母子草という句集を頂く。正月に次女が帰省していたので、ちょうど母子の時間を過ごしつつ、母子句集をゆっくりと読んだ。母子どちらの頁にも互いへの愛情があり、頁をめくるたび微笑ましかった。
まずは母、田中幸子さんの頁から大好きな十句。俳句の醍醐味は観察。物の姿をじっと見ていると不思議な世界が見えてくる。
啓蟄の卵の少し長きこと
はこべらにいきなり大き葉が出でぬ
石割つて中みづみづし聖五月
ほつそりと耳のかたちの梅雨茸
不思議なシチュエーションにも敏感になる。大感動は俳句にしなくても思い出になるが、小感動は俳句にしないといつのまにか消えてしまう。
平城京跡蟷螂が食べられてゐる
大試験終へて膝つく畳かな
犬の死が応へて夏痩男かな
まずは母、田中幸子さんの頁から大好きな十句。俳句の醍醐味は観察。物の姿をじっと見ていると不思議な世界が見えてくる。
啓蟄の卵の少し長きこと
はこべらにいきなり大き葉が出でぬ
石割つて中みづみづし聖五月
ほつそりと耳のかたちの梅雨茸
不思議なシチュエーションにも敏感になる。大感動は俳句にしなくても思い出になるが、小感動は俳句にしないといつのまにか消えてしまう。
平城京跡蟷螂が食べられてゐる
大試験終へて膝つく畳かな
犬の死が応へて夏痩男かな
親を見にぶらりと寄りぬ花大根
春雨の音一眠りしたのかも
綿虫が越ゆ寂庵の木の扉
続いては息子、藍生を代表する俳人、田中啓介さんの十句。才気迸る母の瑞々しい句風とも違う、淡々と綴られる青年の叙情、紳士のユーモワ。
梅の花男は黙つてと昔
節分草といふ名覚えし下宿かな
國引の山馳せ下る毛蟲かな
春寒やボトルを入れてみたものの
初櫻転校生と思はるる
父母を客に迎へて去年今年
神棚の御札揺らして歌留多取り
初詣願ひ極力絞りけり
チューリップ童顔なれど腹黒し
立冬や雲のあはひに星探し
春雨の音一眠りしたのかも
綿虫が越ゆ寂庵の木の扉
続いては息子、藍生を代表する俳人、田中啓介さんの十句。才気迸る母の瑞々しい句風とも違う、淡々と綴られる青年の叙情、紳士のユーモワ。
梅の花男は黙つてと昔
節分草といふ名覚えし下宿かな
國引の山馳せ下る毛蟲かな
春寒やボトルを入れてみたものの
初櫻転校生と思はるる
父母を客に迎へて去年今年
神棚の御札揺らして歌留多取り
初詣願ひ極力絞りけり
チューリップ童顔なれど腹黒し
立冬や雲のあはひに星探し