ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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ブロードサイド・フォーの名曲を振り返る

2024-01-29 23:05:47 | 過去記事

ザ・ブロードサイド・フォー「若者たち」

今回は、音楽記事です。前回、五つの赤い風船「遠い世界に」を紹介しましたが……このあたりは、もう日本フォークの草創期といってもいい時期です。その時期を代表するフォークグループと......


過去記事です。

ブロードサイド・フォーの「若者たち」について書いています。

先日『変身忍者 嵐』というドラマのことをちょっと書きましたが……そこにヒロインとして登場するくノ一、カスミを演じているのが林寛子さんという方で、この方の結婚相手がブロードサイド・フォーの中心人物である黒澤久雄さんだということを最近知りました。後に離婚されているということですが、娘さんが一人いて、その結婚相手がSOPHIAのボーカルとして知られる松岡充さんという……意外なつながりがあるものだなと思わされます。
意外なつながりといえば、元記事で書いたように、黒沢久雄さんは森山良子さんと同じ学校の先輩であり、その森山良子さんの娘婿には、おぎやはぎの小木博明さんがいる……そんなつながりもあります。
そういうファミリーツリーとはまた別に、作曲者の佐藤勝さんがゴジラ映画のいくつかの作品で音楽を手がけていて、あの「メカゴジラのテーマ」の作曲者であったり、美空ひばりの名曲「一本のえんぴつ」の作曲者であり、この曲は古賀政男が主催した音楽祭のテーマ曲であるとか……やはり名曲というものは、掘り下げていくとそういう話がいろいろ出てくるものなのでしょう。

せっかくなので、動画を。
元記事ではカバーバージョンを載せていましたが、こちらがオリジナルです。

若者たち~空にまた陽が昇るとき

そして、森山良子さんの息子、小木さんの義兄弟となる直太朗さんのカバー。
これは途中で切れてますが……

森山直太朗「若者たち」

よく見ると、冒頭部分の映像で奥のほうにある家の標識が「黒澤」となっているように見えます。芸コマです。



映画『シン・仮面ライダー』

2024-01-25 20:29:15 | 映画


映画『シン・仮面ライダー』を観ました。

今日1月25日は、石ノ森章太郎生誕記念日。

ということもあって、今回はこの映画について書こうと思います。

いまさら説明するまでもないでしょうが、『シン・仮面ライダー』は、庵野秀明さんが指揮する「シン」シリーズの第三弾で、昨年公開された作品です。
その予告動画を貼っておきましょう。


『シン・仮面ライダー』予告

前半は、正直ちょっと方向性が見えない感じがしました。

過去のヒーローもの特撮やアニメをリメイクするときによくある、設定のいじりすぎ、現代風にアレンジしすぎ……という感じでしょうか。同じ石ノ森作品でいうと、『009ノ1』(『サイボーグ009』のセルフパロディみたいな作品。過去にドラマ化、アニメ化され、2013年に映画化されている)の映画版のような……
その手の作品はしばしば厳しい批判に遭いますが、『シン仮面ライダー』もちょっとそういうにおいがあります。シンゴジラやシンウルトラマンに比べてあまり評判にならなかったように思えるのは、そういうところなんじゃないでしょうか。
そことからんでもう一つ感じたのは、庵野さんのカラーを出しすぎている部分もあるのかな、というところです。
設定や特殊用語をあえて説明せずに話を進めたり、ショッカーが人類補完計画みたいなことをやっていたりするのも、やや庵野さんのカラーを出しすぎているように思われました。ラスボスまわりの美術も、非常にエヴァっぽい感じがします。あるいは、『ふしぎの海のナディア』に出てくる皇帝ネオがこんな感じだったような……
庵野カラーは、シンゴジ、シンウルトラマンではそれなりに抑制されていたように思いますが、ここにきてちょっと逸脱しているのではないかと。
結果、ゴジラシリーズでいうファイナルウォーズのようなことになっていると思われます。もとの作品とのギャップという点では、ゴジラ、ウルトラマンと比べて、往年のファンの反感を買う部分がかなりあったんじゃないでしょうか。そういうこともあって、私も前半はかなり微妙な感じで観ていました。

しかしながら、ラスボスとの最初のバトルあたりからの後半は、面白くなってきたと思います。
ネタバレを避けるために詳細は書きませんが……ああいうかたちで終わるというのも、憎々しい強敵をやっつけてすっきりという安易なカタルシスではなく好感がもてました。


さて……石ノ森作品といえば、最近『変身忍者 嵐』というドラマを見ています。

変身忍者 嵐 第01話[公式]

