しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

草餅 ( くさもち ) <季> 晩春

2023-12-16 |  春の草木 の 俳句

**  蓬餅(よもぎもち)・草の餅(くさのもち)・母子餅(ははこもち)・草団子(くさだんご)

両の手に桃と桜や草の餅 ・・・・・ 芭蕉
草餅や片手は犬を撫でながら ・・・・・ 一茶
大仏に草餅あげて戻りけり ・・・・・ 正岡子規

餅菓子の一種で、
口に入れると蓬の香りがふわっと広がります。
草餅の作り方には餡を用いるもの、用いないもの、
の2通りがあります。
まず薬草とされる香りのよい蓬の若葉を摘みます。
一つは、蒸した糯米(もちごめ)と蓬を搗き混ぜて延ばして、四角く切ったもので、
主に切り餅や菱餅にします。
もう一つは、蓬を茹でて灰汁を抜き、細かく刻み、
餅(上新粉や白玉粉をこねて蒸したもの)に搗き込んだもので、 
美しい緑色の餅で餡を包んだり、
餡なしできな粉や糖蜜、黒蜜をかけて食べるもの、
あんが別添えになったものなど、供されます。
草餅に使う「草」は、
平安初期、上巳の節供には母子草が用いられ、
母子餅とよばれていましが、
江戸時代には雛祭りとして広まってゆき、
母子草に代わって蓬が用いられるようになったとみられます。
現在では草餅といえば蓬餅を指します。
* 「蓬と傍題に蓬生・蓬萌ゆ」は 植物の部に、
  「草餅」「摘草の傍題に蓬摘む・蓬籠」は生活の部に記載されています。
* 蓬(三春)・蓬摘む(三春)・

縁側に猫深眠るよもぎ餅 ・・・・・ みなみ

ヨモギ (蓬)
 [キク科ヨモギ属の多年草]
2022/04/18 撮影


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菫 ( すみれ ) <季> 三春  

2023-02-19 |  春の草木 の 俳句

◉ 紫花地丁(すみれ)・菫草(すみれぐさ)・相撲取草(すもうとりぐさ)・相撲花(すもうばな)・一夜草(ひとよぐさ)・一葉草(ひとはぐさ)・ふたば草(ふたばぐさ)・菫草(すみれぐさ)・花菫(はなすみれ)・壺すみれ(つぼすみれ)・姫すみれ(ひめすみれ)・茜すみれ(あかねすみれ)・岡すみれ(おかすみれ)・山すみれ(やますみれ)・白すみれ(しろすみれ)・磯すみれ(いそすみれ)・野路すみれ(のじすみれ)・雛すみれ(ひなすみれ)・藤すみれ(ふじすみれ)・桜すみれ(さくらすみれ)・小すみれ(こすみれ)・叡山すみれ(えいざんすみれ)・菫摘む(すみれつむ)・菫野(すみれの)

山路来て何やらゆかしすみれ草 ・・・・・ 芭蕉 [野ざらし紀行]

すみれ野に罪あるごとく来て二人 ・・・・・ 鈴木真砂女 [卯浪]
すみれ束解くや光陰こぼれ落つ ・・・・・ 鍵和田秞子 [未来図]

スミレはスミレの仲間の総称ですが、
単にスミレといえばその中の一つの種を指します。
種類は多く、花の色も紫や白、淡紅紫色、鮮黄色、紫の絞りなど色々あります。
春の野山に、うつむきがちに咲く、ひかえめな姿には可憐な美しさがあり、
昔から多くの人に親しまれています。
「万葉集」にスミレが四首詠まれています。
子供たちが花と花とをひっかけて引き合う遊びから、相撲取草、相撲花とも呼ばれます。
名は、花が墨入れ(墨壺)に似ていることから、スミイレがスミレになったと言われています。
*  「三色菫(さんしきすみれ)」は、パンジー、遊蝶花、胡蝶花ともいい、北ヨーロッパ原産の栽培品種です。
*  「香菫(においすみれ)」は、ヨーロッパ原産のスミレの一種で、「スイート・バイオレット」とも呼ばれ、
  花は濃い紫色で芳香が高く、香水の原料になり、普及しています。
  日本在来種のエイザンスミレ、ニオイタチツボスミレなども香が高く、俳句では香菫として詠みます。
* 三色菫(晩春)・香菫(三春)・冬菫 (晩冬) 

[ スミレ科スミレ属の多年草 ]

飾らずに老いてゆきたしすみれ草 ・・・・・ みなみ

スミレ (菫)
「スミレ」は、スミレ科スミレ属の総称です。
スミレ属 は、世界の温帯に400種以上あり、
日本には50種ほどが分布しています。
スミレ属は一般に、
まず有茎種と無茎種とに区分され、類に分別されます。
●有茎種は、
 地上に茎が有り、葉や花がその茎の途中に付く種です。
 キスミレ類・キバナノコマノツメ類・シレトコスミレ類・ツクシスミレ類・ニョイスミレ類・
 オオバタチツボスミレ類・ウラジロスミレ類・タチツボスミレ類・イブキスミレ類・
 ニオイスミレ類など。
●無茎種は、
 地上に茎が無く、地下茎の上端から葉茎も花茎もまとめて出る種です。  
 スミレサイシン類・ウスバスミレ類・ミヤマスミレ類など。
●交雑種としては、
 おおかたは有茎種同士、無茎種同士の交雑ですが、
 なかには有茎種と無茎種の交雑種も見つかっています。
 エイザンスミレとスミレの自然交雑のエドスミレなどは江戸時代から栽培されてきましたが、
 多くは近年になって見つかったものです。

