カルピスの生みの親である三島海雲は、箕面でどんな幼少期を過ごし、いかにしてカルピスを生み出したのか。来年、カルピス生誕100周年を迎えるにあたり、カルピス誕生までの軌跡や三島海雲の人物像に迫る企画展「三島海雲とカルピス展」が、9月14日(金曜日)から11月28日(水曜日)まで、箕面市立郷土資料館(箕面6-3-1)で開催されています。
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「三島海雲とカルピス展」は、箕面市に生まれた三島海雲の、子どもの頃のようすから、カルピスの原点となった酸乳との出会い、カルピスの誕生、三島海雲財団設立までの生涯を、一度に知ることができます。さらに、発売当時のカルピスのボトルや広告ポスターなど、今ではなかなか見ることのできない貴重な資料も、間近に見ることができます。
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展示は、時系列で大きく4つのテーマに分けられています。最初の「忘れえぬ母の慈愛」では、三島海雲が生まれた教学寺(稲2-6-15)についてや、90歳代まで現役を貫いた三島海雲が、実は子どもの頃は体が弱く、母によく看病されていたエピソードなどを、写真とともに紹介しています。
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「蒙古民族の活力源“酸乳”との出会い」では、三島海雲が、カルピスの原点となる「酸乳」に出会うまでのエピソードを紹介しています。三島海雲は、英語教師として中国に渡った後、雑貨商の事業を開始します。そして、仕事で行ったモンゴルで「酸乳」と運命的な出会いを果たします。三島海雲は、この酸乳が、体の調子を整える素晴らしい飲み物だと感じ、日本でも同じようなものを作れないか、と考えるようになりました。これがカルピス開発の出発点となります。
カルピスの生みの親は元・英語教師であったことや、カルピスの原点はモンゴルにあったことなど、カルピスにまつわる意外な事実を紹介しています。
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(左・モンゴルで撮影された写真。右・中国で起業した会社「日華洋行」の写真)
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(モンゴルの酸乳(発酵乳)について書かれた書籍も)
「天性のアイデアマン」では、日本初の乳酸菌飲料カルピスを開発するまで、8年以上に渡り三島海雲が試行錯誤した日々を紹介しています。カルピス発売当時のラベルやボトルデザインのほか、「初恋の味」という当時としてはモダンなキャッチフレーズを用いたポスターなど、今ではなかなか見ることができない資料が数多く展示されています。
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(甘くてすっぱいカルピスを「初恋の味」と表現したのは、当時、非常にモダンだったようです)
また、三島海雲は、第一次世界大戦後のインフレで苦しむヨーロッパの美術家を救済しようと、カルピス宣伝用のポスターデザイン懸賞を実施しました。今回の展示では、この懸賞で入賞したデザイン画も公開されています。
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(左から、3等賞・2等賞・1等賞)
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(入賞作品は絵はがきにも使用されました)
最後に「社会への恩返し“三島海雲記念財団”の設立」では、三島海雲が全財産を投じて設立した「三島海雲記念財団」について紹介しています。三島海雲は、「国利民福(国家の利益となり、人々の幸福につながる事業を成す)」という人生観を持ち続け、それを実行に移してきた人物だといわれます。その功績の一つが「三島海雲記念財団」で、財団は三島海雲亡き現在も、自然科学や人文科学の分野を支援する活動などを続けていることを紹介しています。
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(全国の幼稚園・保育園にカルピスを贈る取り組み「ひなまつりプレゼント」も、三島海雲が始めたものです)
このほか、三島海雲が愛読した書籍や、彼の直筆で「天行健(規則正しい生活をしていれば仕事はうまくいき、身体は健康になる)」と書かれた扇子なども展示されており、展示全体を通して、カルピスの父・三島海雲の人柄をうかがい知ることができます。
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(三島海雲のバイブル「仏教聖典」)
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郷土資料館館長の泉谷英雄さんは、「カルピスの生みの親である三島海雲は、箕面出身であり、カルピスの開発以外にも様々な社会貢献をされています。この企画展を通して、彼の人柄や功績を知ってもらえれば嬉しいです」と話しました。
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また、見学に来られていた渡辺愛子さんは、「カルピスはよく飲んでいますが、生みの親が箕面出身だったことを知って大変驚きました。カルピスが100年もの歴史をもつ飲み物だったということも今回初めて知ることができ、とても楽しい企画展でした」と話しました。
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(28歳の三島海雲。来館者からは「男前やん…」「シュッとしてる!」といった声も上がっていました)
●企画展「三島海雲とカルピス展」
【期間】9月14日(金曜日)~11月28日(水曜日)※毎週木曜日休館
【時間】午前10時~午後5時
【場所】郷土資料館(箕面6-3-1、みのおサンプラザ1号館地下1階)
電話:072-723-2235 FAX:072-724-9694
【費用】無料
<カルピスに関する知識が増えそうだね♪ リニューアルされて、明るく開放的になった郷土資料館に、みなさんお越しください!