 擬宝珠 ) (1) ……草庭の「筋擬宝珠・大葉擬宝珠・徳玉・ 他」

2013-06-30 |  6月 の花たち

                         ↑ 2013/06/24 撮影… スジギボウシ

2013/06/22 撮影…スジギボウシ

 2013/06/30 撮影…オオバギボウシ

2015/06/04 撮影…トクダマ 

[ キジカクシ科ギボウシ属の総称・多年草 ; 東アジア原産]
( 旧分類ではユリ科でしたが、新分類によればキジカクシ科へと変更されています。)

草庭の擬宝珠たちの品種名はよく解りませんが、
以前から植わっていた物で、
スジギボウシ(筋擬宝珠)・オオバギボウシ(大葉擬宝珠)・トクダマ(徳玉)ではないかと思います。
それにタマノカンザシ(玉の簪)と最近加わったホソバギボウシ(細葉擬宝珠)・ヒメギボウシ(姫擬宝珠)などです。
何度も移殖しましたが、枯れずに丈夫です。
スジギボウシは6月20日~7月21日までの約1ヶ月間、
花茎を伸ばしながら咲き継ぎ、
花茎の長さは118㎝になりました。

スジギボウシ(筋擬宝珠)   
交雑種で、江戸時代から栽培されてきました。   
草丈は、約30cm。
葉は、広い卵形で、 主脈の周囲に白色または黄白色の縦斑が入り、
縁が波打っています。
春先の葉は不規則な白筋斑が入りますが、
夏になると斑の色が薄くなり、緑葉に近くなります。
葉は、長さ20㎝前後で中型種です。
花期は、6~7月。
花茎を立ち上げ、
その上部に、漏斗状筒形で先端が6裂した淡紫色の花を付けます。
花弁には何本かの細い紫のスジが入っています。
雄しべ雌しべが花弁の外に出ています。
日本各地で栽培され、
公園・庭や花壇・鉢植え・グランドカバーなどに利用されています。
名は、葉に白い筋があることから付いたそうです。

 2013/06/28 撮影

 2013/04/22 撮影

 2013/06/18 撮影…つぼみ  〃  〃  〃  〃 

 2013/06/20 撮影…咲き始める

 2013/06/22 撮影  〃

 2013/06/23 撮影

 〃  2013/06/24 撮影  〃  〃

 2013/06/26 撮影…雨の日々  〃

 2013/06/27 撮影

 2013/06/28 撮影  〃  〃…苞

 2013/06/30 撮影

 2013/07/02 撮影

 2013/07/03 撮影

 2013/07/04 撮影  〃  〃

 2013/07/06 撮影

 2013/07/07 撮影

 2013/07/09 撮影  〃

 2013/07/10 撮影  〃  〃

 2013/07/11 撮影

 〃  〃

 2013/07/13 撮影  〃  〃

2013/07/14 撮影  〃  〃

 2013/07/15 撮影  〃  〃

 2013/07/16 撮影  〃  〃

 2013/07/17 撮影  〃  〃

 2013/07/18 撮影  〃  〃

 2013/07/19 撮影  〃  〃

 2013/07/21 撮影  〃  〃

 2013/07/22 撮影…昨日の萎んだ花  〃  〃

 2013807/24 撮影

2013/07/26 撮影

 2013/07/28 撮影  〃

 2013/07/29 撮影

 2013/07/31 撮影 

2013/08/31 撮影…立ち上がって来た花茎


< 2011 年 >
2011/03/25 撮影・・・芽生え

 < 2010 年 >
2010/06/26 撮影

2010/06/29 撮影

 

オオバギボウシ(大葉擬宝珠)  
北海道西南部~九州にかけて、
山地や草原に自生します。
草丈は、50~100㎝。
根茎は、太く短く、横に這います。
葉は、すべて根出葉で、 長い柄を持ち、
広い楕円や円形で先端が少しとがり、 
表面には葉脈が目立ちます。
葉は長さ30~40㎝で大型種です。 
花期は、6~8月。
根出葉から長い花茎を立て、
上部に淡紫色の漏斗状筒形の花を数個、
ほぼ同方向を向いて付けます。
花柄の長さは10~25㎜、
花被の長さは約5㎝で淡紫色または白色です。 
下半部は癒着して狭い筒型を作りますが、
上半部は急に広くなり、先端は6裂します。
雄しべは6個、花被より少し出て、先は上に曲がり、
葯は丁字形に付きます。
雌しべは約6㎝で、花柱の先は上に曲がり、 花被より出ます。
果実は朔果で、種子は扁平・黒色です。
一日花で夕方萎みます。
花茎の苞は、水平に開出します。
山形県寒河江市で発見された変異種の「サガエ」は、
葉に黄色い縁取りが入ります。 
若葉は「ウルイ」と呼ばれ、
山菜としてお浸し・天麩羅・和え物などに利用され、 蕾も食べられます。 
名は、日本原産のギボウシ類の中で、 葉がもっとも大形なので付いたそうです。
別名 : トウギボウシ(唐擬宝珠)・ハヤザキオオバギボウシ・ ウノハナギボウシ・ウツリギボウシ
* 太平洋側のものをオオバギボウシ、
日本海側のものをトウギボウシとする説もあります。

