徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

職業

2005-06-15 02:17:47 | LB中洲通信2004~2010
神楽坂で、飴細工師、紙芝居師、へび屋、銭湯絵師など、“絶滅寸前”の職業に従事する人々をルポしたノンフィクション『職業外伝』(ポプラ社)の著者でフリーライターの秋山真志さんと会う。この本、ルポルタージュなのにそれぞれの職種に対して「○○○○になりたい人へのアドバイス」、「連絡先」も掲載してあるという、まさに(帯にも書いてあるとおり)“ハローワーク外伝”。これが結構売れているそうだ。所謂サラリーマンではない「仕事」に対する興味は増しているのか、昨日お話を伺った阿久悠さんの言葉を借りれば「(日本人の)ドラマへの飢えと憧れ」ということになるのかも。

ツー・スリーで今回の表紙についての打ち合せをした後、恵比寿で写真家の北野謙さん取材。6月に6年越しの企画である、写真集『our face 日本に暮らす様々な人々3141人を重ねた肖像』(窓社)を刊行。こちらは舞妓さん、漁師、医師・歯科医師、バイク便ライダーといった様々な職業に就く人々から修験者、イラク攻撃に反対する人々、サンフレッチェ広島サポーターなど、自発的な“ローカル”の人々のポートレートをそれぞれ重ね合わせ、ひとつの肖像にするという実験的な写真集。それぞれの肖像がひとつに溶け合うことで、“個性”は溶け合い、誰でもない平均値の顔が見えてくる。冒頭に掲げられている「個性とは幻想である」というコピーはかなり挑発的だが、この試み(それを今号の特集テーマと絡めて、ひとつの“演出”と捉えたわけだ)には妙な説得力がある、読み応えのある“写真集”です。週刊SPAに連載中。今回のインタビューでも何枚か作品を掲載させていただくので是非是非。

北野さんが車じゃなかったら、インタビューも酒場で、というところだったが、それはまた今度。

little joe washington『the blues reality』、『ノイズ混じりのアメリカ ブルース心の旅』(冬樹社)購入。