しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

木蓮 ( もくれん ) <季> 仲春

2010-03-31 |  春の草木 の 俳句

◉ 木蘭 (もくれん)・紫木蓮 (しもくれん)・白木蓮 (はくもくれん)・はくれん・更紗木蓮 (さらさもくれん)・烏木蓮 (からすもくれん)

木蓮に日強くて風さだまれず ・・・・・ 飯田蛇笏 [椿花集]
木蓮に白磁の如き日あるのみ ・・・・・ 竹下しづの女  [颯(はやて)]
白木蓮の散るべく風にさからへる ・・・・・ 中村汀女 [汀女句集] 
戒名は真砂女でよろし紫木蓮 ・・・・・ 鈴木真砂女 [紫木蓮]
白れんに月深海のごとくあり ・・・・・ 矢島渚男 [
梟 ] 

古く中国から渡来し、
モクレンの名は中国名の木蘭あるいは木連から生まれたとされますが、
日本では木蓮と書くのがふつうで、花が蓮に似ていることからと言われています。
一般に木蓮といえば「紫木蓮」のことを指します。
特に紫色の濃いものを「烏木蓮」と言います。
紫木蓮は、濃い紅紫色で細長い大形の6弁花を半開状に上向きに咲かせます。
豪華な中に物静かさを感じさせますが、どこか締まらない感じも少しあります。
これに対して別種の白い花の木蓮を「白木蓮」と言い、
漢名では「玉蘭」と呼びます。
春、銀の毛に包まれた蕾が天に向かって少しつぼんだように開く花は、
花弁6枚と萼3枚がともに白く9弁のように見え、葉が開く前にいっせいに大輪の花を咲かせます。
雄大で香気があり、気品ある清らかさをたたえています。
江戸時代の貝原益軒の著書「大和本草」に
「紫を木蓮と云、花色あし、白を白木蓮と云、白花を好とす」とあります。

  [ モクレン科モクレン属の落葉:中国原産 ]

ままごとの母若かりき紫木蓮 ・・・・・ みなみ

幼い日の記憶の中の紫木蓮、
大きな花弁の一枚が、だらりと垂れていて、
鬼の舌のようだと思いました。

シモクレン(紫木蓮)
幹が立たず叢生し、
樹高は3~5mの低木です。
葉は卵形で互生します。
花期は、4~5月。 
小枝の先に、
外側が紫紅色、内側が淡紫色を帯びた大きな6弁花を
1個ずつ付けます。
花は花弁が全開せず上半分だけが開きます。
葉に先立って開花しますが、
花期が長いので終わりごろには葉も出てきます。

ハクモクレン(白木蓮)
幹が立ち太くなり、
樹高は、10~15mの高木です。
葉は倒卵形で先端は尖り、互生します。
花期は、3~4月。
小枝の先に大きな乳白色の6弁花を
1個ずつ付けます。
葉に先立って開花し、
芳香があり、
日が当たると開き暗くなると閉じます。

サラサドウダン(更紗木蓮)
白木蓮よりやや遅咲きですが、
白木蓮に似た樹形をしています。
シモクレンとハクモクレンの種間交雑種です。
樹高は、6~10m。
花弁の内側が白色、
外側の紅紫色には濃淡があり、
個体による変異が大きく、園芸品種も多数あります。
庭木によく利用されます。



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辛夷 ( こぶし ) <季> 仲春

2010-03-30 |  春の草木 の 俳句

◉ 木筆 (こぶし)・山木蘭 (やまもくれん)・やまあららぎ・こぶしはじかみ・幣辛夷 (しでこぶし)・田打桜 (たうちざくら)

雉子一羽起きてこぶしの夜明かな ・・・・・ 白雄 [白雄句集]
花籠に皆蕾なる辛夷かな ・・・・・ 正岡子規 [子規全集]
満月に目をみひらいて花こぶし ・・・・・ 飯田龍太 [百戸の谿]

春の訪れを告げる花といわれ
辛夷が咲く頃から田打ちの作業をはじめたので
「田打桜」と呼ぶ地方もあります。
また苞のふくらみを筆の穂に見立て、
木筆 (こぶし) とも書きます。
漢名の「辛夷」は本来木蓮のことです。
寒さに強く、
庭園や公園によく植えられていますが、
早春の山に咲いている辛夷は
遠目にも直ぐ判り美しく、
春の来た喜びを与えてくれます。

  [モクレン科モクレン属の落葉高木]

花辛夷つまづきながら生きてきて ・・・・・ みなみ

辛夷と白木蓮の見分け方は、
花に小さな葉が一枚ついているのが辛夷、
花に葉が付いていないのが白木蓮だそうです。
本当によく似ていますね。

コブシ (辛夷)
日本では、
北海道~九州の山野に自生します。
樹高は、5~18m。
樹皮は灰色で割れ目がなく、
葉は倒卵形または広倒卵形で
全縁が少し波打ち、先は短く尖ります。
葉の表面は緑色、裏面は帯白淡緑色、
表裏面とも無毛で互生します。
花期は、3~5月。
小枝の先端に、
葉に先立ってかすかな芳香のある、
花径7~10cmの白色で大型の花を1個付けます。
花弁は6枚のへら状倒卵形、長さ6㎝で、
がく片は小さく、
花の下に若葉を1枚付けます。
果期9~10月。
果実は集合果で、熟すと開裂し、
赤色の種子が白い糸をひいて垂れ下がります。
名は、蕾や果実の形が握りこぶしに似ているので
付いたそうです。
別名 : ヤマアララギ・コブシハジカミ

