徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

僕等は夏休みの子供だった/「ぼくたちの近代史」

2013-06-09 08:42:02 | Osamu Hashimoto
<そんで、言ってみれば前近代のアナーキズムを体現しているチビッ子ギャングみたいなもんなんだけど、ところがそれがね、生産性を発揮しちゃうってのは、小学校の夏休みてのは、地区でなんとかしてなくちゃいけないっていう地区の教育みたいのあるでしょ。地域教育みたいなの。だから毎日朝起きて掃除しましょうって。横丁の掃除しましょうって、毎日ラジオ体操やって掃除するっていう風に俺等六年生が率先してね、やってんだよね。そんで俺、掃除しろって言われるとやってる方だから。太田さんのミッちゃんてのも掃除しろっていうと、自分の出番が来てるから、なんか張り切っちゃって、目ェ吊り上げて掃除してるって変なことになって、近藤さんのイサムちゃんだって、本当は掃除なんて全然嫌いな子なんだけどね、みんなやってるからやってるっていうのがあるからね。だから夏休みがね、とことん、なんか、突然規則正しくなっちゃうの。誰に言われたわけじゃないけど――誰かに言われたかもしれないけどね、毎朝六時くらいにラジオ体操して、それが終わるとね、掃除してね、打ち水してね、「じゃあね」って言ってご飯食べに帰ってくって、なんであんなに規則正しくしてたんだろって思うんだけど。
 そういう子供達がさ、朝ご飯終わって、そんで、勉強もしたんだかなんだか分かんないけど、ポツッポツッと、昼過ぎんなると原っぱに現れて、突然、全くそういう建設的な行為とは無関係なドタバタやったっていう風になるんだけど、そのドタバタやってく中でやっぱし人間関係って作っちゃうのね。小さい子はかばってやんなきゃとかね。小さい子でも、「やっぱし、ここんとこで跳ばないと強くなれないよ」って、なんか無理矢理跳ばしちゃうとかね。>

<で、それが一方では学校なんですよ。夏休み終わっても学校へ行けば、そういう世界が待ってるわけ。だから別に、その原っぱがなくなったって、寂しがる理由はないのね。でもね、でも違うんだよっていうのはね、原っぱっていうのは序列がないんだよね。でも学校って序列があるんだよね。>

<たとえば『練監ブルース』が歌えてさ、「おー、オサン」って――俺のこと「オサム」って言わないで「オサン」て言うんだけど、のれば平気でバシバシぶってしまうっていう乱暴なイサムちゃんだって、やっぱしその子なりに取り柄はあるんだけど、学校へ行くと、単に成績が悪い子に変わっちゃうんだよね。太田さんのミッちゃんだって学校へ行ってしまうと、なんかやっぱし、普通の家の子よりもちょっと貧乏な子でっていう風に変わっちゃうのね。トウジンバラのテッちゃんなんて、サブリーダーって感じでわりと張り切ってた子なんだけど、学校行ったら下級生なんだよ。だから学校行ったって、昨日の原っぱの友達に次の日新学期で会うと、もうみんな「学校に捕まった」って顔してんの。原っぱの顔じゃないんだよね、全然。>
(橋本治「ぼくたちの近代史」主婦の友社1988)


ぼくたちの近代史
<本書は、橋本治スーパー6時間講演会「ぼくたちの近代史」(於:池袋コミュニティ・カレッジ,1987年11月15日)の内容に補筆したものです。鬼才橋本治が語り尽くした「近代の検証と行方」の感動の書。>

登録情報
単行本:218ページ
出版社:主婦の友社 (1988/09)
ISBN-10:4079275471
ISBN-13:978-4079275477
発売日:1988/09
商品の寸法:19x13.2x1.6cm

爆弾発言連発の非公開会議を生放送/エジプト×エチオピア 青ナイル川をめぐるダム開発問題地図

2013-06-09 06:15:30 | News Map

■ダム建設予定地
<エチオピアはナイル川の二大源流のひとつ、青ナイル皮のスーダン国境近くで発電用ダムの建設に着手。高さ約150㍍、長さ約1・8㌔で発電能力は6000メガ㍗に上り、規模はアフリカ最大。事業費も50億㌦(5000億円)と破格だ。(中略)エチオピアは「下流に影響は出ない」と主張。だが、神経をとがらす下流のエジプト、スーダン両政府は29日、カイロで対応を協議した。(中略)エジプトは従来、1929年以降の協定で、ナイル川の水利権で強い立場を維持し、上流で各国が水資源開発を行なう場合は、事前合意を求めていた。だが、アフリカ諸国の独立や人口増に伴い、エチオピアを含む流域諸国は2010年、エジプトの合意がなくても事業ができるとの新たな取水協定を結んだ。「アラブの春」でエジプトの内政混乱の長期化を見越し、エチオピアが建設を強行したとの見方も出てきている。>
(東京新聞2013年6月1日付 ナイル川 水争い/上流エチオピアダム計画×下流エジプト戦々恐々)

<ダムをめぐっては、各政党指導者らがモルシ大統領に軍事攻撃などを求めた非公開会議が誤って国営テレビで生放送される珍事があり、波紋が広がっている。(中略)本来は非公開のはずだった会議が、事務方の不手際で生放送され、安全保障上の重要な意見交換の場が、白日の下にさらされた。リベラル派の政党代表は「エジプトが(ダム破壊のため)高性能の軍用機を購入する計画を進めているという情報を広め、エチオピアに圧力をかけてはどうか」と秘策を提案。厳格派イスラム政党「光の党」代表は「エチオピア国内の反体制派を支援し、交渉カードに使うべきだ。協議が不調なら最終的にダムを破壊すればいい」と爆弾発言をした。(中略)大統領府側は陳謝したが、国民の失笑を買っている。>
(東京新聞2013年6月7日付 エチオピアに「ダムやめて」 エジプト非公開会議生放送)

「任務を維持するには危険な状況」/シリア内戦・ゴラン高原クネイトラ地図

2013-06-09 05:58:05 | News Map

<シリア内戦の悪化を受け、イスラエルがシリアから占領するゴラン高原で1974年から停戦を監視してきた国連平和維持活動(PKO)の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)が、存続の危機に面している。(中略)ゴラン高原のクネイトラで6日、シリア軍検問所の支配権をめぐり、アサド政権側と反体制派が激しく衝突。UNDOFのキャンプ地も被弾し、フィリピン人とインド人の要員が負傷した。(中略)国連によると、現在911人が派遣されているが、そのうちオーストリア部隊は377人と最大。341人を派遣するフィリピンも撤収を検討している。日本は既に、今年1月までに撤収を完了し、クロアチアも引き揚げた。>
(東京新聞2013年6月8日付 ゴランPKO シリア内戦が影響 オーストリア隊撤収へ/ロシア主力部隊派遣も プーチン氏表明)