しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

猫柳 ( ねこやなぎ ) <季> 初春

2021-01-23 |  春の草木 の 俳句

◉ 狗尾柳 ( えのころやなぎ )

ときをりの水のささやき猫柳 ・・・・・ 中村汀女 [花影]
,猫柳高嶺は雪をあらたにす ・・・・・ 山口誓子 [凍港]
来て見ればほゝけちらして猫柳 ・・・・・ 細見綾子 [桃は八重]

山野の川べりなど水辺に野生し、庭にも植えられ、
生け花に用いたり、観賞用にも栽培されています。
早春に、葉よりも早く、
銀ねずみ色のつやつやした絹のような毛を密集した花穂を付けます。
光のまばゆさ・水のきらめき・風のゆらぎなどの明るい光景の中で輝くさまには、
のどかな情感があります。

  [ ヤナギ科ヤナギ属の落葉低木 ]

お正月の花として活けた赤い芽の付いた枝が、
2月になると帽子を取るように赤い芽鱗を脱ぎ、
銀白の絹毛の花穂になりました。
水中の枝には白色の長い根が生えていました。


日のひかり集め机上の猫柳 ・・・・・ みなみ

ネコヤナギ(猫柳)
日本では、
北海道~九州にかけて、
山野の日当たりの良い河岸や川辺に叢生します。
樹高は、1~3m。
雌雄異株です。
若枝には、長い軟毛が密生しますが、後に無毛となります。
葉は、柄を持ち、
長楕円形で先がとがり、鋸歯があって、互生します。
裏面は白っぽく、軟毛が密生します。
葉のもとに、托葉(たくよう)があります。
葉芽は、小さく、円錐形で先がとがり、伏生(ふくせい)します。
花芽は、合わせ目のない1枚の硬い赤褐色の芽鱗につつまれ、
大きく、卵形で先がとがり、互生します。
花期は、3~4月。
花は、葉に先立ち、銀白の絹毛を密生した細長い楕円状の花穂を上向きに付けます。
雄花の花穂は、雌花に比べ毛が多く大きめで、
雄蕊の橙色の葯(やく)から黄色い花粉を出します。
果実は、5~6月、灰白色に熟して2裂し、
中から毛の生えた種子を出します。
早春、銀白色に輝く花穂の美しいことから、
庭木や花材として用いられています。
「猫柳」は、川端に生育するところから、
江戸時代まで「川柳(かわやなぎ)」と呼ばれていて、
明治以降「猫柳」の名が定着し、
現在はカワヤナギと言うとネコヤナギとは異なる別種であり、
まぎらわしさが生じています。
名は、猫の尾を思わせる長い毛の花穂から付いたそうです。
別名 : エノコロヤナギ (狗尾柳)・カワヤナギ (川柳)[同名異種あり]

2011/02/25 撮影…ピンク色のネコヤナギ

コメント (4)
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寒葵 ( かんあおい ) <季> 初冬

2021-01-11 |  冬の草木・その他 の 俳句

◉ …

軒下の日に咲きにけり寒葵 ・・・・・ 村上鬼城 [定本鬼城句集]
寒葵胸中ふかく花を秘す ・・・・・ 青柳志解樹 [松は松]
山道や落葉溜に寒葵 ・・・・・ 吉田八重子 (青山)

やや二葉葵に似ている葉は、
濃緑色でしばしば表面に白斑があり、
冬でも青く、雑木林などに自生します。
初冬から早春にかけて、暗褐色の壺状の小花を根のきわに付けます。
落葉や土になかば埋もれて咲いていることが多いので、葉をかき分けて見つけます。
寒さの中ひっそりと咲く花には、ひなびた味わいがあります。
各地に多くの種類が分布していて、
生育する場所も花の色や姿も一定しません。

  [ ウマノスズクサ科カンアオイ属の常緑の多年草 ]
  (多数の類似種の総称、狭義にはカントウカンアオイを指します)

