徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

百姓一揆というセクト/「ぼくたちの近代史」

2011-04-30 21:49:02 | Osamu Hashimoto
<全共闘っていうのが不思議なのは「セクト」という形で規定されない、「それ以外のもの」――つまり「非セクト」なんですよね。「それ以外」っていういっしょくたが全共闘なのね。で、全共闘という概念のその外側が何によってくくられるかというと、これは「一般学生」というカテゴリーによってくくられる。「一般学生」以外でしかも「セクト」ではない――だからノン・セクト・ラジカルなのね。
 セクトであることを拒否していて、ラジカルで――要するに本来的でありたいっていう、なんか、「あァ、百姓一揆の理念ってこれだよね」っていうようなもんだけれども、それがあるから「全共闘」というセクトはない。「全共闘」というセクトが出来上がること自体が自己矛盾なのね。ノン・セクト・ラジカルであるということは、「セクト的であるということを一切拒否するのである」っていうことなんだけれども、それがいかに大きなプールでも、外を閉じられてしまえば、それは「全共闘」という膨大な一つのセクトになっちゃうわけね。だから、安田講堂にとどまることだって膨大な一つのセクトになること。「セクト的であることはやめよう。我々は、仮に『全共闘』というような、枠組を持たない、熱気によって出来上がっている一つの集団でありたいね」みたいなもんだったと思うんだよね。
 だから、全共闘はあくまでも、枠組を拒否してきたんだけれども、戦いが始まってしまうとね、敵と味方っていうのがはっきりしますからね。そうなってくると、もうセクトになるしかない。>

<ところが全共闘の場合、理論によって出来たセクトじゃない。だから、それがセクトになった後で、全共闘というセクトは、理論を作らなくちゃいけなくなっちゃったのね。作らなくちゃいけなくなったんだけど、理論てないんだよ。はっきり言って。だって「大人は判ってくれない」なんだもん。理論を作るんだとしたら、「大人は判ってくれない」ってとこからスタートする理論を作ってかなくちゃいけないんだけど、でも既にその頃の状況は“政治の季節”になっちゃってますからねェ。そういうことは全部政治用語で語らなくっちゃいけないんですよね。(中略)その時代誰が一番カッコよかったかっていうと、日大全共闘の「秋田明大」さんなんですよね。彼は、理論を言ってたんじゃなくて、「僕達には理論がないけれども、でも理論というものを持ってもいい筈だ」って、そういう演説をしてた人だからね。そのことが多分、一番カッコよかったんだと思う。>
(橋本治「ぼくたちの近代史」主婦の友社1988)


ぼくたちの近代史
<本書は、橋本治スーパー6時間講演会「ぼくたちの近代史」(於:池袋コミュニティ・カレッジ,1987年11月15日)の内容に補筆したものです。鬼才橋本治が語り尽くした「近代の検証と行方」の感動の書。>

登録情報
単行本:218ページ
出版社:主婦の友社 (1988/09)
ISBN-10:4079275471
ISBN-13:978-4079275477
発売日:1988/09
商品の寸法:19x13.2x1.6cm

途上/第8節 横浜FM戦

2011-04-30 05:34:14 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


日産スタジアムで横浜マリノス戦
前節の福岡戦は参戦できなかったので柏戦以来のリーグ再開。日産スタジアムの観にくさはもちろん相変わらずなので失点シーンは帰ってからyoutubeで確認するまでよくわからなかったのだけれども、残り10分で守り切れなかったのは、やはりゴトビが言うとおりチームとしての経験不足を露呈してしまったとしか言いようがない。それまでマリノスの強力なセットプレーをある程度しのぎ切っていただけに、やはり勝ちを逃したような気分である。
マリノス側にとってみれば左サイド(清水の右サイド)を中心に攻勢に出ていた場面も多く、それはそれで勝ちを逃した、PKは誤審と言いたい気持ちもわからないでもないが、レフリングに関しては明らかに清水の方が厳しく取られていたような気がする。望外のPKゲットで、奴が残り10分の間にバランスを取ろうとしないか、それが気になったほどである。で、確かにPK以降のレフリングは確実に(マリノスに甘かったとは言わないが)清水にはより厳しい判定が続いた。清水PA周辺のFKが続き、アディショナルタイムにGKと1対1になりかけた場面で止められたのにはさすがに激昂した。レフリーはゲームの演出家ではないのだ(メインスタンドの副審もかなり酷かった)。ホーム開幕戦のマリノスはもちろん、清水も福岡戦から確実に内容が向上していた好ゲームだっただけに余計なコントロールには興醒めである。
もちろんゲームマネジメントやコンビネーションには不満がある。元紀の好調ぶりは目立つが、フィジカルに不利があるとはいえボールロストも少なくない。これは元紀のみならず、それぞれが孤立しがちなことも原因だろう。しかし強力な個の力が問題を解消(糊塗)しない限り、こればかりはチーム全体で時間をかけていくしかない。
まあ、それでもこのチームがまだ途上であることを考えれば、好調のマリノス相手にこの内容は悪くないと思っている。

ゲーム終了後、伸二の肩に腕を回してゴトビがゴール裏にやって来た。この人は本当にJリーグを楽しんでいるのだろうし、ゴール裏へのアピールという大事なマネジメントを忘れない人だ。
先週末にはクラブの収支報告が行われ、5年振りの赤字が公表された。しばらくは厳しい時期が続くかもしれないけれども、それでもオレが彼らに拍手を送り続けたいと思うのは、やはりゴトビへの期待感なのだ。
リーダーって本当に大事だよ。

次戦は来月5月3日にアウスタで広島戦。今度はアウスタに参戦する予定。東名が渋滞しなきゃいいけど…。


いや、しかし突き抜けるような青空ではなかったけれども、休日らしいいい天気だった。
まさか、そんなに遠くない場所で重大事故が進行中で収束の見込みもないとは思えないよね。
スタンドも子どもだらけだったし、スタジアムの周辺には鯉のぼりが泳いでいたりして。まあ「子どもたちを守る!」みたいなことは言えないけど(いればいたでサッカー小僧のがきんちょ共はウザイし…)、やっぱり、こういうサッカーの風景は守りたいとは思うよなァ…ちと大袈裟かもだけど。

久々に大声で歌って、すっかり声が枯れた。でも気持ちはいい。