撮れたて箕面ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
民間企業派遣研修中の片山由香子と申します。
突然ですが、皆さまはダイキン工業株式会社をご存知でしょうか。テレビや車内広告で「空気で答えを出す会社」としてお馴染みの、総合空調メーカーです。私は、2017年6月より、このダイキン工業人事本部 人事・労政・労務グループでお世話になっており、3月末に1年10か月の研修を終えるところです。
今回のブログでは、働いている間に感じたことをご紹介したいと思います。
(本社は梅田センタービル)
◆自己紹介
私は、前職を経て平成25年に箕面市役所に入庁し今年で6年目の職員です。入庁後は、子ども未来創造局子育て支援課、児童相談支援センター(現名称)で、児童福祉の業務に携わっていました。
趣味は登山。無類の山好きです。箕面の山に登ってから出勤する、いわゆる「エクストリーム出社」をしていた時期もありました。そんなわけで、今回のブログでは、ダイキン工業での1年10か月の日々を、登山になぞらえてご紹介したいと思います。
◆登山口から一合目 「やる気と予習はばっちり!」
箕面市役所職員がダイキン工業人事本部でお世話になるのは、私で5人目です。先輩方の出向当時、人事本部の皆さまのお話を聞いていたこともあり、お世話になる課長とお会いした時には初対面とは思えない既視感を持ちました。
それから数日にわたり、人事本部の担当役員や各グループ長が個別に会社や各グループの説明してくださったり、先輩からひとつ一つ業務の説明を受けたりしました。
出向者ひとりに対して、本当に丁寧に時間を割いてくださることに驚きました。新しい場所は、自分の身の置き所が見つかるまで心許なくて不安ですが、お陰ですぐに馴染むことができました。
ダイキン工業は、足元の整った緩やかな登りから始まる、登山者にやさしい山でした。
(ダイキン盆踊りにて~人事・労政・労務グループの皆さんと)
◆一合目から三合目 「始まったばかり。落ち込むには早すぎる!」
やさしい足慣らしをさせてもらえたところで、いよいよ本格的に登山開始です。
これまで出向していた先輩方もやってきた「自己記録表」です。ダイキン工業では、従業員が将来の仕事希望や、本人の体調・家庭の事情等の個人事情を、自由に記述して会社に伝える機会を設けており、これが「自己記録表」です。記述後、上司との対話も実施されます。会社側が従業員のスキルや意見、要望を把握し、適材適所に人を配置することで、個人により高いパフォーマンスを発揮してもらい、ひいては組織の成長に繋げようとするものです。市役所の「自己申告書」の制度と少し似ています。
また、行政でも民間企業でも、自分のしたい仕事だけをしていられるわけではありません。希望に沿わない仕事をしていると働きがいを見失うこともあるかもしれません。しかし、働きがいというのは会社に与えられるものではなく、自分で模索するしかないもの。1年に一度の「自己記録表」(市役所では「自己申告書」)をきっかけに、自分や自分の仕事を見つめ直すことで、足りないものや、実は足りているのに不満ばかり言っていることに気づき、働いている意味を再確認できるのかなと思います。
かく言う私も、この頃(「自己申告書」の時期ではなかったのに!)新しい環境で、毎日自分に足りないものに気づいていきました。自信を失う日々。皆さん、人間って自信がなくなると声が小さくなるって知っていましたか?そんな新たな発見をしつつ、ウィスパーボイスになっていく自分を叱咤激励しながら、歩を進めていました。
まだ登っている山の全貌が見えず、少し不安になった三合目でした。
(不安そうに見えませんが…消防訓練のひと時)
◆三合目から五合目 「学び多き登り坂」
どんな険しい山でも、私の場合五合目まで行けば登るしかない!!という気持ちになります。そんなわけでここからが登山の正念場。
ダイキン工業は、「ダイバーシティ・マネジメント」の推進に積極的に取り組んでいる会社です。私は、女性活躍推進の取組みのひとつである「女性リーダー育成研修」に携わらせていただきました。これは、若い女性従業員を対象にした研修で、将来リーダーとして活躍してもらうために、自分自身の意識と行動を変えるきっかけとしてもらおうとするものです。
約8か月にわたり、宿泊研修や課題ワークを実施していきます。私は事務局として参加しました。私よりもうんと若く、社会人歴も浅い皆さんが、自分自身と向き合い、悩んだり戸惑ったりしながら変わっていく姿には、目を見張るものがありましたし、私自身も市役所での自分の将来を考えるうえでとても刺激になりました。いろんなリーダーの形があっていいこと、人が信頼するのは完璧なリーダーではなく人間らしいリーダーだということ、リーダーシップは経験から備わっていくことなど、人の上に立って仕事をする時がくれば、自分の背中を押してくれるだろうと思う学びが多くありました。
話は急に変わりますが、私は登山中にカメラを出すことはあまりありません。そんなわけで、五合目のこの頃を撮影した写真がない!ということで、一緒に研修に携わった同僚や、この後導入教育を一緒にやることになるみんなとの楽しかった残業タイムの写真を。
(私は写っていませんが…)
◆五合目から八合目 「ワクワクとドキドキと」
五合目までくれば、あとは頂上を目指して頑張るのみ。とはいえ、まだ頂上がどんな景色なのかはわかりません。それを楽しみにしながら、業務は過去出向した先輩方から噂に聞いていた「社長表彰」へと突入していきます。
私は、この業務を2年担当させていただきました。社長表彰は、ダイキングループの業績貢献に多大な功績をあげたり、差別性のある新商品の開発、独自性のある生産技術開発を成し遂げたチームや個人を社内で表彰する制度です。各部門からの申請を受け、役員や部長の方々による審査を重ね、最終的に2月の創立記念式典で表彰をします。