寒葵服喪の人の文やさし ・・・・・ みなみ 

カントウカンアオイ ( 関東寒葵 ) 
日本固有種で、
関東・中部の低山地・丘陵地の林内に自生します。
草丈は、6~10cm。
根は、太く真っ直ぐで、
地下茎は短く横に這い、2~3葉をつけます。
葉は、長い葉柄を持ち、卵形または広卵形、革質で厚く、
先がやや尖り、基部は深い心形です。
濃緑色で白い斑紋があり、紋様の個体変異が著しく、
茎や葉に芳香があり、春に新しい葉を出します。
花期は、12~3月 。
根茎の先に、地表に接して筒状花を付けます。
花は、暗紫色の萼筒で、短い雄しべと花柱があり、
ガクは多肉で基部が完全に合着し、先が3裂します。
古典園芸植物の一つで、愛好家も多く、
江戸時代から栽培されて来ました。
名は、葉が葵に似ていることと、
厳冬期も葉が枯れないで青々としているので付いたそうです。
・絶滅危惧種・

2020/03/05 撮影…花

コメント (6)
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落葉 ( おちば ) <季> 三冬

2021-01-08 |  冬の草木・その他 の 俳句

◉ 名の木落葉 (なのきおちば)・落葉の雨 (おちばのあめ)・落葉の時雨 (おちばのしぐれ)・落葉 (らくよう)・落葉時 (おちばどき)・落葉期 (らくようき)・落葉風 (おちばかぜ)・落葉山 (おちばやま)・落葉掃く (おちばはく)・落葉掻く (おちばかく)・落葉籠 (おちばかご)・落葉焚く (おちばたく)・落葉焼く (おちばやく)・桜落葉 (さくらおちば)・朴落葉 (ほおおちば)・槶落葉 (くぬぎおちば)・柿落葉 (かきおちば)・栗落葉 (くりおちば)・榎落葉 (えのきおちば)

皂角子(さいかし)の実は其のままの落葉かな ・・・・・ 芭蕉 [続寒菊]
焚くほどは風がくれたるおち葉哉 ・・・・・ 一茶 [七番日記]
拾得は焚き寒山は掃く落葉 ・・・・・・ 芥川龍之介 [我鬼句抄補遺]

むさしのの空真青なる落葉かな ・・・・・ 水原秋櫻子 [葛飾]
ごうごうと楡の落葉の降るといふ ・・・・・ 高野素十 [野花集]

冬になるとあらゆる落葉樹は葉を落とします。
枝を離れて落ちる葉やすでに落ちた葉を落葉といいます。
桜落葉、柿落葉のように特定の木の名をつけて季語として用います。
音もなく静かにおちる落葉や風に舞いながらおちる落葉、
風に転がる落葉の音や地に散り敷いた落葉の香など、趣のある冬の景色です。
その美しさに哀れを重ねた落葉は詩情をそそります。
落葉を誘う風を「落葉風」、
落葉が雨のようにしきりに降るさまを「落葉雨」「落葉時雨」といいます。
落葉を掻き寄せて落葉籠にいれたり、焚火にしたります。

あたたかき音の立ちくる落葉踏む ・・・・・ みなみ



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初春のおよろこびを申しあげます

2021-01-01 | ごあいさつ 

                                                 ↑ ヤクシマヤブコウジ

   初春のおよろこびを申しあげます

   昨年中は「しをり戸」にお越しいただきまして
   ありがとうございました
   ブログを続けることが出来ましたのは
   皆様のおかげと深く感謝いたしております
   今年も静か に微笑む草花たちを
   時々ご紹介させて頂ければと存じております
   どうぞよろしくお願い申し上げます
   昨年は思いも寄らないコロナに明け暮れた
   厳しい一年でした
   今年こそ平穏なよい年でありますよう 
   心よりお祈り申し上げます

     令和3年 元旦
                     みなみ

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