ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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55年目のビートルズ記念日

2021-06-29 21:18:40 | 日記


今日は6月29日。
日本におけるビートルズ記念日です。
1966年6月29日にビートルズが初来日を果たしたから……ということなわけですが、今年はそれから55年にあたります。
特別な記念日ということで、今日はビートルズ特集でやっていこうと思います。
ビートルズに関しては、このブログで結構何度か記事を書いていますが、今回は初来日50周年ということで、1966年にフォーカスをあてていきましょう。





1966年……初来日の頃、ビートルズはどんな曲をやっていたか。

1966年に発表されたシングルは、こんな感じです。

The Beatles - Paperback Writer

そのシングルB面だった Rain。

The Beatles - Rain

66年にリリースされたもう一枚のシングル「イエロー・サブマリン」。

The Beatles - Yellow Submarine

そして、シングルの両A面だった「エリナ・リグビー」。

The Beatles - Eleanor Rigby (From "Yellow Submarine")

「イエロー・サブマリン」と「エリナー・リグビー」は、ともにアルバムRevolver の収録曲ですが、この Revolver は、まさにビートルズ前期と後期の橋渡しといえる作品で、1966年は転換点にあたる年なのです。
66年にリリースされた2枚のシングルにおいて、すでにその大きな転換がみてとれます。
「エリナー・リグビー」は、文明批評的な部分もうかがわせる詩にくわえて、音楽的にもドリアンスケールの使用という実験性を垣間見せます。これが「イエロー・サブマリン」とセットでシングルになっているというのが、まさに 過渡期の“ごった煮”感そのものなのです。

その“ごった煮”感はそのまま Revolver にも表れていて、このアルバムの収録曲はじつにバラエティに富んでいます。

たとえば、津原泰水さんの『ヒッキー・ヒッキー・シェイク』でも登場した「タックスマン」。
ジョージ・ハリスンによる、いかにもロックンロールという曲です。

Taxman (Remastered 2009)

かと思えば、ポールのセンスが光るバラード。

Here, There And Everywhere (Remastered 2009)

そして、サイケデリック色満載の 「トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ」。

Tomorrow Never Knows (Remastered 2009)

テープの逆回転を利用したこの曲は、ライブでの演奏が不可能。
後期ビートルズは、こういうライブではできない曲をよくやるようになっていきます。そして、ライブではできない曲をやるからライブ自体もやらなくなり、ライブをやらないからますますライブではできない表現にのめりこむ……というスパイラルに入っていきます。
そういったこともあって、武道館公演におけるビートルズは、1966年のビートルズとして考えるとやや違和感もあるのです。
しかしながら、ビートルズの転換期――それは、ロックンロールそのものの転換期でもあり――その瞬間を切り取っているという意味で、来日公演はビートルズ史における重要な一ページといえるでしょう。



モンキーズの名曲を振り返る+α

2021-06-28 16:25:15 | 過去記事

The Monkees / Daydream Believer

今回は、音楽記事です。最近、自分のやっているPaperback Writer(s) というバンドのことを書きましたが、そのバンドでやっている曲について書こうと思います。Pap......


過去記事です。
モンキーズの Daydream Believer について書いています。

今回も、動画を。

The Monkees - Daydream Believer (Official Music Video)


例によって、モンキーズの曲をいくつか。

まずは、デイドリーム・ビリーバーと並ぶ代表曲 I'm a Believer。

The Monkees - I'm A Believer (Official Live Video)


モンキーズのテーマ。
忌野清志郎のタイマーズがこれを日本語カバーで「タイマーズのテーマ」としたのは、元記事にも書いたとおり。

[Theme From] The Monkees

あの記事を書いたときには知らなかったんですが、GSのタイガースも、「タイガースのテーマ」としてカバーしているんですね。「タイマーズのテーマ」は、それも踏まえているのかもしれません。


モンキーズのデビュー曲である「恋の終列車」。

The Monkees - Last Train To Clarksville (Official Live Video)


ここからは個人的に気に入っている曲を。

まずは、珠玉の名曲 I Wanna Be Free。

I Wanna Be Free (2006 Remaster Original Stereo Version)


さわやか西海岸路線でもう一曲。
合唱曲のようなこの感覚が、ビーチボーイズやモンキーズが中心だったころのウェストコーストでしょう。

Shades of Gray (2007 Remaster)