類は、さらに仲間に分かれます。
たとえば、ミヤマスミレ類は、
スミレの仲間と、ミヤマスミレの仲間に分けられます。
日本で代表的なスミレと言えば、
スミレ科スミレ属ミヤマスミレ類スミレの仲間で、
種名としてのスミレを指します。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

翁草 ( おきなぐさ ) <季> 晩春

2021-03-23 |  春の草木 の 俳句

◉ 白頭翁 (はくとうおう)・うばがしら・しゃぐまさいこ・ぜがひそう・ねこぐさ

土の香のなにかたのしく翁草 ・・・・・ 飯田蛇笏 (雲母)
翁草手になだらかな山の景 ・・・・・ 石原八束 [秋風琴]
銀冠の軸の青さよ翁草 ・・・・・ 沢木欣一

日当たりのよい山野のやや乾いた草地に自生します。
4~5月ごろ、全草にやわらかな絹糸のような白い毛をまとい、
花茎の先に釣鐘形の暗紫赤色の花を1つ俯くように咲かせます。
花弁はなく萼片は花弁状で6枚です。
受粉すると花は上を向き、花柱が伸びて糸状から羽毛状の痩果となります。
痩果の集まった銀色の果実を、
白髪の翁に見立てたところから名が付いたと言われています。
今では乱獲や草地の開発などで、姿が見られなくなり絶滅危惧種に指定されています。
観賞用に栽培されています。

  [ キンポウゲ科オキナグサ属の多年草 : 薬・毒 ]

無人駅軌道敷内翁草 ・・・・・ みなみ

うつむいた花にみどりの葉、
全身に密生した長く軟らかな白毛、
雨に濡れている姿は美しい‥‥、
また白い絹毛の花柱が伸びた姿も‥‥。

オキナグサ (翁草)
本州~九州にかけて、
日当たりのよい乾いた丘陵地や草原などに自生します。
草丈は、10~40cm。
全体に長くて白い絹毛が密生します。
根はまっすぐで太く、やや多肉、まばらに分枝く暗褐色です。
根出葉は、長い柄を持ち、2回羽状複葉で、主根の頸部から叢生します。
小葉はさらに深く2~3裂します。
裂片はくさび形または線形で先端に2~3の歯牙があります。
花茎は花後にさらに伸びます。
茎頂の総包葉は、無柄で掌状に細裂し、長さ3~5cm、
裂片は線形で、長い白毛が密生します。
花期は、4~5月。
1本の花茎を苞葉の中心から出して、その先に暗赤紫色の花を1個下向きに付けます。
花は、鐘形で長さ2~3cmの6弁花、花弁状のガク片は6枚です。
雄しべは多数、葯は黄色、雌しべも多数です。
外側に白色の絹毛が密生し、内側は無毛です。
子房や長い花柱には毛があり、花柱の上部は紫色をしています。
果実は瘦果、長さ約3㎜の狭卵形で柄の先に集まって付き、
宿存して増長した白い毛の花柱があります。
根を乾燥し、生薬の白頭翁として、消炎・止血に用います。
名は、羽毛状に伸びた花柱を白髪の翁に見立てて
付けられたそうです。
・絶滅危惧種・

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チューリップ <季> 晩春

2021-03-08 |  春の草木 の 俳句

◉ 牡丹百合 (ぼたんゆり)・鬱金香 (うこんこう)

チューリップ影もつくらず開きけり ・・・・・ 長谷川かな女 
チューリップ喜びだけを持つている ・・・・・ 細見綾子 [桃は八重]
チューリップ月に傾き眠る街 ・・・・・ 山田弘子 [懐]

春の花壇を代表する花で、
子供にもよく知られ、広く親しまれています。
広い披針形の葉を2~3枚出し、
花茎の先に大きい鮮やかな鐘形の花を上向きに1つ開きます。
花の色は赤、黄、白、紫、絞り、斑入りなど色とりどりで、
一重、八重、切れ咲きなど多種多様です。
球根を10~11月に植えると、翌年の4~5月頃に開花します。
トルコで栽培されていたものが、
16世紀にヨーロッパに渡り、人々の心をとらえました。
オランダを中心に品種改良が行われ、多数の園芸品種が生まれ、
その育種は現在も続けられています。
日本には江戸時代後期に渡来し、明治時代半ばから栽培が広がりました。
富山、新潟が球根の生産地で、さまざまな品種が作られています。

