国立天文台、中国国家天文台などの研究者から成る研究チームは、中国の分光探査望遠鏡「LAMOST」による探査で選び出した恒星を、すばる望遠鏡に搭載した高分散分光器HDSで詳細に観測するという共同研究を2014年から続けている。
同研究チームは、これまで観測した400個を超える恒星の中に、元素組成に際立った特徴のある恒星を発見した。こういった恒星が天の川銀河で見つかったのは初めてだが、天の川銀河を取り巻く矮小銀河ではこれまでにいくつか見つかっている。
この恒星は矮小銀河の中で誕生したものの、母体である矮小銀河が後に天の川銀河と合体した結果、現在は天の川銀河の一員となっていると考えられる。また、この恒星の母体である矮小銀河が誕生してから天の川銀河と合体するまでは、ある程度の時間が経過していたことが示唆された。
天の川銀河のような大きな銀河は、周囲にある小さな銀河との衝突・合体を何度も繰り返して成長してきた。恒星の元素組成を調べることは、天の川銀河の成長の歴史を研究していく手掛かりとなる。