70年代に放送された特撮歴史ヒーローもので、Youtubeで週一話ペースで期間限定配信されており、視聴してるんですが……
やはり、ヒーロー特撮はこうあってこそだと思います。変に現代風にするよりも、このテイストをいかしてリバイバルしたほうがよいのではないかと。




文芸の世界にも忍び寄るAIの影……

2024-01-22 22:28:15 | 時事


先日芥川賞が発表されましたが、九段理江さんの受賞作「東京都同情塔」が、AIの生成した文章を使っているということでも話題になっています。
もっとも、作中で「AIの生成した文章」として出てくるのであって、小説としての文章自体をAIで書いたわけではないということですが……しかしやはり、小説の執筆にAIが使われ、それが芥川賞を受賞したということには、さまざまな議論が持ち上がっているようです。

この種の話は、ここ数年よく聞くようになりました。

昨年は、手塚治虫『ブラックジャック』の新作や、ビートルズの新曲がAIを援用して制作されるという話があり、このブログでも取り上げました。

実際のところ、AIはどうなのか……

最近、興味深い記事を読みました。

それは絵画に関する話なんですが、人間は、AIの描いた絵画を人間が描いたものよりも低く評価する傾向があるというのです。
AIが描いたものであるということを知らなくとも、です。
AIが描いたということを事前に知らされている場合それを見た人間がある種の忌避反応を示すことは、種々の研究ですでに知られているそうですが、この実験は、AIで描いたものと人間が描いたものを混ぜて提示し、その反応を確かめました。すると、AIが描いたものは総合的に低く評価されたというのです。つまり、AIが作ったものは、人間が作ったものに比べてどこか物足りない……のかもしれません。

しかし、昨年はそれに反するような話もありました。

写真コンテストで、AIの作成した写真が最優秀賞をとってしまったという話です。
問題の写真を出品したボリス・エルダグセンは、AI生成画像であることをあきらかにして受賞を辞退しましたが、この件はクリエイティヴ方面に大きな波紋を広げました。AI生成画像が賞をとってしまったということで、「所詮AIで作ったものには魂がこもっていない」みたいなこともいえなくなってしまったと……

しかし、これに関しても、案外ちょっと違う解釈ができるのかもしれません。
というのは、この手の賞の選考は、主観的、直観的な評価とは別に、ある種の技術論的評価が含まれているんじゃないでしょうか。〇〇の技術が使われるところが評価できる……みたいなことです。写真にかぎらず、こういったものの選考では、ある程度の客観性を担保しようということでそういう尺度がもちこまれるでしょう。で、AIが学習によって生成した画像は、そういう観点で評価されたときに点数を稼げるポイントをきっちりおさえていたんではないかと。おそらく問題のボリスさんは、「賞をとれるような写真」という指示をAIに与えて画像を作らせたのだと思われます。そうすると、AIは過去の受賞作を学習して「点数をとれるポイント」を見抜き、そういう要素をふんだんに盛り込んでくる。選考委員たちも、主観的にはそんなにいいとも思えないけれど、全体の構図に10点、露光の具合に10点……みたいな感じで採点していくとものすごい高得点になったから、最優秀ということになった、と。あるいは、そういうものをなくして、純粋に主観・直観で判断すれば、AIの作った作品は「なんか違う」と思わせるものになるのではないか……
つまり、結論としては、AIの生成するものは、点数稼ぎはできるけれど、魂はこもっていない、と。
もちろんこれは、ある種の生気論に近いものかもしれません。それに、現状そうであったとしても、将来には主観的評価でもAI生成作品が人間を凌駕するようになるのかもしれません。
しかし、やはり人間は機械にはどうやってもできないことができるんじゃないか……半ば願望交じりに、そう思います。



松本人志さん性加害問題について

2024-01-19 22:11:47 | 時事


松本人志さんの性加害報道の余波が広がっています。

松本さんや吉本興業サイドは事実無根としていますが、その「事実」がどこからどこまでを指すのかが曖昧であり、この二、三週間で、早くもその点でほころびが見えはじめているのが実態でしょう。もちろん現時点で断定的なことはいえませんが、女性を集めての飲み会が行われていたこと自体は事実のようです。そして、密室で何が行われていたかは第三者にはわからないということであれば、事務所側が「当該事実は一切ない」と言い切れる根拠がどこにあるのかという話になってきます。

そして、問題は松本人志さん一人にとどまらず、その後も文春砲が立て続けに火を吹き、芸人たちの「自粛ドミノ」が広がっていくのではないかと懸念されているということです。