私も、前職時代に社内表彰制度はありましたが、ダイキン工業ほどの表彰制度は他にあまりないのではないかと思うほど、審査過程も表彰式も真剣で大々的です。また、「受賞は、部門全体の士気高揚につながる。」と、ある部門の役員の方がおっしゃっていましたが、どの部門も本気で受賞をめざしておられます。事務局の一員として、その熱意に背筋が伸びる気持ちになりました。
このように、部門の皆さんのためにと思いやっている仕事で、逆に皆さんに助けていただくことがとても多く、助けられるたび、「仕事って誰とどんな気持ちで取り組むかだよな!楽しいな~!」と思っていたものです。本当に感謝しています。
この業務を通じては、ダイキン工業の事業や商品への理解が深まりましたし、グローバル視点の経営のお話をたくさん聞くことができ、大変勉強になりました。(おかげさまで、分からないながら新聞の経済面を少しまじめに読むようになりました。)
少しいい気になってきた八合目。足取り軽く、頂上へ向かいます。
(受賞者にお渡しするクリスタルトロフィーが並ぶ様は圧巻です)
◆八合目から頂上 「心地よい疲れと充足感」
2018年度、ダイキン工業では434名の新入社員を採用し、4月からの1か月半、社会人として、ダイキン工業の一員として必要なスキルを身につけてもらうための導入教育が実施されます。企画段階から、どんなダイキン社員になってほしいかを考え、議論を重ねてプログラムを組みます。
ダイキン工業の導入教育は、いろんなプログラムが同時並行で進んでいくので、新入社員にとっては大変なものだと思います。ですが、社会人のスタートで、多少しんどいことを経験することは大切なことだと思います。というのも、「自分はあれを乗り越えたから、これくらいなら頑張れる」という、自分なりの「限界ライン」を持てるようになると思うからです。また、私は、習慣はしんどい中でこそ身についていくと思います。追い込まれた場面では、習慣に沿って過ごすことがとても助けになります。
そういう意味で、この導入教育は、本当によく考えられたプログラムだなと感じました。
毎日振り返りシートを書かせ、「P(Plan)D(Do)C(Check)A(Action)」をしっかりと回しています。導入教育から1年が経とうとしている今、434名の皆さんが今でも自分の業務を振り返り、目標を持って仕事を頑張ってくれていることを、導入教育担当者として心から願っています。
そして、私もこの業務で一旦頂上を踏むことができたと思います。まさに私の「限界ライン~ダイキン工業編」ができました。そう、つまりなかなかしんどかった。よく働きました。しかし、同時にとても楽しかった。私が勝手に決めた頂上ではありますが、一緒に頂上に立ってくれた導入教育担当の皆さんに、心から感謝しています。向こう10年くらい、この時の様々なエピソードを肴にみんなでお酒を飲めると思います。
(仕事に没頭中)
(導入教育でお世話になった課長と。勤続35年を迎えられました)
◆下山 「下山ほどケガが多い。最後まで気は抜くな!」
家に帰るまでが遠足。登山も同じ、下山までが登山です。
導入教育を終え、私たちも「PDCA」を回していきました。翌年に向け改善することを話し合い、実行していきました。実際、この時の振り返りが、来年度の導入教育に反映されていると思います。
この振り返り、ダイキン工業ではとにかくどの業務でもしっかりと行っています。そして、翌年の業務改善に活かしています。皆さんが、日頃から課題意識を持って業務に取り組み、柔軟に物事を変えていこうとしている会社だなと思いました。
また、2年目は「働きの質の改革」の一環として、人事本部内で勉強会が開催されました。この中で、自分の業務の目的を考える習慣や、生産性を上げるための職場環境づくり、テクノロジーの活用等、本当にいろんなことを学びました。
こうして「ダイキン工業山行記録」を書きながら、考えていること。
行政の仕事は、限られた資源の中で、市民の生活をより良くするための方策を考え実行していくことに他なりません。前例踏襲するのではなく、最適解を見つけて変えるべきものは変えていく姿勢や、そのために活用できる知識やスキルを身につけることが、地方自治体の公務員としての自分自身に、これから求められることだろうと感じています。「身の丈+1センチ」で頑張る心持ちでいれば、毎日1ミリでも成長できるような気がしています。
さて、最後になりますが、ダイキン工業のグループ経営理念のひとつを紹介させていただきます。それは「人を基軸におく経営」です。「人の持つ無限の可能性」を信じて、「従業員一人ひとりの成長の総和が企業の発展の基盤」という信念のもと、働く人の意欲と納得性を大切にする、というものです。
とても素敵な経営理念だなと思います。
自分で言うのも口幅ったい話ではありますが、この1年10か月は、自分の「無限の可能性」に少し期待できた時間でした。関心事の幅も確実に広がりました。また、おかげさまで、これからもずっと付き合っていけるような友人や上司、先輩、後輩達もできました。市役所で、どんな仕事をすることになっても、「何事も経験」と楽しみながら頑張れるような気がしています。
(ダイキン登山倶楽部(仮称)に加入させていただきました)
(那覇マラソンにも出場)
(お世話になった課長と)
自分自身の思いの丈を書き綴った出向備忘記録になってしまいましたが、つまり、「出向っていい!」ということ。経験は自分の財産です。
このような出向の機会を与えてくれた箕面市役所、さらに、従業員の一員として受け入れてくださったダイキン工業に深く感謝いたします。
この出向の経験を、必ずこれからの箕面市での仕事に活かしていきたいと思います。
(写真右から:ダイキンのマスコットキャラクター「ぴちょんくん」、片山、滝の道ゆずる)
<片山さんお疲れ様!この1年10か月で無事大きな山を登りきったね。この経験を箕面市役所で生かしてね!