みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
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ショック・・・・祥人さんが・・・

2010年06月25日 | 能・狂言
 私が一番好きで、というか好きを超えて心から尊敬している能楽師、関根祥人師が亡くなられた・・・。不謹慎ながらも一瞬、祥違いでお父上かと思ってしまった・・・。しかし祥人師だった・・・。まだ若い、お父上の祥六師もご健在だし、ご子息の祥丸君も将来期待大で伸び盛り。これからの能楽界を担う人だし、今が一番脂の乗っている時期だろうし、これから歳を重ねていっても、今とはまた違う魅力的な祥人さんの舞台に出会えるはず。そう思っていました。謡、舞、お人柄・・・すべてにおいて好きでした。お稽古場では「祥人の追っかけ」と認定されていた私だけでなく、周りにもファンが大勢いました。そしてこのブログにも祥人さんファンの方からコメントをいただくこともしばしばありました。4月に舞台を見たばかりだし、来週土曜日の祥人師主催の会に行くのを楽しみに待っていました。だから信じられない。

 このブログの「能狂言」カテゴリをご覧になったらお分かりになるかと思いますが、ここ数年のお能鑑賞は、祥人師目当てで、祥人師の記事だらけです。初めてお能を見に行った時もお父上の関根祥六師の舞台で、解説が祥人さんでした。それがとても分かりやすくて、「お能って意外と面白いじゃん」と思えたからこそ今の私があります。その数年後、たまたまお能帰りに熱海駅でばったり会って(後ろにいらして)ご挨拶することができたり・・・。そんな思い出もありました。
 いつもご自身の会ではPCで手作りであろうチラシ、そして花祥会の後はわざわざお礼状まで送ってくださったり、さらには電話予約も自ら対応。ああ、先月チケット予約のためにご自宅にお電話した際にお話ししたのが最後になってしまった。事務的な話ですが電話を切る前に「楽しみにしていますね」と言う私に「ありがとうございます」と仰ってくださった・・・。謡ではなく、「ありがとうございます」という言葉が私にとっては最後の言葉になってしまいった・・・。でも、もう今日は当日が楽しみではなくなってしまった・・・。こんなに悲しい「見に行けない公演」はない。そういえば、花祥会では帰りにお客さんにお花のプレゼントもあったなぁ・・・・。そんな素敵な会は他にはなかった・・・。

 もちろん、お能に関しても思い出ばかり・・・。テクニック的なことだけでなく、見ているだけで、その曲の物語、主人公の想いが心に伝わってくる人だった・・・。ものすごく魅力的な舞台だった・・・。何度も涙した・・・惚れ惚れした・・・。彼の舞台に恋しているといってもよかった・・・。

 思い出すと涙が溢れる・・信じられない・・・信じたくない・・・。なんでこんな記事を書かなくてはいけないのか・・・。誰か、悪い冗談だと言ってください。夢なら私を起こしてください。なんで、こんなに才能に溢れ、かつ人柄もすばらしい方が早く亡くならなくてはいけないのか・・・。神様、不公平です・・・。

 祥人さんが亡くなられたら、私はもうお能を見ないかもしれない・・・見たくないというか、落ち着くまでは見られない・・・。祥人さんのお能のDVDもドキュメンタリ映画のDVD、本も当分は見られないよ・・・・。でも・・・祥丸君のことは見守って行きたいから、見に行く日もくるでしょう・・・。でも、でも・・・・。

 楽しみにしていた「花祥会」は中止となり、この日は祥人さんの葬儀になってしまいました・・・。自らの会がこんな形になってしまったことは、ご本人が一番悔しいと思います。

 祥人さん、本当は絶対に『景清』を演じたかったでしょうね。お父さん、息子さんと『石橋』を舞いたかったでしょうね・・・。素人さんのお稽古後に自宅で倒れられ、そのまま・・・だったらしいです。

 観世流だけでなく能楽界にとっても大きな損失ですが、同じく私が尊敬するお父上の祥六師、祥丸君や娘さん、そして素敵な奥様のことも考えると・・・。もうだめです・・・・。