  [ ユリ科゚チューリップ属の多年草、原産地は小アジアとも不明とも]

チューリップ天真の母百五歳 ・・・・・ みなみ

チューリップ
トルコで栽培されていたものが、ヨーロッパを経て輸入され、
観賞用として広く栽培されています。
園芸品種は非常に多く、5000を超える品種が登録され、
およそ1000品種が世界中で育てられています。
品種は、15系統に区分し、
開花期や花型によって、現在次のように分類するのが一般的です。
「早生群」「中生群」「晩生群」「原種とその雑種」の4つです。
草丈は、10~50cm。
鱗茎は卵形体です。
茎は円柱形で1本直立します。
葉は、広い披針形または楕円状の披針形で長さ20~30㎝、
先は尖り、基部は軽く茎を抱いて、やや内側に巻き、縁はゆるく波うっています。
表面はうすい青緑色で白い粉を吹いたように見え、裏面は濃緑色です。
花期は、4~5月。
花茎の頂に、長さ7㎝内外の大きな広鐘形の花を1個上向きに付けます。
花被片は内外各3枚で平開せず、先端は円みを帯び、基部は凹面で幅広です。
原種は白地に赤い縁取りのあるものですが、
園芸品種には黄・白・赤・紫・ピンク・オレンジ・などさまざまな色があり、
また一重咲き、八重咲き、ユリ咲き、フリンジ咲き、パーロット咲きなどがあります。
雄しべは6個、柱頭は3裂します。
切り花用としても盛んに栽培され、新潟・富山県の産が特に多く、
海外ではオランダが有名です。
属名は、ペルシャの古語「ターバン」の意、
花形がターバンに似ることにちなんで付いたそうです。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

楤の芽 ( たらのめ ) <季> 仲春

2021-02-20 |  春の草木 の 俳句

◉ 多羅の芽 (たらのめ)・うどもどき・うどめ・たらめ・楤摘む (たらつむ)

たらの芽のとげだらけでも喰はれけり ・・・・・ 一茶 [八番日記]
多羅の芽の十や二十や何峠 ・・・・・ 石田波郷 [風切]
楤の芽の仏に似たる瀬のひかり ・・・・・ 角川源義 [ロダンの首]

山野に自生する棘の多い楤木の新芽を「楤の芽」と呼びます。
3~4月頃の若芽はウドに似た香とほろ苦さとふくよかな風味があり、
山菜の王者とも言われています。
天婦羅や茹でて和え物などにして食されます。

  [ ウコギ科タラノキ属 の落葉低木~小高木 ]

楤の芽の2番目もしくは3番目は残すように気を付けて摘み、
天ぷらなどにして楽しんでいます。

もてなしの天婦羅にまづの楤の芽を ・・・・・ みなみ

タラノキ (楤木)
北海道~九州にかけて、
山野の林縁や道端、荒れ地などにに自生し、 
しばしば群生します。
樹高は、2~5m。
樹皮は灰褐色、幹は棒状で、あまり分枝せず直立し、
大小の鋭い刺があります。刺(とげ)がほとんどないものをメダラといい、
食用に栽培されます。
若木は小葉軸にも刺があります。
葉は、長い柄を持ち基部が大きく茎を抱き、
大型の2回羽状複葉で長さ50~100㎝、枝先に集まって傘のように四方に開き、互生します。
小葉は卵形で長さ5~12㎝、卵形で多数あり、縁には鋸歯があつて、対生します。
表面には粗毛が散生し、
裏面には粗毛がやや密生するものもあつて白色を帯びます。
葉柄や葉軸には粗毛が散生します。
花期は、8〜9月。
幹の頂や枝先に大きな散形花序を出し、総状または円錐状に伸び、
淡緑白色の小さな花を多数付けます。
花序の枝の上部には両性花の花序、下方には雄花の花序の付くことが多く、
花は径3㎜、花弁は5個あります。
雄しべは5個、花柱も5個です。
花序には、両性花と雄花があります。
両性花は雄しべが先に熟し、
花弁や雄しべが落ちてから雌しべが熟します
果実は液果で、径約3㎜の球形、秋には黒紫色に熟します。
新芽は「タラノメ(楤芽)」と呼ばれて独特の風味があり、 
天ぷらや和え物にして食されます。
栽培されている山菜の一つです。
民間薬として、木や根の皮をはいで刻み、乾燥したものを煎じて、
胃腸病・腎臓病・糖尿病などに用います。
別名 : ウドモドキ・トゲウド  
   若芽をタラノメ・タランボ

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

犬ふぐり ( いぬふぐり ) <季> 初春

2021-02-07 |  春の草木 の 俳句

◉ ひょうたんぐさ・いぬのふぐり

いぬふぐり星のまたたく如くなり ・・・・・ 高浜虚子 [六百句]
古利根の春は遅々たり犬ふぐり ・・・・・ 富安風生 [冬霞]
陽は一つだに数へあまさず犬ふぐり ・・・・・ 中村草田男 [萬緑] 
  
