みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

NHKスペシャル・脳梗塞からの“再生”

2005年12月04日 | テレビ
 世界的な免疫学者として有名で4年前に脳梗塞で倒れ半身麻痺になってしまった多田富雄さんのドキュメントを見ました。実はこの方、新作能『一石仙人』『原爆忌』などの作者でもあり、私はこちらの舞台は拝見していませんが、チラシなどでお名前は知っているという程度でした。だけど、私の祖父が脳梗塞から脳内出血を起こしたりしているので、このドキュメントはそういう意味から興味があって見ていました。途中、どうしても人ごとに思えず、ちょっと私は重くなってしまったけど、でもとても良いドキュメントでした。

 普通の人、とりわけ日本人なら半身麻痺になった姿をテレビで公開ってしたくないと思います・・・。だけど「心が死ぬ前に、撮って下さい」という多田さんの心意気がまずすごいと思いました。そして、免疫学者からの観点で客観的に自分の病気を見つめているのもすごいです。「壊れた神経細胞は再生されない。でも良くなるとしたら、それは新しい神経細胞が構築されるということだ。」そして倒れて4年経った今でもリハビリに励んでいる。(言語訓練も運動訓練も。)普通は脳梗塞から復帰するには、倒れてから4ヶ月(だったかな?)以内に快復の見込みがなければもう無理らしい・・・。だけど諦めないのは「尊厳を失いたくないから。」、食事も半身麻痺のために嚥下(えんげ)障害でこぼしてしまったり、気管に入ってしまうこともあるみたいですが、ちゃんと食事も口から。そして晩酌も、とろみを加えて毎晩らしい。やはり「食」というのは人間にとって「生きている」という証拠なのだと思った。何千冊あった本も半分以下に減らしたけど、能の本だけは取っておいたり・・・。この方は仕事(研究)や趣味などに一生懸命だったからきっと生き甲斐があったんだろうなぁ・・・。
 あと、新作能のお稽古風景もありました。青山の銕仙会でも階段を自力(もちろん助けを必要とするが)であがろうとしていたり、私はその根性(?)に感心。話すことができないので(右半身がだめだと、言語もだめだから)、タイプを打つと音声が出る機械で会話をするのですが、「マエシテ、モット キビキビト」と駄目だし。そして、新作能ってこうして作られていくのかぁ〜とそういう面からも貴重なドキュメントでした。弟が『一石仙人』を見てきたのですが、詳しい感想はいまだきいていません(笑)私も、見に行けばよかったかな?なんて思いましたが・・・。『原爆忌』は舞台の様子も映りましたが、謡の詞章がちょっとヘビーかな・・・。でも多田さんは、きっと科学者の目線から訴えたかったのだと思いました。再放送は明日、6日火曜日深夜にあるそうです。よかったら是非ご覧下さい。

 多田さんは私の祖父よりは若いから比較できないと思うのだけれども、「地獄をみているようだ」だけど「今の方が良く生きていると思う」とおっしゃっていた。もちろん体が不自由だと地獄をみていると思います。だけど、私には多田さんがとても輝いて見えました。一緒に見ていた祖母とも話していたのですが、こういう方に「偉い」とか「すごい」とか言う言葉を使うのは却って失礼に当たるのかもしれませんが、本当にすごいと思う。私の祖父は、やはり年齢的なものもあるのですが、やはりここまでにはなれないと思う・・・(^^;。そして、奥さんの献身的な介護も素晴らしいと思いました。いろいろな面で考えさせられた番組になりました。