吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

市川崑監督『悪魔の手毬唄』(1977年東宝)

2016-11-18 12:55:07 | 映画・ドラマを観て考えよう

 11月17日(木)午後1:00〜3:25の時間帯でBSプレミアムで放映されたのを、また観てしまいました。


 いや、何回観ても楽しい(^-^)観る度にまたイロイロ発見できます。そして映像がウツクシイ!

 物語の舞台は鬼首村(おにこべむら)で、岡山県の総社市から仙人峠を越えた先にある、総社から仙人峠までは約2里(8km)の道のりだとか・・・。以前は高梁のあたりかと思っていたのですが、よく考えると高梁へは総社から伯備線が続いていますから、総社で汽車を降りるハズがありませんよね。ということは、総社から鬼門にあたる北東の方角・・・って捜すと鬼城山という地名を発見!・・・この先が怪しそうデスが、ここだ!と特定するのは難しそうです。

 仙人峠で金田一耕助が犯人とスレ違うシーン(左)です。

 実に美しい映像です。まるでミレーの晩鐘(右)のようじゃありませんか!

 サルバドール・ダリは『ミレーの晩鐘の絵の中央の地面には子供の死体が埋まっている』と言い続けて、この絵のモチーフを自らの作品の中に取り込み続けましたが、確かによく見るとどこか不気味な雰囲気を漂わせた絵ですね。この話を知っていてこの構図を撮影したのだとしたら・・・凄い!・・・いや、私の考え過ぎですかね。

 サルバドール・ダリ作『ミレーの晩鐘の古代学的回想』


 お馴染、市川崑特有のロングで風景を撮ったシーンが効果的に挿入されています。風に靡く竹林、針葉樹の中の山道、エンディングの木々の間を抜けて行く汽車の映像・・・一幅の絵画のようです。

 エンディング映像


 そして出演者が素晴らしい、脇を固めた俳優陣の演技はモチロン、名前の無い端役の方まで、卓越した演技で楽しませてくれます。
 金田一耕助が青池源治郎(=恩田幾三)の弁士時代の写真を探しに神戸へ行った先で、元弁士役の三木のり平の奥さんをしていた方の演技なんか最高です!
 加藤武演じる立花警部の『よし!分かった!』も私は大好きですなあ。

 ラストの「リカさんを愛していましたね」の返事が汽笛のため聞こえず、柱に掲げられた駅名の『そうじゃ(総社)』が目に入るシーン、これは日本映画屈指の名シーンだと思いますが、どうでしょう。

 駅名が秘められた思いを語るラストシーン『そうじゃ


 いやー、楽しめました。このシリーズは何回観ても楽しい希有な映画なのです。