ことここにいたってくると、どうしてもジャニーズ問題とオーバーラップしてきます。
問題の構図には相違点も多々ありますが……つまりは、ある一人の人間が強大な権力をもってしまい、周りがその行いを制止したなかったために、広く、かつ深刻な問題になってしまったということでしょう。問題となる行為がはじまったときに誰かが止めておけば、その時点で数人の芸人が活動休止に追い込まれるぐらいで済んだかもしれない(業界側から見れば)のに、止めなかったがために、お笑い界全体に幅広く影響が出かねないという……

ここから得られる教訓は――それにふさわしくない人間が権力をもってしまい濫用し始めたら、まわりはただちにそれを止めなければならない。止めなければ、どこかで必ず大きな問題を引き起こす。先になればなるほど、そのダメージは大きくなる……ということでしょう。それは、業界関係者のみならず、本人にとっても不幸なことです。
このブログでは時々近現代史の話なんかも書いていますが、これは戦前の日本を戦争に引きずり込んでいった国家主義勢力にもあてはまるわけであり、この国が抱えている致命的な問題が今回の問題にも示されていると思います。


また、この件に関する著名人の発言などには、男女間で際立った温度差が指摘されてもいます。
女性の場合は問題視する意見が多いのに対し、男性側は疑問を呈したり矮小化する意見が多いという……このへんは、我が国がジェンダーギャップにおいて世界的にも最低水準であることとつながっているように思われ、そういった点からしても、これは単にお笑い界のなかだけの問題ではないんじゃないかと。



いいロックの日 ヴィンテージⅡ

2024-01-16 21:47:09 | 日記

今日は、1月16日です。

これは、語呂合わせで「いいロックの日」……といえるんじゃないでしょうか。いや、いえると思います。というわけで、当方で勝手に記念日として制定することにしました。
そういうわけで、前に「ロックの日」でやった蔵出し企画の第二弾をやりたいと思います。


ケネディセンターにおけるレッド・ツェッペリン・トリビュート。
ケネディセンターというところが功績のあるアーティストに賞を授与していて、本人や米大統領などの居並ぶ中でほかのアーティストたちがその楽曲をカバーして栄誉を称える……みたいなイベントです。
この動画では、フーファイターズによる「ロックンロール」、キッド・ロックによる Ramble On、レニー・クラヴィッツが「胸いっぱいの愛を」を披露しています。2012年の回で、観客席には当時のオバマ大統領の姿も見えます。

Led Zeppelin Tribute - Foo Fighters, Kid Rock, Lenny Kravitz - 2012 Kennedy Center Honors


同じくケネディセンターから。
同年にはバディ・ガイへのトリビュートもありました。
ボニー・レイット、トレイシー・チャップマン、ベス・ハート……そして、ジェフ・ベックが参加しています。

Bonnie Raitt, Tracy Chapman, Jeff Beck and Beth Hart - "Sweet Home Chicago" (2012)


ストーンズ「サティスファクション」。
ミック・ジャガーとティナ・ターナーが共演しています。前回紹介した動画と同じステージでしょうか。
これまたすごい組み合わせではあるんですが……このパフォーマンスは、ちょっと迷子になってる感があり、一発合わせのセッションで失敗したときみたいになっています。中途半端なところで動画が終わっているのもそのためでしょうか。

"(I Can't Get No) Satisfaction" All-Star Jam at the 1989 Inductions


ジョージ・ハリスンへの追悼パフォーマンス Handle with Care。
トム・ペティ、スティーヴ・ウィンウッド、ジェフ・リンという豪華なメンバーに、ジョージ・ハリスンの息子ダニも参加しました。

Performance of "Handle With Care" at the 2004 Rock & Roll Hall of Fame Induction Ceremony


メタリカによるクラッシュのカバー Clampdown。

Metallica: Clampdown (Bridge School Benefit, Mountain View, CA - October 23, 2016)

なぜエレアコ?とちょっと思ってしまいました。


ハートのアン・ウィルソンによるエアロスミスのカバー Dream On。
アン・ウィルソンは、ロックの名曲カバー集ようなアルバムを出しています。それらの曲は、このブログでちょくちょくとりあげてきましたが……ハートはエアロスミスのツアーでサポートをつとめたこともあり、この曲にはより強い思い入れがあるのかもしれません。

Ann Wilson - Dream On (Live)


マライア・キャリーの Hero。
ロックではありませんが、今日1月16日は「ヒーローの日」というのがあるんだそうで……ライブラリにあったライブ8でのパフォーマンスを。

Mariah Carey - Hero (Live 8 2005)  



最後は、前回と同じくクイーン「伝説のチャンピオン」。
先のHeroと同じライブ8におけるグリーンデイのパフォーマンスです。ライブエイドでフレディがやった「えぇ~お」も最後にちょっと真似しています。

Green Day - We Are The Champions (Live 8 2005)