 2013/06/28 撮影 

 2013/06/23 撮影

 2013/06/24 撮影…つぼみ  〃 〃  〃…開花  〃

 2013/06/27 撮影  〃

 2013/06/28 撮影

 2013/06/29 撮影  〃

 2013/06/30 撮影

 2013/07/02 撮影

 2013/07/03 撮影

 2013/07/04 撮影

 2013/07/06 撮影

 2013/07/07 撮影

 2013/07/09 撮影

 2013/07/10 撮影

 2013/07/11 撮影

 2013/07/13 撮影

 2013/07/14 撮影

 2013/07/15 撮影

 2013/07/16 撮影

 2013/07/17 撮影

 2013/07/18 撮影

 2013/07/19 撮影

 2013/07/21 撮影

 2013/07/22 撮影 〃…萎んだ花

 2013/07/26 撮影

 2013/07/28 撮影  2013/07/29 撮影

 2013/07/31 撮影

2013/09/01 撮影…日々立ち上がって来た花茎

 

トクダマ(徳玉) 
オオバギボウシの変種で、
葉は丸く粉白色・青味を帯び、花は白~薄紫色です。
名は葉が丸いので付いたそうです。  

 2013/06/29 撮影

 2016/04/19 撮影

 2016/04/21 撮影

 2016/05/02 撮影

2015/06/04 撮影 

2016/06/09 撮影 

 2016/06/11 撮影  

 

タマノカンザシ(玉の簪)   
  「 8月の花たち・玉の簪 」参照

 2014/08/18 撮影  

 

ホソバギボウシ(細葉擬宝珠)  ?
お花屋で「ホソバギボウシ」と名札の付いたものを求めたのですが、
屋久島擬宝珠(やくしまぎぼうし)では…? と思われます。
  「 8月の花たち・屋久島擬宝珠 」参照

2016/07/28 撮影

2016/08/12 撮影

 

ヒメギボウシ(姫擬宝珠) ?
草もの盆栽展で「ヒメギボウシ」と名札が付いて頒布していました。
調べましたが解りませんでした。

2020/07/11 撮影

<  2019 年  >
2019/05/12 撮影

2019/07/06 撮影

2019/07/13 撮影

2019/09/12 撮影…また蕾を付けました 


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ギボウシ ( 擬宝珠 ) (2)

2013-06-27 |  6月 の花たち

                           ↑ 2013/06/29 撮影

2013/06/26 撮影

[ キジカクシ科ギボウシ属の総称・多年草 ; 東アジア原産]
( 旧分類ではユリ科でしたが、新分類によればキジカクシ科へと変更されています。)

東アジアに約60種分布し、
最も多くの種が自生する日本には40種ほどあり、
その中がさらに白や黄色の斑入り葉に分かれるなど、
鑑賞価値の高い園芸品種も多数あります。
観賞用の園芸品種は古く江戸時代から栽培され、
シーボルトによってオランダに持ち込まれ、
ヨーロッパに紹介されました。
それにより多くの品種が欧米に渡り、
ヨーロッパ・アメリカで品種改良が盛んにおこなわれ、
属名のホスタの名で広く流通しています。
葉の形・株の大きさ・花などに変化があり、
病虫害も少なく、 半日陰の庭や公園などに多く植栽されています。
葉は、すべて根出葉で長い柄を持ち、
通常広い楕円~卵円形で先端が少しとがっていて、
数本の縦脈があります。
初夏、苞葉のある花茎を伸ばし、
苞葉の腋に、漏斗状筒形の花を普通1個ずつ、
総状に付けます。
花冠は6裂し、 色は、白色・淡紫色・紫色などで、
香りの良い品種もあります。
果実は朔果です。
一日花で、朝に開花し夕方萎みます。
冬には地上部が枯れます。
コバギボウシ・オオバギボウシ・イワギボウシなどがよく見られ、
トクダマ・タマノカンザシなどは観賞用に栽培されています。
小型種 ・中型種・大型種という分け方もされます。
名は、蕾の形が、橋の柱頭などについている擬宝珠(ぎぼし)に似ていることから付いたそうです。

