日曜日、銀座(その後の渋谷も)ではいろいろとあったようだが、ネイキッドロフトでレイシストをしばき隊presents 言論しばき VOL.2「ヘイトとは何か」。
もはや「言論(理屈)」で在特会周辺に勝ち目がないのは当然なわけだが、野間さん、松沢さんが4時間半に渡ってヘイト豚とその一味を完全に「言論」でしばきまくる。また弁護士の山下さんは法律家の立場からヘイトに対峙していくための法律の解説とその具体例を挙げていく…のだが実は国連の人種差別撤廃条約を留保付きで締約している日本の差別に対する認識の薄さ、ヘイトスピーチの法規制に関して「表現の自由」を金科玉条とする法曹界を中心にしたの抵抗などが多少愚痴っぽく語られた。
目の前にあからさまな「ヘイト」が通り過ぎても凝り固まった世間の認識はなかなか動こうとはしない。
この日、提示された資料、データは野間さんがUPしているのでそちらを参照。これを読むだけでも現状を把握することができると思います。
前半「ヘイト解説」
後半「法規制関係」
(↑ヘイトスピーチの意味と新大久保の現状をダイレクトにわかりやすく表現した図解は、やっぱしこれ)
イベントの終盤、「天皇朝鮮人説」を質問した方がいたのだけれども、これを野間さんはレイシスト言説に対抗するためのレトリックとして認めつつも「(民族も人種も)フィクション」と言い切った。
そして、ある人たちにとっては差別やヘイトもフィクション(他人事)なのだろう。
そんなフィクションに対していかにシリアスに向き合い、乗り越えていくのか。法規制のハードルは高いのだろうが、その一方で小さくとも個人でやれることはある。レイシストをしばき隊(カウンター)やプラカード隊はそのひとつの「やり方」である。
時代遅れの理屈やフィクショナルな言葉が行動を縛るのではなく、スピーカーや参加者が語ったひとつひとつの具体的な言葉が「あと一歩」を踏み出させるきっかけになる、そんなイベントになったと思う。
今、現場でリアルに生きている言葉や現状に生かされるべき法律ってのはそういうものである。
4時間半に渡る言論しばきの最後を野間さんは「このへんに…しといたるわ!」と締めた(…言うと思った)。
イベント終了後、Fマリノスの清さん@masterlowに初めて挨拶。
それまで挨拶をしたことはなかったけれども、その言葉と行動力において実に誠実な人だと思っていた(見た目は違った)。
来月11日に同じネイキッドロフトでサッカーとレイシズムに関するトークイベントを開催する予定だという。予定されている参加者を聞く限りではサッカーファンにとってはかなり豪華になりそうだ。おそらくこの日同様ustでも中継されると思うのでこれは必見。できれば現場で。
サッカーにとってレイシズム、ヘイトはかなり身近な存在である。2ちゃんねるのサッカー板やヤフコメを巣食っているのは「ネタ化」されたレイシズムとヘイトスピーチの数々で、正直そんな言葉が、呑みの席などでリアルに漏れてきたときは暗澹たる思いになるものだ。
清水エスパルスにとっても一昨年5月のダービーで起こった「ゴトビ核兵器弾幕」は記憶に新しいだろうと思う。あれはライバル関係にあるチーム(清水)に対して少年2人(磐田)が行なった悪ふざけというだけではなく、ヘイトスピーチの一種であったことは、まず、間違いない。
経緯と顛末は発生当時以下のエントリーで書いた。
自己表現/第13節 磐田戦(2011年5月29日)
誹謗中傷について(2011年7月1日)
清水ゴール裏の連中は、おそらく後先を考えずに磐田ゴール裏に殺到した。これは、まずまったく感覚的に正しい(弾幕の表現がヘイトスピーチに該当するという認識はなかっただろうけれども)。
しかし「事件」の収束は腰砕けになってしまった。
少年たちの無邪気なヘイトスピーチに関して、リーグはまったく問題意識を持ち合わせていないことが露呈したのだ。まるで「現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の煽動が行われている状況にあるとは考えていない」(2013年1月、国連人種差別撤廃委員会に提出した人種差別撤廃条約の実施状況に関する「第7回・8回・9回政府報告」)と同じような、愕然とするような認識がそこにはあった。
違和感があるなら、まず動こう。その違和感に間違いがなければ理屈なんてものは、実は、後からいくらでもついてくる。