俳句でいうイヌフグリは帰化植物のオオイヌノフグリのことです。
早春、野原や畦みち・道端などの日溜りに、
ほかの草に先立って空色の可愛い花をたくさん開きます。
花色も濃いもの淡いものがあり、星を散りばめたような可憐な花で、
日を受けている時だけ開きます。
茎は根元で枝分かれして地を覆うように横に広がり、
葉は小さな卵円形で鋸歯があります。
在来種のイヌフグリは、淡紅色の小さい花を付けます。
帰化植物のオオイヌノフグリが各地に広がって、
現在では山間部に行かないとイヌフグリに出会えないほど減少してしまいました。

  [ ゴマノハグサ科クワガタソウ属の二年草、ヨーロッパ原産 ]

松林まで川沿ひを犬ふぐり ・・・・・ みな

オオイヌノフグリ (大犬の陰嚢)
明治初期に帰化植物として日本に入り、
今は各地の畑や道端に普通に見られます。
草丈は、15~30cm。
全体はイヌフグリより大きく、
茎は基部で枝分かれして地上を這って四方にに広がり、
柔らかな毛か生えています。
葉は、卵円形で長さ0.7〜1.8cm、幅0.6〜1.5cm、
先の鈍い鋸歯を持ち、茎の上部のものは互生し、下部のものは対生します。
花期は、3~5月。
葉腋から長い花柄を伸ばし、藍色の条を持った淡青色の小さな花を付けます。
花冠は径約8㎜で深く4裂し、筒部はごく短く、上裂片は幅広く円形、下裂片は小さいです。
雄しべは2個です。
日が当たっているときだけ開きます。
萼は深く4裂し、裂片は狭卵形て先は鈍形です。
果実は、蒴果でやや扁平な倒心臓形、
数個の大型の種子は長さ1.5㎜楕円体で腹部に窪みがあります。
名は、イヌフグリより大きく、果実の形が犬のふぐりに似ていることから付いたそうです。

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猫柳 ( ねこやなぎ ) <季> 初春

2021-01-23 |  春の草木 の 俳句

◉ 狗尾柳 ( えのころやなぎ )

ときをりの水のささやき猫柳 ・・・・・ 中村汀女 [花影]
,猫柳高嶺は雪をあらたにす ・・・・・ 山口誓子 [凍港]
来て見ればほゝけちらして猫柳 ・・・・・ 細見綾子 [桃は八重]

山野の川べりなど水辺に野生し、庭にも植えられ、
生け花に用いたり、観賞用にも栽培されています。
早春に、葉よりも早く、
銀ねずみ色のつやつやした絹のような毛を密集した花穂を付けます。
光のまばゆさ・水のきらめき・風のゆらぎなどの明るい光景の中で輝くさまには、
のどかな情感があります。

  [ ヤナギ科ヤナギ属の落葉低木 ]

お正月の花として活けた赤い芽の付いた枝が、
2月になると帽子を取るように赤い芽鱗を脱ぎ、
銀白の絹毛の花穂になりました。
水中の枝には白色の長い根が生えていました。


日のひかり集め机上の猫柳 ・・・・・ みなみ

ネコヤナギ(猫柳)
日本では、
北海道~九州にかけて、
山野の日当たりの良い河岸や川辺に叢生します。
樹高は、1~3m。
雌雄異株です。
若枝には、長い軟毛が密生しますが、後に無毛となります。
葉は、柄を持ち、
長楕円形で先がとがり、鋸歯があって、互生します。
裏面は白っぽく、軟毛が密生します。
葉のもとに、托葉(たくよう)があります。
葉芽は、小さく、円錐形で先がとがり、伏生(ふくせい)します。
花芽は、合わせ目のない1枚の硬い赤褐色の芽鱗につつまれ、
大きく、卵形で先がとがり、互生します。
花期は、3~4月。
花は、葉に先立ち、銀白の絹毛を密生した細長い楕円状の花穂を上向きに付けます。
雄花の花穂は、雌花に比べ毛が多く大きめで、
雄蕊の橙色の葯(やく)から黄色い花粉を出します。
果実は、5~6月、灰白色に熟して2裂し、
中から毛の生えた種子を出します。
早春、銀白色に輝く花穂の美しいことから、
庭木や花材として用いられています。
「猫柳」は、川端に生育するところから、
江戸時代まで「川柳(かわやなぎ)」と呼ばれていて、
明治以降「猫柳」の名が定着し、
現在はカワヤナギと言うとネコヤナギとは異なる別種であり、
まぎらわしさが生じています。
名は、猫の尾を思わせる長い毛の花穂から付いたそうです。
別名 : エノコロヤナギ (狗尾柳)・カワヤナギ (川柳)[同名異種あり]

2011/02/25 撮影…ピンク色のネコヤナギ

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春蘭 ( しゅんらん ) <季> 仲春

2020-12-04 |  春の草木 の 俳句

◉ ほくり・ほくろ・はくり・えくり

春蘭の曾ての山の日を恋ひて ・・・・・ 高浜虚子 [六百五十句]
春蘭や雨をふくみてうすみどり ・・・・・ 杉田久女 [杉田久女句集]
春蘭のふかみどりなる雲の冷え ・・・・・ 飯田蛇笏 