 

ー ギボウシの種類(例示) ー

コバギボウシ(小葉擬宝珠)
日本では、 北海道~九州にかけて、
山地の日当たりの良い湿地に自生します。
草丈(花茎高)は、30~100cm。
葉は、すべて根出葉で、 長い柄を持ち、長楕円形~卵円形で光沢がなく、
表面の脈は窪みます。
葉丈は10~20㎝で小型種 です。
花期は、7~8月。 
盛夏に、漏斗状筒形で淡紫色の花をやや下向きに咲かせ、
内側に濃紫色の脈が目立ちます。
江戸時代に作られた園芸品種の、
葉に白い縁取りが入る「ブンチョウコウ(文鳥香)」、
葉が黄色で縁が緑色の「カビタン」、 
葉に斑が入る「万総」など、多数の品種があります。
名は、葉が小さいギボウシであることから付いたそうです。

オオバギボウシ(大葉擬宝珠) 
北海道西南部~九州にかけて、
山地や草原に自生します。
草丈(花茎高)は、50~100cm。
根茎は、太く短く、横に這います。
葉は、すべて根出葉で、 長い柄を持ち、
広い楕円や円形で先端が少しとがり、
葉面には葉脈が目立ちます。
葉は長さ30~40㎝で大型種です。
花期は、6~8月。
根出葉から長い花茎を立て、
上部に淡紫色の漏斗状筒形の花を数個、
ほぼ同方向を向いて付けます。
花柄の長さは10~25㎜、 
花被の長さは約5㎝で淡紫色または白色、
下半部は癒着して狭い筒型を作り、
上半部は急に広くなり、先端は6裂します。
雄しべは6個、花被より少し出て、
先は上に曲がり、 葯は丁字形に付きます。
雌しべは、約6㎝、花柱の先は上に曲がり、 花被より出ます。
果実は朔果で、種子は扁平・黒色です。
一日花で夕方萎みます。
花茎の苞は、水平に開出します。
山形県寒河江市で発見された変異種の「サガエ」は、
葉に黄色い縁取りが入ります。 
若葉は「ウルイ」と呼ばれ、
山菜としてお浸し・天麩羅・和え物などに利用され、 蕾も食べられます。 
名は、日本原産のギボウシ類の中で、葉がもっとも大形であることから付いたそうです。
別名 ; トウギボウシ(唐擬宝珠)・ハヤザキオオバギボウシ・ ウノハナギボウシ・ウツリギボウシ
* 太平洋側のものをオオバギボウシ、
   日本海側のものをトウギボウシとする説もあります。

トクダマ(徳玉) 
オオバギボウシの変種で、
葉は丸く粉白色・青味を帯び、
花は白~薄紫色です。
名は葉が丸いことから付いたそうです。 

イワギボウシ(岩擬宝珠) 
本州の関東~東海地方にかけて、
山地の水辺や湿った岩場・樹上に自生します。
草丈は、約30cm。
葉は、紫の斑点を密に付けた長い柄を持ち、
楕円形~卵円形で、質が厚く表面には光沢があります。
花期は、8~9月。
長い花茎を斜めに出し、
上部に漏斗状筒形の淡紅紫色の花を数個付けます。
花冠は6裂し、先が反り返ります。
葉の斑の変異などにより、「奥久慈」・「武甲剣」・「白雲閣」などといった数多くの園芸品種があります。
また、本州近畿・四国地方に自生する 変種の「ヒメイワギボウ」は、
草丈が15~30㎝、花期は8~9月、 小型なので鉢植えに向いています。
名は、山中の湿った岩壁に生えることから付いたそうです。

