ミセスローゼンの上人坂日記

台風の夜のプールにただよへり



世界一うまいランディのドーナツ

七月四日は、アメリカ独立記念日。NYに住んでた頃は、マンハッタン島の西と東を流れるハドソン川とイースト川に花火が揚がるのを楽しみに見た。ニックにとって七月四日は特別な日である。四十年前の七月四日、ニックはモスクワに居た。チャイコフスキー国際音楽コンクールにおいて、アメリカ人チェリストとして初優勝したのが独立記念日だった。世界中から集まったチェリストの中で、四十人くらいが一次審査に残り、無伴奏バッハ六番プレリュード、ロカテッリソナタ、ペッツォといった超絶技巧曲を競う。二次審査では音楽性を問われる。課題曲は、ショスタコヴィッチのヴィオラソナタをチェロで弾く。自由曲に、ニックはブラームスのチェロソナタ二番を選んだ。ファイナリストが発表になり、ニックはそこに勝ち残って居たが、同時に課題曲ショスタコのヴィオラソナタに対する「審査員特別賞」というのがニックに授与された。その瞬間、ヤバイと思った。特別賞を与えて体良く俺をメダル争奪戦から追い出すつもりか?!と、逆奮起したそうだ。その追い込みのお陰で、決勝の「ロココ・ヴァリエーション」では実力以上の力が出せたと思う。
タイムマシンで過去に戻れるなら、どの地点に戻って人生やり直すか、と考えた時私は、もう人生やり直さんでええから、1978年7月4日のモスクワにタイムトラベルして、ニックのこの決勝のロココを聞いてみたいもんだと思う。
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