ロック探偵のMY GENERATION

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RCサクセション「空がまた暗くなる」

2018-02-22 16:23:42 | 音楽批評
今回は、音楽記事です。
前回このブログは忌野清志郎ヘビーローテーションだといいましたが、それをもう少し続けて、いよいよRCサクセションについても書きたいと思います。なにしろ、RCこそが清志郎の出発点であり、レジェンドのはじまり……そこは避けて通れないでしょう。というわけで、RCの曲を一つとりあげて紹介したいと思います。

RCの有名な曲はいくつもありますが、そのなかで私が今回ピックアップしたのは、「空がまた暗くなる」。
1990年、3人になったRCサクセションが活動休止前に最後にリリースしたアルバム『Baby a Go Go』に収録されている曲です。

 

このブログではときどき政治のことなんかも書いていますが、そういう話題で書いていることともこの歌はつながってくるように思えます。
こんな歌です。



  おとなだろ 勇気をだせよ
  おとなだろ 知ってるはずさ
  悲しいときも 涙なんか
  誰にも 見せられない

  おとなだろ 勇気をだせよ
  おとなだろ 笑っていても
  暗く曇った この空を
  かくすことなどできない

  ああ 子供の頃のように
  さぁ 勇気をだすのさ
  きっと 道に迷わずに
  君の家にたどりつけるさ

「おとなだろ」といいながら「子供の頃のように」勇気を出せといったり、泣いちゃだめだといいながら笑ってちゃだめだいったりするのはなんだか矛盾しているように聞こえますが、こういう相反するようなことを同時にいう表現は清志郎の作品によく見られます。
たとえば、ソロでリリースした『GOD』というアルバムに「愛と平和」という曲があって「待ってるのは愛と平和のラブソング」と歌ってますが、その同じアルバムに収録されている「KISS」という曲では、「愛とか平和とかどうでもいいのさ」といってたりします。
以前ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」の記事で書いたような感覚があるんじゃないのかな……と私は勝手に推測しています。まあ、前出の『GOD』の例は、それとはちょっと違う気もしますが……


  おとなだろ 勇気を出せよ
  おとなだろ 知ってることが
  誰にも言えないことばかりじゃ
  空がまた暗くなる

「家に帰る」というような表現は清志郎の歌によく出てきますが、これは、「本来あるべき姿に戻る」「あるべき方向に進む」というようなことを表すものと思われます。ふたたびビートルズを引き合いに出すと、「ゴールデン・スランバー」みたいな感じじゃないでしょうか。その「あるべき場所」というのが、「愛と平和」ということなんだと私は解釈しています。

おとなはやっぱり、現実に向き合わなきゃだめなんです。
暗い現実に目を背けていちゃだめなんです。
清志郎がいいたかったのは、そういうことなんだと思います。だからこそ清志郎は、社会的なメッセージを込めた歌を発表し、また、アースデーコンサートに出たりもしていました(そこで突然、予定になかった「あこがれの北朝鮮」や君が代パンクバージョンを歌い出してラジオ中継を混乱させたりしたわけですが……)

私も、清志郎をリスペクトする一リスナーとして、そこはやっとかなきゃいかんなと思っています。
なので、たまにこのブログで世の中のことを書いたりしているわけです。

もちろん、オリンピックもいいでしょう。
小平選手の金メダルは素晴らしいし、女子パシュートの金メダルも感動でした。でも、それはそれとして、大人なら世の中のことも考えなきゃいけません。
今の世の中、ほんとうにこれでいいのか。
法案の根拠になるデータが間違ってました、でも法案はそのまま通します……なんてことでいいのか。そういうことをきちんと考えないと、世の中どんどんひどくなっていくんじゃないか。オリンピックの話題が、暗い現実から目をそらす逃げ道になっているのだとしたら、空がまた暗くなっていくばかりです。


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