明るい疎林や人里近い山に自生し、
観賞用として古くから栽培され、多数の園芸品種があります。
庭園や鉢に植えられます。
線形の味わいのある葉を持ち、
茎頂に、紅紫色の斑点のある、
淡黄緑色の清らかな花を1つ付けます。
かすかな芳香を持ち、品格を感じさせる花です。
花を塩漬けにして、吸い物や蘭湯としていただきます。
中国春蘭は、シナシュンランとも呼ばれる別種で、
強い香りがします。

  [ ラン科シュンラン属の常緑多年草 ]

気がつくと、いつの間にかしずかに
花を付けています。

シュンラン (春蘭)
日本では、北海道奥尻島~九州、
山地の明るい林床・林縁や丘陵に自生します。
草丈は、10~25cm。
太い根は、地下に浅く長く横に広がるものと
下に伸びるものがあります。
葉は根生し、堅く線形で、縁に細かい鋸歯があります。
花期は、3~4月。
花茎はやや肉質で太く、膜質の鱗片で包まれます。
花は通常茎頂に1個、横向きに付きます。
花径3~5cm、ガク片と側花弁はやや肉質で淡黄緑色~緑色、
唇弁は肉が厚く、白色で濃紅紫色の斑点があります。
古くから鑑賞用に栽培され、色々の園芸品種があります。
根を天日に干し乾燥させ、
粉末をひび・あかぎれなどに使用します。
4~5月の花茎と花を塩漬けにし、
お湯を注いで蘭茶にしたり清まし汁の具にしたり、
また天ぷらや刺身のつま、酢の物などに用います。
名は、春に咲く蘭の意味から付いたそうです。
別名 : ホクロ、ジジババ。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歯朶萌ゆる ( しだもゆる ) <季> 仲春

2018-04-30 |  春の草木 の 俳句

                           ↑ ヤマドリゼンマイ
◉ …

歯朶萌えて岩滝翔ける雉子かな ・・・・・ 飯田蛇笏 [雲母]
きりきりと羊歯の渦芽の日を集む ・・・・・ 上村占魚 
かくれても野兎の耳歯朶萌ゆる ・・・・・ ないとうともこ

歯朶は種類が多く、「夏緑性のシダ」の
ワラビ・ゼンマイ・クサソテツ・クジャクシダ・シノブなどは、
冬に葉が枯れ、春新たに芽生えます。
枯れていたシダが、春に萌え出る新葉は、柔らかくみずみずしく生気に満ちています。
この頃の若葉を広げる歯朶を「歯朶萌ゆる」といいます。
特に山中や庭の日陰に伸びるシダの若葉のようすは、
鮮緑色で美しく、繊細な趣があります。
* 新年の季語としての「歯朶」は、ウラジロ(裏白)を指します。
* 青歯朶(初夏)・歯朶(新年)・歯朶刈(仲冬)

   [ シダ植物の総称 : 特に胞子体、大型の葉をつける類の総称,多年草 ]

しだ萌ゆるゆかしき女主かな ・・・・・ みなみ

シダ植物とは
種子ではなく胞子で繁殖し、
胞子体と配偶体がそれぞれ独立している維管束植物の総称です。
維管束とは、根が吸収した水分を運ぶための導管(シダ植物の場合は仮導管)と、
光合成でできた栄養分を運ぶための篩管が束になったものです。
シダ植物は、大きく小葉類と大葉類の二つの系統に分かれて進化してきました。
                   「くらべてわかるシダ」より

一般の植物と同じように、シダも環境に合わせて生育する種類がかわります。
シダにも常緑性や夏緑性の種類も多く、なかには冬緑性の種類もあり、
生育する時期が異なっています。
常緑性は、春に葉を出し、翌年春に新しい葉が出るまで葉が枯れないもので、
 ホウライシダ・イノモトソウ・ベニシダ・イノデなどです。
夏緑性は、春に葉を出し、秋に葉が枯れてしまうもので、
 シノブ・ゼンマイ・イヌワラビ・クジャクシダなどです。 
冬緑性は、晩夏に葉を出し、翌年の初夏近くに葉が枯れてしまうもので、
 フユノハナワラビ・アオネカズラ・オオハナワラビなどです。

 

…クジャクシダ


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

沈丁花 ( じんちょうげ ) <季> 仲春

2016-02-01 |  春の草木 の 俳句

◉ ちょうじぐさ・瑞香(ずいこう)・沈丁(じんちょう)・丁字(ちょうじ)

沈丁の香の石段に佇みぬ ・・・・・ 高浜虚子 [六百句]
ぬかあめにぬるゝ丁字の香なりけり ・・・・・ 久保田万太郎 [流寓抄]
沈丁の香の強ければ雨やらん ・・・・・ 松本たかし [松本たかし句集]

