荻原浩の『海の見える理髪店』を読んだ。6篇の短編を収めた短篇集で直木賞受賞作。
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収録されているのは「海の見える理髪店」、「いつか来た道」、「遠くから来た手紙」、「空は今日もスカイ」、「時のない時計」、「成人式」。
「空は今日もスカイ」だけはちと毛色が違うのだが、これらの作品に共通するのは”想い出”。悲しい想い出、辛い想い出、楽しかった想い出が語られる。どれも、過去を振り返りつつ前向きなラストで読み応えあり。表題作は作者の巧さがよくあらわれていて、「成人式」は泣ける。この2編がわたしの好み。筆者はやっぱり引き出しが多くて巧いのが再認識できる作品。