 心にぽっかりと穴が開いてしまい、しばらく、私は落ち込んでいると思います。

 信じられないし、信じたくないけれど、ここまで私をお能に夢中にさせてくださった祥人さんに感謝したいです。そして、祥人さん、貴方の舞台に出会えたこと、何度も立ち会えたことは私の誇りです。ありがとうございました。

 今はただただ、祥人さんのご冥福をお祈り申し上げるばかりです・・・・。

 でも、今日は泣きます。

 以下、ニュースサイトより引用します。
関根 祥人氏(せきね・よしと=能楽観世流シテ方)22日午後11時52分、急性大動脈解離のため東京都新宿区の病院で死去、50歳。東京都出身。葬儀・告別式は7月3日午後1時から東京都文京区大塚5の40の1、護国寺桂昌殿で。葬儀委員長は26世観世宗家の観世清和氏。喪主は妻治美(はるみ)さん。

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4 コメント

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Unknown (あいきち)
2010-06-27 20:42:42
祥人さんの訃報、私も本当にショックで未だに信じられない気持ちで一杯です。
朝刊の訃報欄を見た時は、我が目を疑いました。
能楽師としてこれから真の花を咲かせようという時に、何ということでしょう。
いつもお太鼓のお稽古関係で投稿させていただいている私ですが、実は謡・仕舞は小流派に属しています(目黒に本拠地がある、といえばおわかりですね)。
ですが、他流である観世で大変に尊敬し、師匠に内緒でお能を多く拝見してたのが祥人さんでした。
お父様や息子さんと3代の本を出版されたときも迷わず購入し、厳しい世界をただ受け継ぐのではなく、3代にわたり同世代では最高峰の芸質を保つ家風を大変素晴らしいことだと思っておりました。

本当に残念ですね。
能楽界は非常に貴重な人材を喪失したと思います。
みゆみゆさん、どうか気落ちせずに、これからも能楽愛好者を増やすサイトを願っております。
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未だに信じられません (みゆみゆ@管理人)
2010-06-27 22:44:28
★あいきちさん
私も未だに信じられず亡くなったという事実を受け入れられません。
決してミーハー的に好きなのでなく、本当に心から尊敬できる能楽師さんでした。
彼のファンというか信者(?)はたくさんいましたよね・・・。
少なくとも私の周りでは一番人気がある能楽師さんでした。
「何で?」「信じられない」・・・恐らく皆さん同じ気持ちだと思います。
突然死んでしまったご本人が一番そう思っているかもしれませんけど・・・。

残されたご家族の悲しみを考えたら、私なんて大したことはないですが、それでも元気が出るまで、もうちょっと時間がかかりそうです・・・。
少なくとも花祥会が行われる予定だった日までは・・・。
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Unknown (mami)
2010-07-02 01:05:05
みゆみゆさん、すっかりご無沙汰しておりました。Born To be LIGHTのmamiです。
迂闊ながらこのニュースを、みゆみゆさんのところで初めて知りました。
そんなことになるなんて、とても考えられないご年齢ですよね。
私は、追っかけ、というほどではないにしても、関根祥人さんのおシテは楽しみでした。清廉で研ぎ澄まされたお舞台が、とても好きで拝見しておりました。
もう拝見できないのかと思うととてもショックです。。

みゆみゆさん、どんなにかお心落としのことと思いますが、どうかまた能楽堂に足を運ばれてくださいませね。
私も、今までに拝見した祥人さんのお舞台を心に大切にとっておきます。合掌。
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Unknown (みゆみゆ@管理人)
2010-07-02 23:07:47
★mamiさん
久しぶりのコメントありがとうございます。
お能の方の訃報なんてテレビでは取り上げられませんし、新聞訃報欄に気が付かなければ、ずっと気が付かない可能性もあります・・・。

もう未だに信じられませんが、明日が公演だったのにと思うと、現実的なものとなってきます。

祥人さんのおシテ姿はまさにmamiさんがおっしゃるように、清廉で研ぎ澄まされたお舞台でしたね。
あのお声が聴けないと思うと・・・(涙)

私もまた能楽堂にお能を見に行きたいとは思いますが、まだ少しだけ時間がかかりそうです・・・。
(祥丸君も応援しないと!!)

明日は本来ならば祥人師主催の会でしたが、葬儀告別式となってしまいました・・・。
明日はさらに複雑な思いで1日を過ごすことになると思います。
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