生垣や庭園などに植えられ、
厚く光沢のある葉の上に紫赤色の蕾を付け、
冬を越して翌年の早春に開花します。
紫赤色の蕾が咲くと内側は白色で、花弁に見えるのはがくです。
どこからともなく漂う馥郁とした香りに花の咲いたことに気づきます。
沈香や丁子に似た香りから丁子・沈丁ともよばれ、
高い香気は俳句に多く詠まれています。
漢名は瑞香、香りが沈香で、姿が丁字に似ています。
   
  [ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木・中国原産]

小雨やみ沈丁の香のことのほか ・・・・・ みなみ

ジンチョウゲ ( 沈丁花 )
日本には、
室町時代の中期以降に渡来しました。
樹高は、60~100cm。
根元から枝分かれして葉が密に茂り樹形を球状に整えます。
葉は、長楕円形の革質で先端が尖り、
表面に光沢があります。
雌雄異株、日本にある木はほとんどが雄木なので種子はできにくく、
挿し木で増やします。
花期は、3~4月。
枝の先端に紫紅色の小さな花を球状にまとめて付け、
強い芳香を放ちます。
がく筒の先が4裂した花で、内面は白く、
雄しべが8個あります。
果実は、まれに付き、楕円形で、7月に赤く熟します。
庭木のほか、鉢植えにもされます。
移植が難しい木の代表的なものと言われます。。
園芸品種には、シロバナジンチョウゲ・ウスイロジンチョウゲ・
葉の縁が白いフクリンジンチョウゲ・
シロバナフクリンジンチョウゲなどがあります。
名は、花の香りが沈香、花姿が丁字に似ているので
付いたそうです。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スイートピー <季> 晩春

2015-04-30 |  春の草木 の 俳句

◉ 麝香連理草 (じゃこうれんりそう)・麝香豌豆 (じゃこうえんどう)・におい豌豆 (においえんどう)

洋酒瓶にスヰートピーさし誕生日 ・・・・・ 行広清美 [若葉]
なぐさみの言葉につまるスイトピー ・・・・・ 小野寺信江 
スイトピー彩ふるへつつ束解かれ ・・・・・ 佐藤松枝

葉や花は豌豆に似ています。
緑色の細い花茎に、
甘い香りを持つ大きくかろやかな蝶形の花を数個つけます。
柔らかで明るくやさしい感じが好まれ、
色・香り・質感など、どれを取っても春を感じます。
英名のスイートピーは、「甘い香気の(花の)豆」という意味があります。
園芸品種が多く、色彩が豊富で白・淡紅・紅・紫・青など色々あり、
多くは切り花用に栽培され、鉢植えや花壇にも植えられます。
スヰートピーを詠んだ例句は
江戸時代・明治時代にも見当たりません。
大正末期以降になってから
富安風生の
「眉描いて女給等貧しスヰートピー」や
岸風三桜の
「スヰートピー指先をもて愛さるる」
などの句が歳時記に載っています。

  [ マメ科レンリソウ属の蔓性観賞用一年草、イタリア原産 : 毒 ]

手に軽く握りスヰートピー渡す ・・・・・ みなみ

早春の花屋の店先に並んでいる
小さな束のスイートピーを見かけると
つい買ってしまいます。

スイートピー
シチリア島の原産で、
19世紀後半にイギリスで品種改良が進みました。
日本には幕末に渡来しました。
草丈は、1~2m。
巻きひげを他のものにからませながらよじ登ります。
全株に白い粗毛が生えています。
葉柄は、太く短く、両側に翼があり、基部には狭い耳状の托葉があります。
葉は、まばらに互生し、羽状複葉ですが、
小葉は最下部の1対だけ残して他の2~3対は巻きひげに変化し、
卵状楕円形で無柄、長さ約3cm、斜めに立ち上がり、
表面が青緑色で裏面が粉白色を帯びています。
花期は、5月。
葉腋から20cmほどの花茎を出し、
上部に長さ2~3cm、芳香のある大きな蝶形の花を2~4輪付けます。
花弁は5枚で、幅が広く大きい旗弁(きべん)1枚・内側には左右に広がる翼弁(よくべん)2枚・
更にその内側で雌しべ・雄しべを包む竜骨弁(りゅうこつべん)2枚です。
ガクは鐘形で先端が5裂します。
園芸品種が多く、花色は白・淡紅・紅・紫・青など豊富です。
果実は、豆果で表面に産毛があり、莢の中に種子が入っています。
開花時期によって、
冬咲系・春咲系・夏咲系に分けられ、
切り花用には冬咲系が温室栽培され、
露地用には春咲系・夏咲系のタネを秋に蒔き翌春から初夏の花を観賞します。
また蔓にならない矮性系のものは、
鉢植えや花壇に向くと言われます。
名は、英名の「甘い香気の豆」に由来して付いたそうです。

* レンリソウ(連理草)属の種子は食するとラチリズム(マメ科の植物による神経障害)の兆候が現れ、
下半身麻痺などの症状がみられます。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

