フジロックでカーラ・トーマスを観てまいりました!! まさかのフジにやってきたクイーン・オブ・メンフィス・ソウルです。サザン・ソウルを生みだしたレーベル、スタックスの草創期から活躍し、そのオリジネーターの一人であるルーファス・トーマスを父に持つカーラ・トーマスですよ!!
まずは妹さんであるヴァニース・トーマスが登場。一昨年に最新作「LONG JOURNEY HOME」をリリースするなど意気盛んな彼女だけあり、ゴスペル・フィールをも感じさせる力強い歌声で場内を沸かせてくれました。明るくノリノリな「Sat'day Night On The River」も最高でしたが、「Southern Central Blues」や「Corner Of Heartache And Pain」などブルージーな歌声も格別でした。また「Corner Of Heartache And Pain」ではオルガンが素晴らしかったですね。それもそのはず、オルガンはチャールズ・ホッジズですから!
そうなんです、今回のカーラ・トーマスは、バックも凄いんです。ベースとオルガンに、数々のメンフィス・ソウル名盤の屋台骨を支えたハイ・リズムのリロイ&チャールズのホッジズ兄弟。ドラムスはブッカーT&MG’Sでも叩いていた名手スティーヴ・ポッツ。そこにブルージーなギターが絡む。その艶やかで粘り気のあるギターがまた良かった。ギタリストはスコット・シャラルド。この人はグレッグ・オールマンのバンドで活躍していた人で、グレッグの2017年のラスト作「Southern Blood」でもギターを弾いていた腕利きですね。さらに華やかなホーン隊&コーラス隊も付くという大所帯がヘヴンのステージに並ぶ。彼らの繰り出す南部サウンドの芳醇この上ないこと!!リロイ・ホッジズの低音ラインに腰が揺れる揺れる。ホント、ず〜っと聴いていたいグルーヴでしたね。
さて、ステージにはいよいよカーラ・トーマスが登場。一際着飾った姿にはさすがクイーンと呼ばれるディーヴァの貫禄が。そしていきなりオーティス・レディングとのデュエット曲「Lovey Dovey」からスタート。ヴァニース程の力強い筋回しこそありませんが、それでも元気でしたね。まあ、もともとメリスマを効かせて歌うタイプのシンガーではありませんからね。重心の低い南部グルーヴ炸裂の「Something Good」、カーラの歌心を存分に堪能出来たスロー「I've Got No Time To Lose」とスタックス時代の曲が続く。軽快なブルース「Red Rooster」ではカーラのアドリブに絡むチャールズ・ホッジズのオルガンが良い塩梅でしたね〜。この頃にはカーラもノリノリで、まるで観客を手玉に取るように場内を掌握していく。もちろん観客もノリノリでそれを楽しんでる!!
さらに待ってましたの「B-A-B-Y」です。カーラの代表曲に数えられる曲ですし、昨年公開された映画『ベイビー・ドライバー』でも印象的に使われて話題になった曲。ポップな曲だけに、盛り上がりも最高潮。リリース当時の可愛らしい声とはまた違う、年期の入った歌声がまた味わい深い。でもね、なんか可愛らしいんですよ。仕草と言うか、雰囲気が。可愛いおばあちゃん、と言ったら失礼かもしれませんが、何とも言えずチャーミングなんですよね〜。
そしてステージはいよいよ終焉へ。最後は再びヴァニース・トーマスが呼び戻される。MCでお父様ルーファス・トーマスの名が出れば、演る曲は決まってますよね。ホーン隊が高らかに「結婚行進曲」を奏でる、もちろん「Walking The Dog」ですよ!!これは最後のお祭り騒ぎ。ヘヴンが幸福感いっぱいに満たされる。コーラス隊の年配の女性はなんだか涙ぐんでいるようにも見えました。それぐらいの盛り上がりようと言うか、歓迎振りでしたからね。こういうヘヴンの雰囲気、大好きです。最後に「パ、パッ、パ、ドゥ」と戯けるカーラも印象的でした。
メインステージのヘッドライナーにはケンドリック・ラマーがエントリーされたこの日のフジロック。その奥地、フィールド・オブ・ヘヴンは、本物のサザン・ソウルの香りに包まれました。
この日のセットリストは、こんな感じだったかな?
01. Sat'day Night On The River(Vaneese Thomas)
02. Mystified(Vaneese Thomas)
03. Southern Central Blues(Vaneese Thomas)
04. Corner Of Heartache And Pain(Vaneese Thomas)
05. Lovey Dovey(Carla Thomas)
06. Something Good(Carla Thomas)
07. I've Got No Time To Lose(Carla Thomas)
08. Red Rooster(Carla Thomas)
09. B-A-B-Y(Carla Thomas)
10. Walking The Dog(Carla Thomas & Vaneese Thomas)
一応、メモは取ったんですけど、間違ってましたらごめんなさいね。
「Gee Whiz」は演らなかったな〜。
*写真は、MCがカーラ・トーマスのステージの開演を告げていところ。