スジギボウシ(筋擬宝珠) 
交雑種で、
江戸時代から栽培されてきました。
草丈は、約30cm。
葉は、広い卵形で、 主脈の周囲に白色または黄白色の縦斑が入り、
縁が波打っています。
春先の葉には不規則な白筋斑が入りますが、
夏になると斑の色が薄くなり、
緑葉に近くなります。
葉丈は20㎝前後で中型種です。
花期は、6~7月。
初夏に花茎を立ち上げ、
その上部に、漏斗状筒形で先端が6裂した淡紫色の花を付けます。
花弁には何本かの細い紫のスジが入っています。
また、雄しべ雌しべが花弁の外に出ています。
日本各地で栽培され、
公園・庭や花壇・鉢植え・グランドカバーなどに利用されています。
名は、葉に白いすじがあることから付いたそうです。

ミズギボウシ(水擬宝珠)   
日本固有種で、
本州愛知県以西~九州にかけて、
水辺の湿地などに自生します。   
草丈は、40~60cm。
葉は、柄のない根出葉が叢生します。
線状倒披針形で長さ15~20㎝、幅約2㎝、
無毛で光沢があり、基部は直立します。
日本のギボウシ属の中で最も狭い葉を持ち、
葉丈は15~20㎝で小型種です。 
花期は、8~9月。
花茎は直立し、その上部に、漏斗状筒形で淡紫色の花を少数総状に付けます。
花の付き方は、横向きでまばらです。 
花柄の長さは4~6㎜、花被の長さは3.5~5㎝で、 下半部は癒着して狭い筒型を作り、
先端は6裂します。
花の内側には濃紫色の脈があります。
花柄基部の苞は小さく舟形にくぼみ、
斜めに立ち開出しません。
果実は朔果で、種子は扁平・黒色です。
また、白花種のシロバナミズギボウシがあります。
名は、水辺に生えることから付いたそうです。
別名 ; ナガバミズギボウシ(長葉水擬宝珠)・サジギボウシ(匙擬宝珠)

タマノカンザシ(玉の簪) 
原産地は中国。
タマノカンザシは江戸時代中期、
マルバタマノカンザシは昭和初期に渡来したと言われています。
草丈は、50~70cm。
葉は、すべて根出葉で、 長い柄を持ち、長楕円で先端が少しとがり、
表面には光沢があって、支脈が目立ちます。
葉丈は30~40cmで大型種です。 
花期は、8月~10月。
花茎を出し、6弁の漏斗状筒形の花は純白色で約11㎝と大きく、
芳香があり、 互いに接近して密に付きます。
雄しべは花筒の基部に合着しています。 
夜に開花し、朝に萎みます。
観賞用に栽培され、 八重咲きの「アフロダイト」が普及しています。

 

 


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ギボウシ の 育て方

2013-06-27 | 栽培のポイント

                     ホソバギボウシ

[ キジカクシ科ギボウシ属の総称・多年草 ; 東アジア原産]
( 旧分類ではユリ科でしたが、新分類によればキジカクシ科へと変更されています。)

育て方の一例
・耐寒性: 強。  
・耐暑性: 強。
・日照: 半日陰~日陰。    
・植え付け適期: 3月~4中旬月。9月下旬~10月。
・用土: 赤玉土(小)5・腐葉土3・川砂2の混合土。
・肥料: 追肥…置き肥は、油カスの固形肥料(3月と9月)。 
・鉢: 中深鉢。 深鉢。
・植え替え頻度: 2年毎。
・増殖: 株分け。実生。・病害虫: 白絹病、カタツムリやナメクジなど。
 
*
・オオバギボウシは大きくなるので、
 鉢植えには不向きで、露地植えに向いている。
・鉢植えにはコバギボウシの仲間や
 小型のオトメギボウシなどが向いている。
・表土が乾いたら、たっぷり水を与える。
 休眠期は表土が乾いてから数日後に与える。
・水はけの良い用土。
・強い日射しの葉灼けに注意する。 


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若楓 ( わかかえで ) <季> 初夏

2013-06-26 |  夏の草木・その他 の 俳句

◉ 若葉の楓 (わかばのかえで) ・楓若葉 (かえでわかば) ・青楓 (あおかえで)

