VERAプロジェクトの成果として、国立天文台と山口大学の合同研究チームは、大質量星形成領域 S269 のメタノールメーザーガスの固有運動の計測に成功した。
VERA(VLBI Exploration of Radio Astrometry=VLBI技術による電波位置天文学の探究)とは、銀河系の3次元立体地図を作るプロジェクト。VLBIという電波干渉計の手法を用いて、銀河系内の電波天体の距離と運動をこれまでより100倍高い精度で計測し、銀河系内にあるメーザー源の位置と運動をはかり、銀河系の真の姿を明らかにする。 国立天文台を中心に、多くの大学や研究所からさまざまな分野の研究者が参加し、2003年から観測が始まっている。
S269 は、VERA により太陽系から 1万7250±750光年の距離にあることが突き止められ、この観測当時は人類が三角測量を用いて計測した最も遠い天体であった。
星形成領域のメーザーガスを時期を変えて VLBI 観測すると、メーザーガスが時間経過と共に動いて行く様子を見ることが出来る。
しかし、S269 のような遠い天体では、星の周囲のガスの動きが分かるのに時間がかかる。しかもメーザーガスの明るさはしばしば激しく時間変動するため、ガスが明るく輝いているうちに運動を見分けならない。
このような理由から、これまで遠距離の星形成領域のメーザーガスの固有運動は、あまり計測されていなかった。
ところが大質量星形成領域の 6.7 GHz メタノールメーザーは、メーザー放射の中では比較的安定しており、数年以上に渡り輝き続けることが知られている。
国立天文台と山口大学の合同研究チームは、2006年と2011年に、S269 のメタノールメーザーを VERA を含む日本の VLBI 観測網で観測し、さらに 1998年にヨーロッパで行なわれた観測結果とも比較した。
その結果、S269 のメタノールメーザーガスの主な塊が1998年から2011年の13年間に渡って安定して存在していることが分かった。そして、そのメーザーガスの塊同士が互いに離れて運動していることを突き止めた。この運動は、S269 の若い星からのアウトフローによるものと考えられる。
この観測には、VERA の他、山口32m望遠鏡、茨城32m望遠鏡、さらに JAXA の臼田64m望遠鏡が参加した。いずれも大口径で高感度な望遠鏡であり、遠方にある S269 の観測において重要な働きをした。
VERA(VLBI Exploration of Radio Astrometry=VLBI技術による電波位置天文学の探究)とは、銀河系の3次元立体地図を作るプロジェクト。VLBIという電波干渉計の手法を用いて、銀河系内の電波天体の距離と運動をこれまでより100倍高い精度で計測し、銀河系内にあるメーザー源の位置と運動をはかり、銀河系の真の姿を明らかにする。 国立天文台を中心に、多くの大学や研究所からさまざまな分野の研究者が参加し、2003年から観測が始まっている。
S269 は、VERA により太陽系から 1万7250±750光年の距離にあることが突き止められ、この観測当時は人類が三角測量を用いて計測した最も遠い天体であった。
星形成領域のメーザーガスを時期を変えて VLBI 観測すると、メーザーガスが時間経過と共に動いて行く様子を見ることが出来る。
しかし、S269 のような遠い天体では、星の周囲のガスの動きが分かるのに時間がかかる。しかもメーザーガスの明るさはしばしば激しく時間変動するため、ガスが明るく輝いているうちに運動を見分けならない。
このような理由から、これまで遠距離の星形成領域のメーザーガスの固有運動は、あまり計測されていなかった。
ところが大質量星形成領域の 6.7 GHz メタノールメーザーは、メーザー放射の中では比較的安定しており、数年以上に渡り輝き続けることが知られている。
国立天文台と山口大学の合同研究チームは、2006年と2011年に、S269 のメタノールメーザーを VERA を含む日本の VLBI 観測網で観測し、さらに 1998年にヨーロッパで行なわれた観測結果とも比較した。
その結果、S269 のメタノールメーザーガスの主な塊が1998年から2011年の13年間に渡って安定して存在していることが分かった。そして、そのメーザーガスの塊同士が互いに離れて運動していることを突き止めた。この運動は、S269 の若い星からのアウトフローによるものと考えられる。
この観測には、VERA の他、山口32m望遠鏡、茨城32m望遠鏡、さらに JAXA の臼田64m望遠鏡が参加した。いずれも大口径で高感度な望遠鏡であり、遠方にある S269 の観測において重要な働きをした。