村田沙耶香の『コンビニ人間』を読んだ。芥川賞受賞作。
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自分の思考や行動が「普通ではない」ことを理解していて、極力周囲との関係を断って大学生になった主人公。コンビニでアルバイトを始めると、マニュアル化された仕事が合うのか、うまくなじんで18年間同じ店で働き続ける。ただ、周囲からは、結婚しないことやずっとアルバイトでい続けるといった「普通でない」ことを指摘されることが多くなり・・・。
ちょっと特殊な思考の「普通でない」主人公の内面を描いていく。「普通」の人たちから指摘されることに常に言い訳を用意して生きる主人公が切ない。コンビニ店員であることが自分の存在価値であることを認識するラストはけっこう好きだ。160頁程度の短い作品ながら読み応えたっぷり。読んでおきたい作品だ。
余談だが、わたしがコンビニのオーナーなら、この主人公は社員にしてでも店にいてほしい人材だな。そしてこの作品後半のキーマンの白羽だが、こんなやついるよなぁ と思いながら読んでいた。