雨重き葉の重なりや若かえで ・・・・・ 大祗 [独喰]
三井寺や日は午にせまる若楓 ・・・・・ 蕪村 [新花摘]
四阿に日の影動く若楓 ・・・・・ 正岡子規

初夏の頃、若葉した楓のことです。
鮮やかで繊細な若葉青葉の輝き・明るさ、
風にやさしく揺れ、雨にしっとり濡れた風情にも、
清らかな趣があります。
紅葉の美しさと共に、若葉の美しさについても古くから、
『万葉集』や『源氏物語』などに「若楓」の美称で詠まれています。
『徒然草』にも
「卯月ばかりの若楓、すべてよろづの花紅葉にもまさりて、めでたきものなり」と、
兼好法師がその美しさを称えており、
夏の襲(かさね)の色目にもなっています(表は薄青、裏は紅または薄紅)。
カエデ類は、
古来風致樹として各地に植栽され、
庭園などに植えられ
奈良時代にはすでに観賞されて、
江戸時代に入ると品種改良が盛んになり、
多くの園芸品種が作られました。
過度の乾燥を嫌うことから、
多くは谷間のような所に繁茂しますので、
モミジの名所には流水が伴っています。
名は、葉の形がカエルの手に似ていることから、
カエルデ(蛙手)と呼ばれ、それがカエデになったと言われます。
* 楓の芽 (仲春) ・ 楓の花 (晩春) ・ 楓 (晩秋)

  [ カエデ科カエデ属の落葉高木の総称 ]

バスを待つ風かすかなり若楓 ・・・・・ みなみ

カエデ属 
落葉またはまれに常緑で、
高木あるいは低木です。
葉は、複葉または単葉で、
単葉の多くは掌状に裂けます。
葉柄を持ち、托葉はありません。
雌雄同株または異株です。
春、総状から散房状の小花を付けます。
花弁は目立たず小さく、
花柱は2本、
雄しべは4~10本ですが多くは8本です。
果実は翼果で2枚の翅があり、
熟すと風によって飛散します。
約100種ほどが北半球の温帯に分布し、
日本には約20数種があります。
このうち
葉が蛙の手と似ているものに、
イロハモミジ・オオモミジ・ヤマモミジ・
イタヤカエデ(板屋楓)・ハウチワカエデ(羽団扇楓)・ミネカエデ(峰楓)など、
似ていないものに、
ヒトツバカエデ(一葉楓)・ミツデカエデ(三手楓)・メグスリノキ(目薬の木)などがあり、
またハナノキ(花の木)のように浅く3裂するものとしない葉のものもあります。
秋には、
葉の色を美しく変えるものが多く、
若葉の頃の緑色から秋になると黄色や赤に黄葉・紅葉するものや、
若葉の暗紫色から夏には緑色を帯び、
秋になると紫紅色に変わる園芸品種のノムラカエデ(野村楓)などもあります。
モミジとは、紅葉するものの総称でしたが、
カエデ類、特に普通に植えられているイロハモミジの紅葉が美しいため、
単にモミジと言えば、おもにカエデ類を指すようになりました。
   [ カエデ科カエデ属の落葉高木の総称 ]


 いろは紅葉 (いろはもみじ) 
2013/05/30 撮影…イロハモミジ

日本では、
本州~九州にかけて、
主に太平洋側の低山や川岸など適湿の地に自生します。
樹高は、 15~30m。
若葉のころの枝先には赤みがあります。
葉は、小型で径が3~6cm、掌状に5~7深裂し、
裂片の先が尖り、縁にはやや粗く不揃いの重鋸歯があって、
対生します。
成葉には毛がありません。
秋~初冬に、通常は黄褐色から鮮やかな紅色に紅葉します。
花期は、4~5月。
若枝の先に複散房花序を出し、暗赤色の小花が垂れ下がって付きます。
萼片・花弁とも5枚で、雄花と両性花が混在しています。
果実は翼果で、翼の長さ約1.5cm、斜開または平開します。
花後に大きくなり、葉の上に出て付き、夏から初秋にかけて熟し、
風で飛ばされます。
園芸品種も多く、
庭園・公園などにも植えられ、
各地にモミジの名所があります。
名は、裂片を「いろはにほへと」と数えたことから付いたそうです。
別名 ; タカオカエデ( 高尾楓 )・イロハカエデ( いろは楓 )
 
2014/04/19 撮影

 2013/05/30 撮影

 

大紅葉 (おおもみじ) 
2013/05/30 撮影…オオモミジ

北海道~九州にかけて、
太平洋側のブナ帯に多く自生します。
樹高は、10~13m。
若葉のころの枝先は先端まで黄緑がかっています。
葉は、やや大形で、掌状に7~9裂し、
縁には細かく揃った細鋸歯があり、対生します。
秋には黄色や赤色に美しく紅葉します。
花期は、4~5月。
花は紅色で雄花と両性花がある
果実は翼果で、ほぼ平開し、
葉の下からぶら下がるように付き、
若い時は薄紅色で美しく、
イロハモミジやヤマモミジよりやや大きくなります。
観賞用として植栽されているものも多く、
園芸品種には、一行寺・大盃・野村・七変化などあります。
自然林の中で巨木となります。
庭木や公園樹、材が硬いので建築・器具材などにも利用されます。
名は、イロハモミジより葉が大きいために付いたそうです。

