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バッハ無伴奏チェロ六組曲の中には音楽の歴史が凝縮されてる、というニックのエッセイを読んだからかどうか知らないが、昨夜の演奏会の2時間半の間に時を駆ける旅をしたような気がしてならない。過去に戻る旅ではなく、ほんの2時間半先の未来へ向かう旅。寝ていても、何もしなくても、2時間半先の未来へは行ける。だけど2時間半の間に確かに成長してゆく美しいものを見たのだ。
まず組曲そのものが成長して行った。次に組曲に相応しい者となるべくニックが成長して行った。ニックにしっかり抱かれたチェロも共に成長して行った。一番には一番に相応しいニックとチェロがあり、六番では六番に相応しいニックとチェロになった。その事に何より感動した。林檎の種が、芽を出し、葉を開き、根を伸ばし、木と成り、枝が張り、その先に白い白い花が咲き、最後に真っ赤な林檎の実がなる。その過程を2時間半で見た。そんな経験であった。驚いた。見守る私達も2時間半分確かに成長した。そんな感動をくれる演奏会であった。