荻原浩の『二千七百の夏と冬』を読んだ。上下巻合わせて600頁くらいの長編作。山田風太郎賞受賞作。
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舞台は縄文時代末期、猪や鹿を狩って生きている縄文人のウルクが主人公。村の掟を破って村から追放され、米を村に持ち帰らないといけない状況で、米を求めて南へ向かうウルクの冒険譚。米を作る弥生人のクニにたどり着き、カヒィと恋に落ちる物語でもある。さらに現代で彼らの遺跡が発見される視点からも描かれる。
いやー、なんにも資料がない中で、あてずっぽうの推量だけでここまでの物語を紡ぐのはすごいなーって印象。奇想天外より落つっていうのはこういうことか。縄文人が弥生人と出会って恋に落ちる展開もすごいが、縄文人の狩りの様子をリアルに描くのもすごい。クライマックスは巨大なクマとの闘いで、読み応えあり。こりゃ面白い。読んでおかないともったいない作品だ。