 2013/05/30 撮影…オオモミジの花

 

 山紅葉 (やまもみじ) 
2013/05/30 撮影…ヤマモミジ

北海道~本州島根県以東にかけて
日本海側の雪深い山地に自生します。
樹高は、5~10m。
イロハモミジの変種、 またはオオモミジの変種と言われ、
細い枝が多数分枝します。
若葉のころの枝先は先端まで黄緑がかっています。
葉は、一般にイロハモミジより大きく、
長い葉柄(ようへい)があり、
形は、掌状7~9中裂し、裂片は幅広く、
葉の基部は心形で、対生に付きます。
縁に不揃いの重鋸歯があり、
対生に付きます。
秋には美しく紅葉します。
花期は、4~6月。
黄緑色、紫色の小花を円錐花序に付け、
枝の先からやや垂れ下がります。
果実は翼果を結び、やや鈍角またはやや直角に開き、
葉の下から垂れ下がって付きます。
観賞用としても栽培され、種々の園芸品種があります。

2014/04/19 撮影
  
 2013/05/30 撮影


 


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蛍 ( ほたる ) <季> 仲夏

2013-06-09 |  夏の草木・その他 の 俳句

                        久我山ホタル祭り(玉川上水)

◉ 蛍火(ほたるび) ・ 源氏蛍(げんじぼたる) ・ 平家蛍(へいけぼたる) ・ 姫蛍(ひめぼたる) ・ 蛍合戦(ほたるがっせん)・大蛍(おおぼたる) ・ 初蛍(はつぼたる) ・ 飛ぶ蛍(とぶほたる) ・ 蛍籠(ほたるかご) ・ ほうたる ・ 朝の蛍(あさのほたる) ・ 昼の蛍(ひるのほたる) ・ 夕蛍(ゆうぼたる) ・ 宵蛍 (よいぼたる) ・ 雨の蛍(あめのほたる) ・ 草蛍(くさぼたる)

草の葉を落つるより飛ぶ蛍かな ・・・・・ 芭蕉 [いつを昔]
大蛍ゆらりゆらりと通りけり ・・・・・ 一茶 [おらが春] 
ほたるかごまくらべにしてしんのやみ ・・・・・ 飯田蛇笏 (雲母)
一の橋二の橋ほたるふぶきけり ・・・・・ 黒田杏子 [一木一草]


夏の宵、美しい光を明滅させながら
水辺の闇を飛び交う昆虫です。
昔は、草がむれて腐り蛍となる、と信じられていました。
代表的なものは、
大形の源氏蛍と小形の平家蛍で、
また山地には姫蛍がいます。
古来より蛍狩りの対象として親しまれ、
いろいろな伝説などとも関連し、詩歌にも詠まれてきました。
蛍の名所の名を冠して「宇治蛍・石山蛍・守山蛍」などとも呼ばれます。
*  秋の蛍 (初秋)
* 「蛍合戦」とは、多くの蛍が集まって雄雌が呼び交わす光の乱舞をいいます。
* 「蛍狩り(仲夏)」は、夏の夜に蛍を捕えたり飛ぶのを見物したりすることで、
  「生活」の項目として取り扱っている歳時記もあり、
   蛍の傍題として扱っている歳時記も見られます。

  [ 甲虫目ホタル科の甲虫の総称 ]

草ぼたる光を水にかへしけり ・・・・・ みなみ

ゲンジボタル 
九州~本州にかけて、
山間部の渓流などきれいな流水域の、
草や木が茂るところに生息し、
水際の柔らかなコケに産卵します。
幼虫の餌はカワニナで、
水際の湿った土中にマユをつくります。
成虫は他の蛍に比べて大形で、
短い期間に集中的に発生します。
群飛しながら一斉に発する冷光は
雄雌の合図で、
その光景は華やかです。

