先日の衛星映画劇場で録画しておいた『ヴァン・ヘルシング』を改めて観たのです。
※スティーブン・ソマーズ監督『ヴァン・ヘルシング』2004年アメリカ
これ、見直して思ったのですが、怪奇映画ファンにはタマらン造りです。
出だしは何と白黒フィルムで、お馴染みフランケンシュタイン博士が怪物を創造するシーンから始まります。雷の電気が装置に流れると、繋ぎ合わせた屍体の指がピクッと動く・・・『Oh! It's alive! It's alive! It's alive!』お馴染みのセリフが・・・もう、こうなると歌舞伎と一緒で『ヨッ!ヴィクター屋!』って声を掛けたくなります。
※お馴染み、雷撃で命を吹き込まれる名シーンです!
ところが墓場を荒らしたヴィクターを焼き討ちにしようと村人が研究所に押し掛け、風車小屋に逃れた怪物は、燃え落ちる風車小屋の崩壊に巻き込まれて死んで(?)しまいます。
当然これはボリス・カーロフが演じた最初のフランケンシュタイン映画へのオマージュなのです。
※ジェイムズ・ホエイル監督『フランケンシュタイン』(1931年アメリカ)のラストシーン
で、ヒュー・ジャックマン(ウルヴァリン!)演じるヴァン・ヘルシングといえば(知ってるヒトは知っている)ドラキュラ退治の専門家。
往年クリストファー・リーがドラキュラ伯爵を、ピーター・カッシングがヴァン・ヘルシング教授を演じて、何度も名対決を演じています。
※クリストファー・リー(脚註参照↓)が演じるドラキュラ伯爵(カッケー!)
※ピーター・カッシングが演じるヴァン・ヘルシング教授
で、この2人が揃いも揃ってスター・ウォーズで重要な役どころを演じている・・・これって偶然じゃないですよね。
※SWでドゥークー伯爵を演じるクリストファー・リー
※SWでモフ・ターキン総督を演じるピーター・カッシング
みんな怪奇映画大好きなのです。
いかんいかん、何だか映画の本筋から外れてしまった。
※ドラキュラの花嫁たちが空を舞う滑空シーンがイチバンの見ドコロ!
映画そのものは、ご都合主義のストーリーで、ドラキュラに狼男にフランケンシュタインの怪物が三つ巴(!)の争い。そこにヴァチカンからドラキュラ退治の命を受けたヴァン・ヘルシングが絡むという大サービス!こうなると『三大怪人 ドラキュラ VS.フランケンシュタイン VS.狼男』のようですが、期待以上の出来になっています。スピーディな展開で楽しめました。
※三大怪人 ドラキュラ VS.フランケンシュタイン VS.狼男・・・もうハチャメチャ!
フランケンシュタインの怪物に生命を与えた仕組を利用して、自らの子孫を増やそうとするドラキュラの陰謀を、一時的に狼男になったヴァン・ヘルシングが阻み、全てが終わった後にフランケンシュタインの怪物はひとり極北を目指して筏に乗る、といったものでした(めっさ省略)。
最後にフランケンシュタインの怪物が去るシーンはもちろんメアリー・シェリーの原作を踏まえたものになっているワケです。
※人間に絶望した『怪物』は北極へ向かい、そこで生涯を終えようと決意する。
この映画、映画としての出来はともかく、古き良き時代の怪奇映画に対する深い愛情が感じられて、私にはとても楽しかったのでした。
怪奇映画が大好きなヒトは必見です!
(脚註)クリストファー・リーは何とあのボルジア家の血をひいているらしい。そう思って見ればチェーザレ・ボルジアを彷彿とさせる高貴なお顔立ち!ドラキュラ伯爵にはまさにピッタリなのです。
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