節分草 ( せつぶんそう ) <季> 初春

2015-04-01 |  春の草木 の 俳句

◉ いえにれ

咲くだけの光あつめて節分草 ・・・・・ 高橋悦男 [実朝の海]
ふたり棲む節分草をふやしつゝ ・・・・・ 黒田杏子 [藍生]
峡の陽はうつろひ易し節分草 ・・・・・ 小出民子 [かびれ]

早春にいち早く咲き出し、
初夏には地上部が枯れてしまう
スプリング・エフェメラルと呼ばれる植物です。
暖かい地方では節分の頃から咲き始めますが、
普通3~4月初旬に咲きます。
白い清らかな花の 顔を上げるような姿には、
可憐な風情があります。   
   
  [ キンポウゲ科セツブンソウ属の多年草 ]

開き初む節分草に雪少し ・・・・・ みなみ

セツブンソウ (節分草)
日本の特産種。
本州の関東地方以西~中国・四国地方の
石灰岩地の草地や落葉広葉樹林の臨床などに自生します。
草丈は、5~15cm。
地下に球形の塊茎があり、
塊茎から長い柄を持つ根出葉を出します。
根出葉は3つに深く裂け、さらに掌状に裂けます。
花期は、2~3月。
塊茎から伸びた茎の上部に、
柄がなく線形に分裂して輪状に並ぶ 苞葉(ほうよう)を拡げます。
その上の花茎の先端に軟らかな花径2cmの白色の花を1個つけますが、
5花弁に見えるのは萼片です。
花弁は退化して蜜腺に変化し、
雄しべより短く黄色で雌しべの周りに並んでいます。
果期は、5月中頃。
袋果で、種子は円形・褐色で平滑です。
名は、節分の頃から3月に花をつけるので付いたそうです。
・ 絶滅危惧種 ・


2011/02/25 撮影

  2019/02/21 撮影


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山吹 ( やまぶき ) <季> 晩春

2014-05-19 |  春の草木 の 俳句

◉ 面影草(おもかげぐさ) ・ かがみ草 ・ 八重山吹(やえやまぶき) ・ 濃山吹(こやまぶき) ・ 葉山吹(はやまぶき) ・ 白山吹(しろやまぶき)

ほろほろと山吹散るか滝の音 ・・・・・ 芭蕉 [笈の小文]
山吹や葉に花に葉に花に葉に ・・・・・ 太祇 [俳諧新選]
濃山吹俄かに天のくらき時 ・・・・・ 川端茅舎 [華厳]

山吹の花には、一重咲きと八重咲きのものがあります。
一重咲きの山吹は、
山地の谷川沿いなど湿った所に多く自生し、
晩春、緑色のしなやかな枝に鮮緑色の葉を付け、
濃い黄色の5弁花を咲かせ、山吹き色とも言われて親しまれて来ました。
端正で落ち着いた花は散りやすく、
しだれた枝が吹かれるままに揺れる様子には風情があります。
八重咲きの山吹は、
八重山吹と呼ばれ、優雅な趣が古くより好まれてきました。
『万葉集』に「山振(やまぶき)」・「山吹」、
『古今集』に「山吹」と詠まれ、
『源氏物語』巻28「野分」に「八重山吹」で、
『枕草子』にも「草の花は」の段に「八重款冬(やえやまぶき)」の名で載っています。
太田道灌の逸話で知られる、
「七重八重 花は咲けども 山吹の実の一つだに なきぞあやしき」(後拾遺和歌集)で、
実のないことと蓑のないことをかけて乙女が差し出した山吹は、八重山吹です。
また襲(かさね)の色目として、
「花山吹」(表は薄朽葉、裏は黄、あるいは中倍(なかべ)に白を入れる)・
「夕山吹」(上から下まで山吹色を重ね、単(ひとえ)を青くする。女房の襲)
にもなっています。
古くから観賞用として庭園などに広く植えられ、
茎の中の白い髄(ずい)を灯心に、また玩具などに用いました。
名は、しなやかな枝が風に吹かれ揺れやすいので「山振(やまふき)」となり、
転訛して「山吹」になったそうです。
「濃山吹」は八重咲きのもの。
「葉山吹」は葉がちのもの。
「白山吹」は全体が山吹に似ていますが別属の植物です。 

  [ バラ科ヤマブキ属の落葉低木 ]

山吹の伸び放題に揺れており ・・・・・ みなみ

ヤマブキ (山吹)
日本では、
山地の谷川沿いなど湿った所に多く自生します。
樹高は、1~2m。
地下茎を伸ばして増え、茎は直立して束生します。
新しい茎は緑色ですが、やがて褐色になります。
枝は細くジグザグに折れ、緑色です。
葉は、短い柄を持ち、長さ4cm~8cmの倒卵形~長卵形で先が尖り、
基部は切形または浅い心形、質は薄く、表面は鮮緑色で支脈が凹み、
縁には鋭い重鋸歯があり、互生して2列展開します。
花期は、4~5月。
短い新しい枝の先に径3~5cm、鮮黄色の5弁花を1個ずつ付けます。
両性花で、やや大きく丸い5枚の花弁を持ちます。
黄色い雄シベは多数、雌しべは5~8個付きます。
萼片は深く5裂し、長さ約4mmの楕円形です。
果実は痩果(そうか)で9月頃に暗褐色に熟します。
茎の中に白い髄(ずい)があり、昔は灯心として、
また玩具などに用います。
古くから観賞用として栽培され、庭木などに広く用いられます。
名は、しなやかな枝が風に吹かれて揺れやすいから「山振(やまふき)」に、
それが転訛して「山吹」となったそうです。