シデコブシ(幣辛夷)
本州中部に自生します。
樹高が低く、葉が狭く、
花は白色で幅の狭い花被片を12~18枚付けます。
がくと花弁の区別は、はっきりしません。
紅花辛夷は、幣辛夷の花が淡紅色になったものです。


2014/03/26 撮影








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セツブンソウ ( 節分草 ) の 袋果 ( たいか )

2010-03-22 |  3月 の花たち

                                                              2010/03/22 撮影

[キンポウゲ科セツブンソウ属の多年草]

ユニークな形をした
節分草の袋果が膨らみ、
先のほうが色付き始めました。


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ごあいさつ

2010-03-02 | ごあいさつ 

しをり戸を開けて、ようこそお越しくださいました。

ささやかな庭の山野草は、
四季折々にひっそりとまたけなげに芽を出し
花を咲かせ実を結ぶなどしております。
日本原産の宿根草などを少しずつ植えて、
芽生えを心待ちにし、花を愛で、
枯れるまでを見守ってまいりました。
庭の草花や散歩で出会った草木を、
素人写真でお恥ずかしいのですが、
ご覧いただければ幸せに存じます。
また拙い私の俳句も
併せてご覧いただければ
嬉しゅうございます。
ありがとうございました。

2010年2月24日                  
                                    みなみ
                 
         
         ・   …9月 



                                
           


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主な参考図書・サイト、著作権 など

2010-03-02 | 主な参考図書・サイト、著作権 など

参考とし又は引用しいている図書
・広辞苑 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・岩波書店
・日本大歳時記「常用版」・・・・・・・・・・・・・・・講談社
・俳句歳時記 全5巻「春・夏・秋・冬・新年」 ・・・・・講談社
・俳句大歳時記 全5巻「春・夏・秋・冬・新年」 ・・・・角川書店
・平凡社俳句歳時記 全5巻「春・夏・秋・冬・新年」 ・・平凡社
・四季花ごよみ 「座右版」 ・・・・・・・・・・・・・・・講談社
・俳句の花 上巻・下巻 ・・・・・・・・・・・・・・・・創元社
・美しい季語の花 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・誠文堂新光社
・新歳時記 全5巻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・河出文庫
・草木花歳時記 全8巻 ・・・・・・・・・・・・・・・朝日文庫

・新牧野日本植物図鑑 ・・・・・・・・・・・・・・・・北隆館
・標準原色図鑑全集7~13巻 ・・・・・・・・・・・・保育社
・山渓ハンディ図鑑 ・・・・・・・・・・・・・・・・・山と渓谷社
        1 野に咲く花・2 山に咲く花・8 高山に咲く花
        3 樹に咲く花(離弁花①)・4 樹に咲く花(離弁花②)・5 樹に咲く花(合弁花など)・
         6 日本のスミレ・11 日本の野菊・14 樹木の葉
・日本帰化植物写真図鑑 ・・・・・・・・・・・・・・・全国農村教育協会
・庭木 1・2・3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・主婦と生活社
・山野草 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・主婦と生活社
・食べられる山野草 ・・・・・・・・・・・・・・・・・主婦と生活社
・日本の野生ラン    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・主婦と生活社
・宿根草を楽しむ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・主婦と生活社
・太田萬里の山野草 ・・・・・・・・・・・・・・・・・三友社
・草土花図鑑シリーズ6~9巻 ・・・・・・・・・・・・星雲社
・サクラハンドブック ・・・・・・・・・・・・・・・・文一総合出版
・山野草・栽培全書日本・アジアの山野草篇 ・・・・・・近代出版
・山野草2525種  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 栃の葉書房
・育てて楽しむ山野草のすべて ・・・・・・・・・・・・NHK出版
・よくわかる土・肥料・鉢 ・・・・・・・・・・・・・・NHK出版
・四季の山野草栽培 ・・・・・・・・・・・・・・・・・日本放送出版協会
・タネから楽しむ山野草 ・・・・・・・・・・・・・・・東京山草会

サイト
・ウィキペディア
・跡見群芳譜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嶋田英誠編


*みなみ作の句・写真・文章には著作権があります。

*絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)とは、
 環境庁発行の『レッドデータブック」で絶滅の危機にある生物に指定されているもののことです。

*植物で、「日本では」と断っている時は、外国にも分布している場合です。
「日本では」と書いていない時は、日本だけに分布しているの場合です。


*植物を専門的には学んでいませんので、
 間違いにお気づきの方は、どうぞお教え下さいますようお願い致します。


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