金曜日は18時から有楽町駅の九電東京支社前での抗議行動。
<玄海原子力発電所3号機 新燃料の輸送>について、一週間ほど前にTwitterデモの平野君がTwitter上で提案してすぐに決まったアクションだったが、途中参加、中抜けを含め約100名ほどが入れ替わりながら参加した。11月2日に行われた前回の行動と同様、この日も終了時間は決まっておらず、約3時間半、21時過ぎまで抗議は続いた。
九電東京支社が入っている電気ビルと植え込み周辺に並んでいるデモの集団の間にある歩道にはひっきりなしに歩行者が歩いている。有楽町駅の日比谷口は周辺で働くサラリーマンやOLのほかにも銀座方面の劇場やホテルに向かう一般の観光客や外人さんが少なくない。また古い飲み屋街でもあるのでかなり酔っ払いも多い。
ここは渋谷とは違う、大人の街である。顔色ひとつ変えずに歩道を早足で駆け抜けて家路に急ぐ人もいれば、露骨に迷惑そうな顔をするOLもいるし、酔っ払いがデモ集団に声をかけてきたり、若者や観光客が写真を撮ったりもする。3時間半の抗議行動の間にコールやスピーチが響く歩道を抜けていった「大人たち」の数はデモ集団の数十倍に上る。
前回、某団体が主催した抗議活動と比較しても警官はかなり少なく、この日は4、5人といった数で、それすらもデモ半ばにはいなくなった。残るのは気の毒な警備員さん数人だけである。
2時間ほど経った頃には、「7階」にもう誰もいないんじゃないかとすら思い始めていた。
しかし、その後も、当然デモは続く。そこには九電(東京支社)とデモ集団という当事者と、その間を隔つ歩道を歩く、どちらでもない、膨大な「大人」たちがいるからである。オレは九電に抗議しながら、歩行者の人たちに向けて、そして有楽町駅のホームにいる人たちと路上に向けて止まる京浜東北線に向けてコールをし、プラカードを掲げた。
たとえ立ち止まって一緒になってプラカードを持ってコールしなくても、九電の入る電気ビルを振り返って見る人たちがいればいいのである。その微かなリアクションだけでもポジティブに捉えたい。また、この夜は何人か、通りすがりにはき捨てるようにデモに文句を言った人もいたようだけれども、そんな反応ですらポジティブに捉えた方がいいのではないかと思う(もちろん、理不尽にも、言われた方は災難だけれども)。面倒臭い話になったら「日の基」の横にある立ち飲みスペースあたりで缶ビールやチューハイでも呑みながら語り合えばいいのである。
彼らを振り向かせ、立ち止まらせることが次の行動につながることを信じたい。
この夜、デモの途中にトイレへ行った帰りに、煙草を吸いに立ち飲みスペースに入った。
その中でひとりの若いサラリーマンが「原発なんてどうでもいいけどさ、仕事くれよ」と呟いた。しかし連れから「あの集まり(デモ)は何?」と訊かれると、おそらく知っているはずの彼は「知らない」と応えていた。
面倒なことに対しては「知らない」と答えてしまった方が楽なのは理解できるんだけどね。
しかし、もう、事は起こってしまっている。
彼も、いつまでも「知らない」で頬かむりするわけにはいかないだろうと思った。