園芸品種に、
・ヤエヤマブキ (八重山吹)
 ヤマブキの八重咲きで園芸品種として育種されてきまた。
 樹高は1~2m、花期は4~5月。
 ヤマブキより咲き出すのがやや遅く、
 黄色の八重咲きで径3~5cm、  
 雄しべも雌しべも退化して結実しません。
 太田道潅の逸話に出てくる歌の山吹は八重山吹です。
 別名はヤマブリ(山振)
・キクザキヤマブキ (菊咲き山吹)
 花は八重咲きで、花弁が7~8枚、細く菊に似ています。
・シロバナヤマブキ (白花山吹)
 花が淡黄色を帯びた白色です。
・フイリヤマブキ (斑入り山吹)
 葉に斑が入ります。
・キスジヤマブキ (黄筋山吹)
 小枝に黄色い筋が入ります。 
 などがあります。

シロヤマブキ (白山吹)は、
全体が山吹に似ていますが、同科異属(バラ科シロヤマブキ属)です。
日本では本州の中国地方に分布し、
樹高は1~2m、花期は4~5月。
茎は茶色、
葉は、長さ5~10cmの卵形で先が尖り、基部は円形または心形、緑色で葉脈が目立ち、
縁には鋭い重鋸歯があり、対生します。
側枝の先端に径3~5cmの白い4弁の両性花を一つずつ付けます。
萼は4枚、
果実は痩果で、1花に4個ついて黒色に熟します。
観賞用に植物園や庭など広く植栽されています。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熊谷草 ( くまがいそう ) <季> 晩春

2014-05-15 |  春の草木 の 俳句

◉ 布袋草(ほていそう) ・ ほろかけぐさ ・ おおぶくろばな ・ くまがえそう

熊谷草を見せよと仰せありしとか ・・・・・ 高浜虚子 [六百五十句]
熊谷草甲冑すでにほろびけり ・・・・・ 河野南畦
熊谷草見むと訪ねる山の寺 ・・・・・ 青柳志解樹

日本の野生蘭では最も大きな花を1個下向きに付けます。
扇形の葉を2枚対生し、
細長い左右の花弁は淡黄緑色の地で褐色を帯びます。
袋状の唇弁には白に紅紫色の網目があって、
下方に垂らします。
唇弁の形を、
熊谷直実が背負った母衣(ほろ)に見立てて名が付いたそうです。

  [ ラン科アツモリソウ属の多年草 ]

ひと雨に熊谷草の芽の一つ ・・・・・ みなみ

クマガイソウ (熊谷草)
日本では、

北海道南部~九州にかけて、
低山の森林内、竹林・杉林などの傾斜地に、
しばしば群生します。
草丈は、20~40cm。
地下茎は、1年に5~10cmほど伸び、節をつくり、
先端に芽を出し茎を立てます。
茎の先に、縦皺の多い扇形の葉を2枚、
対生状に付けます。
葉先は丸く、波形の鋸歯があります。
花期は、4~5月。
茎頂の2枚の葉の間から花柄を立て、
上部に小さいホウ葉を1枚付けます。
花は、淡緑色の地で褐色を帯び、
袋形の唇弁には、紅紫色の網目があります。
花弁は内面下部に毛があり、ガク片とほぼ同じ長さです。
近縁種のタイワンクマガイソウ( 台湾原産)は、
地下茎が短くクマガイソウほど伸びません。
名は、袋状の唇弁の形を、
熊谷直実が背負った母衣(ほろ)に見立てて付いたそうです。
・絶滅危惧種・


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遅桜 ( おそざくら ) <季> 晩春

2011-04-21 |  春の草木 の 俳句

                            ギョイコウ
◉  …

遅桜なほもたづねて奥の院 ・・・・・ 虚子 [虚子句集]
ほつかりと咲きしづまりぬおそ桜 ・・・・・ 暁台 [暁台句集]
引据ゑて夜出車のとよむ遅櫻 ・・・・・ 黒田杏子 [水の扉]

花時に遅れて咲き出す八重桜や
その他の遅咲きの桜を指して言います。
大方の桜の散った後、遅れて咲く桜には、
また別の趣があります。
鬼貫が「あるは遠山桜、青葉がくれの遅桜、若葉の花、風情各一様ならず」
と記しています。

高尾の多摩森林科学園には、
4月下旬、御衣香や普賢象・天の川など
驚くほど多種類の遅桜が咲いていて、
思いがけずいいお花見となりました。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする