先日の目黒孝二の訃報にふれて、藤代三郎の『戒厳令下のチンチロリン』を本棚から引っ張り出してきて再読した。前回読んだのはたぶん30年くらいまえ。著者は本名は目黒孝二だが、書く内容によって名前を変える人で、書評は北上次郎、ギャンブル系は藤代三郎など。
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時代背景は昭和50年前後。競馬でいえばトウショウボーイ、テンポイント、グリーングラスなどが活躍していたころ。主に競馬、麻雀、チンチロリンでのエピソードと、ギャンブル仲間のお話し。話しの途中で必ず脱線して全然違うところへいってしまうのだが、必ず元の話に戻ってくるのが著者らしい。登場人物(ギャンブル仲間)の描写(紹介)が楽しいのも著者の特徴。今で言うペーパー馬主ゲームがお話しの中に出てくるのだが、初めて読んだ当時「これは面白そう」と思ったことが印象に残っている。久しぶりに読んで驚いたのは、1人称の代名詞が「おいら」だったこと。『外れ馬券ー』シリーズは「私」なので、雰囲気がずいぶん変わる印象だ。
ギャンブルに興味のない方にはおススメしないが、それでも楽しく読めるお話しで、ギャンブル好きは必読の作品だ。
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