ヘイケボタル 
九州~北海道にかけて、
湿原や里山の流れの穏やかな小川・水田・池などの
水の少し汚れた止水域に生息し、
水際のコケや草の根本に産卵します。
幼虫の餌はカワニナやタニシ・モノアラガイ・サカマキガイなどで、
畦や流れの縁の湿った土中にマユをつくります。
成虫はゲンジボタルに比べて小形で、
発生は通常長期にわたり密度は高くありません。
普通に見られる身近な蛍として親しまれてきました。

ヒメボタル 
日本固有のホタルで、
幼虫は陸地に生活する陸生ホタルです。
平地~高い山地の暗く湿った自然林に分布し、
大型種は九州~本州まで、
小型種は神奈川以西の山地に近い林などに生息します。
土の上に産卵し、その卵は雨により土の間へと流れ込みます。
幼虫の餌はベッコウマイマイやオカチョウジガイなどで、
土の中に潜り「土繭」をつくりまが、
落ち葉の下の土の表面などでそのまま蛹になるものもいます。
成虫はヘイケボタルよりも一回り小さく、
黄金色に発光します。

ホタル 
世界にいるホタルは約2000種が知られ、
日本には約50種弱が生息しているとのことですが、
ほとんどが一生を通じ陸地で生活する陸生です。
幼虫が水中で過ごすホタルは、
ゲンジボタル・ヘイケボタル・クメジマボタルの3種類のみで、
半水生はスジグロボタルの1種です。
ホタル科の幼虫は全種で発光しますが、
成虫になるとほとんど発光しないものが多くいます。

玉川上水・神田川に、
地元の商店街や学校で人工飼育したホタル約2000匹を
放流するそうです。
自然を守り、
自然環境を取り戻した形のホタルの自然発生を
考えているそうです。
今後に期待し、楽しみです。


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八幡大神社~禅林寺~山本有三記念館~井の頭公園 ・・・ [東京都三鷹市] < 5月 >

2013-06-01 |  雀の足あと ・・ 夏

                                      ↑ 2013/05/24 撮影…風の散歩道

今日の散歩コースは、
三鷹駅南口~(禅林寺通り)~八幡大神社 ~ 禅林寺~
山本有三記念館~(風の散歩道)~井の頭恩賜公園~吉祥寺駅です。


禅林寺通り 
三鷹駅から南へ延びる禅林寺通りは、
昭和12~13年頃から始まった宅地開発によって道路を拡張し、
現在の区分になったそうです。

当時の建物と思われる洋館や緑ゆたかな庭のある幼稚園など、
昭和初期の趣が残っていました。
10分ほど歩くと禅林寺の白塀に突き当たります。
塀に沿って少し進むと、
三鷹通りと連雀通りの交差点に面して
八幡大神社がありす。
禅林寺と八幡大神社は隣接しています。


八幡大神社 (はちまんだいじんじゃ) 

2013/05/24 撮影

堂々とした構えの神社は、
参道から、まず右側に神楽殿、その奥に太鼓倉、
左側には御神木のスダジイ(天然記念物)、
木の香りの新しい立派な楼門、その奥が社殿です。
神輿倉の二之宮神輿は、神輿の鳳凰の目がダイヤモンドで、
ギネスブックにも登録されたということです。

神社の記述によると、
「祭神は応神天皇(第15代)。
寛文4年(1664年)名主の松井治兵衛は、
村の年寄・組頭等と共に氏神社のご鎮斎を幕府に請願したところ、
時の老中松平伊豆守と寺社奉行石谷将監は代官野村彦太夫に検地を命じ、
現在のこの社地(約1万坪)を除地と定め、
鎮守八幡大神社の創建を許可した。
下連雀の守護神として、地域住民の厚い信仰心によって発展し、
年中の祭祀が行われ、今日に伝えられている。」
とのことです。

2013/05/24 撮影





禅林寺 (ぜんりんじ)

2013/05/24 撮影

黄檗宗(おうばくしゅう)霊泉山禅林寺は、
三鷹駅南口から10分ほど歩いた所です。
広い駐車場を両側に見て、
山門を入ると斎場があり、
少し進むと銀杏の大樹の下に森林太郎(鴎外)の遺言碑がありました。
墓地には、葉桜が爽やかな影を落とし、
森鴎外とその斜め向かいに太宰治のお墓がありました。
太宰治の「桜桃忌」は毎年6月19日に禅林寺で修されています。

