◉ 木蘭 (もくれん)・紫木蓮 (しもくれん)・白木蓮 (はくもくれん)・はくれん・更紗木蓮 (さらさもくれん)・烏木蓮 (からすもくれん)
木蓮に日強くて風さだまれず ・・・・・ 飯田蛇笏 [椿花集]
木蓮に白磁の如き日あるのみ ・・・・・ 竹下しづの女 [颯(はやて)]
白木蓮の散るべく風にさからへる ・・・・・ 中村汀女 [汀女句集]
戒名は真砂女でよろし紫木蓮 ・・・・・ 鈴木真砂女 [紫木蓮]
白れんに月深海のごとくあり ・・・・・ 矢島渚男 [ 梟 ]
古く中国から渡来し、
モクレンの名は中国名の木蘭あるいは木連から生まれたとされますが、
日本では木蓮と書くのがふつうで、花が蓮に似ていることからと言われています。
一般に木蓮といえば「紫木蓮」のことを指します。
特に紫色の濃いものを「烏木蓮」と言います。
紫木蓮は、濃い紅紫色で細長い大形の6弁花を半開状に上向きに咲かせます。
豪華な中に物静かさを感じさせますが、どこか締まらない感じも少しあります。
これに対して別種の白い花の木蓮を「白木蓮」と言い、
漢名では「玉蘭」と呼びます。
春、銀の毛に包まれた蕾が天に向かって少しつぼんだように開く花は、
花弁6枚と萼3枚がともに白く9弁のように見え、葉が開く前にいっせいに大輪の花を咲かせます。
雄大で香気があり、気品ある清らかさをたたえています。
江戸時代の貝原益軒の著書「大和本草」に
「紫を木蓮と云、花色あし、白を白木蓮と云、白花を好とす」とあります。
[ モクレン科モクレン属の落葉:中国原産 ]
ままごとの母若かりき紫木蓮 ・・・・・ みなみ
幼い日の記憶の中の紫木蓮、
大きな花弁の一枚が、だらりと垂れていて、
鬼の舌のようだと思いました。
シモクレン(紫木蓮)
幹が立たず叢生し、
樹高は3~5mの低木です。
葉は卵形で互生します。
花期は、4~5月。
小枝の先に、
外側が紫紅色、内側が淡紫色を帯びた大きな6弁花を
1個ずつ付けます。
花は花弁が全開せず上半分だけが開きます。
葉に先立って開花しますが、
花期が長いので終わりごろには葉も出てきます。
ハクモクレン(白木蓮)
幹が立ち太くなり、
樹高は、10~15mの高木です。
葉は倒卵形で先端は尖り、互生します。
花期は、3~4月。
小枝の先に大きな乳白色の6弁花を
1個ずつ付けます。
葉に先立って開花し、
芳香があり、
日が当たると開き暗くなると閉じます。
サラサドウダン(更紗木蓮)
白木蓮よりやや遅咲きですが、
白木蓮に似た樹形をしています。
シモクレンとハクモクレンの種間交雑種です。
樹高は、6~10m。
花弁の内側が白色、
外側の紅紫色には濃淡があり、
個体による変異が大きく、園芸品種も多数あります。
庭木によく利用されます。