禅林寺記によると
「明暦3年(1657年)、江戸の大火( 振袖火事 )の惨事によって、
幕府は各所に適当な火除地(防火地帯)を作り、一朝有事の備えとした。
万治元年(1658年) 神田連雀町もまたこの火除地の一つとして
住宅の再建を許されず、
罹災者25世帯には野方領茅場千丁野の内に代地を賜り、
開拓農民として移住せしめた。
これが現在の三鷹市下連雀のはじまりである。
然るに元神田連雀町民たちの入殖生活においては、
宗門改め(現在の戸籍調査に当たる)を受ける寺院がないため、
寛文4年(1664年)名主の松井治兵衛外年寄・組頭等連署をもって
寺社創建の議を幕府に請願した。
時の大老松平伊豆守及び寺社奉行石谷将監は代官野村彦太夫に命じて検地せしめ、
寺地(禅林寺)2万坪、社地(八幡大神社)1万坪として、寺社の創建を許可した。
これによって、連雀の住民は直ちに寺社を創建し、
江戸築地本願寺の寺中松之坊を迎え、
年々宗旨判形すなわち現地の戸籍調査をなして、
寺社奉行に届け出ていたのである。
また、
元禄12年8月(1699年)の台風ために建物が倒壊したので、
松之坊は寺社再建不能のために寺社地を村方へ返還した。
かくて村方一同より官へ願い出て、
元禄13年12月に黄檗宗霊泉山禅林寺と改称…
梅嶺道雲禅師を請じて開山とし、
賢州禅師自ら第1代となり宗風の宣場につとめ、
黄檗宗大本山万福寺の直末寺となり、
現在に至る。
八幡社とは明治初年の「神仏分離」令によって分離し…」
と述べられています。

三鷹駅と禅林寺についても
「禅林寺では、住民の利便を図り、
大正11年、駅設置請願書に地方有志の記名捺印を求め、
東京鉄道局長に提出し…
昭和3年初春に駅設置の採用通知を受けた。
これによって禅林寺はその寺地750坪を駅の敷地として寄付し、
当局は車庫敷地等の買収に着手、
昭和5年6月25日に待望の三鷹駅が開設された。」
と述べられています。

2013/05/24 撮影  



 山本有三記念館 (やまもとゆうぞうきねんかん)

2013/05/24 撮影

記念館は、玉川上水南岸の「風の散歩道」沿いにあります。
メルヘン的な門を入り、中心に丸い花壇のある前庭を左に見ながら進むと、
英国風洋館の「三鷹市山本有三記念館」です。
大正末期に建てられた重厚な2階建てで、 
現在は山本有三ゆかりの遺品や資料などを展示する施設として公開しています。
昭和初期(昭和11年~昭和21年)に家族と共に暮らした洋館で、
ここで代表作「路傍の石」や戯曲「米百俵」を執筆し、
蔵書を利用して、「ミタカ少国民文庫」を開き、
子供達に親しまれてきました。
進駐軍の接収に遭い有三はやむなく転居しました。
接収が解除された建物は研究所として利用され、
有三が土地と建物を東京都に寄贈した後は、
「有三青少年文庫」として長く運営され、
1996(平成8)年に「三鷹市山本有三記念館」として開館されました。
記念館の南側には「有三記念公園」があり、
緑陰にはベンチが置かれ、
池にはオタマジャクシがいました。

             2013/05/24 撮影
 

 〃
 


*「三鷹」の名称の由来は、
この地が徳川御三家のお鷹場となっていたことと、
御三家の鷹狩を行った村々が
世田谷領・府中領・野方領にまたがっていたこと(三領の鷹場)、
に由来すると言われているそうです。


 井の頭恩賜公園 (いのかしらおんしこうえん) 

2013/05/24 撮影

武蔵野市の南東から三鷹市の北東にかけて広がる公園で、
井の頭池・神田川・西園・東園がいずれも三鷹市に属し、
自然文化園・雑木林の御殿山は武蔵野市に属しています。
総面積は約380,000m²です。
武蔵野の面影を残す雑木林があり、
中心をなす池の周囲には約250本(園全体で約500本)の桜があります。
春は木々の芽吹きや梅・桜・辛夷などの花々、
夏は御殿山の雑木林・池の周辺の緑、森林浴、
秋は紅葉、
冬は越冬する鳥や落ち葉、
など楽しめます。
心地よい風に若葉青葉の映る池面を眺めながら、
葉桜の下のべンチで軽い昼食をとり、
一休みして帰路につきました。

            2013/05/24 撮影
…七井橋から

 


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