こちらは、ぐっとロック寄りになった(I'm Not Your) Steppin' Stone。

The Monkees - (I'm Not Your) Steppin' Stone (Official Live Video)

動画は最近のライブですが、若いころの勢いはなくなっているようにも感じられます。まあ、年齢を考えれば無理もないでしょうが……


最後に、モンキーズの現在について。
何度か解散・再結成を繰り返してきたモンキーズですが、2016年にバンド50周年を記念したアルバムをリリースしています。
アニバーサリーということでか、なかなか大物のミュージシャンが曲を提供し、過去の未発表曲も発掘してきた結果、ソングライティング陣はおそろしく豪華になりました。
キャロル・キング/ジェリー・ゴフィンのコンビや、二ルソン、ニール・ダイアモンド、ノエル・ギャラガー、ポール・ウェラーなどなど……
そのなかから、ウィーザーのリヴァース・クオモが提供した She Makes Me Laugh の動画を。

The Monkees - She Makes Me Laugh (Official Lyric Video)

今回あらためてモンキーズについて調べてみたところ、ピーター・トークはこのブログでモンキーズの記事をアップした直後に死去していたことがわかりました。
60年代ごろ、ウェストコーストの大物となっていたピーター・トークのもとには、駆け出し時代のジャクソン・ブラウンなんかもよく出入りしていて、西海岸人脈を築く礎ともなりました。
そこにはたとえばスティーヴン・スティルスなどの姿も。
これも今回調べていて知ったことなんですが、モンキーズを生み出したオーディションには、なんとスティーヴン・スティルスも応募していたそうです。さらには、ヴァン・ダイク・パークスなども……
このオーディションは半ば出来レースだったともいいますが、もしもスティーヴン・スティルスやヴァン・ダイク・パークスがモンキーズとしてデビューしていたら、ロックの歴史はどうなっていただろうかと考えさせられます。そしてそれは、裏返すと、アメリカのロックにおいてモンキーズとはなんだったのかという問いでもあるのです。




SHAKALABBITS「少年と白い犬」

2021-06-26 23:15:01 | 音楽批評


今回は、音楽記事です。

このカテゴリでは寺山修司ゆかりのアーティストということでやっていて、前回は moonriders の鈴木慶一さんが音楽を担当したロックミュージカル『時代はサーカスの象にのって』を紹介しました。

それでYouTubeを観ているうちに知ったんですが……『時代はサーカスの象にのって』は、2017年に、新たな演出で上演されているんだそうです。

そこで音楽を担当したのが、SHAKALABBITS。

というわけで、今回はこのシャカラビッツというバンドについて書こうと思います。まあ、寺山修司ゆかりといえるかどうかはかなり微妙ですが……



シャカラビッツ、通称シャカラビは、女性ボーカルUkiを中心とする4人組のバンド。

ロック味あふれるサウンドや詩心に満ちた歌詞は、非凡なものを感じさせます。
そのため――なんだか上からな言い方ですが――一目置いていたバンドです。
そんなシャカラビが21世紀の『時代はサーカスの象にのって』で音楽を担当していたというのを知って、なるほどと納得させられました。

ちなみに、私がいまやってるバンドで彼らの曲をやったこともあります。
それが、「少年と白い犬」。

[SHAKALABBITS] "少年と白い犬" Full Ver. [Music Video]

で、そのシャカラビが、『時代はサーカスの象にのって』にみずから出演し、音楽もやっていたわけです。
公式チャンネルにその様子を編集した動画があったので、のせておきましょう。

時代はサーカスの象にのって

リングを作ってそのうえで劇をやるというのは、この演目が初めて上演されたときの演出を踏襲したものらしいです。
84年版では、そもそも《舞台》というものを造らずに、演者も観客も同じフロアにいるというかたちでしたが……こんなふうに、演者と観客の関係を問い直すというのも、寺山修司ならではでしょう。

寺山修司は、ナントカ主義的な言い方でいえば、おそらくポスト構造主義みたいなところに分類される人だと思われます。
その目指すところが、いわゆる“第四の壁”を破る試みであったり、作者/演出者すらコントロールできないある種の偶発性によって予定調和を乱す演出ということになるでしょう。

たとえば、『時代はサーカスの象にのって』では、ボールを渡された人がアドリブでなにかせりふを口にすることになっていて、誰にボールをパスするかということは事前に決められていない……といった演出があります(※すべてのバージョンが同様の演出なのかは不明……)。
そういう、事前に決められていないところ、ハプニング的なところにしか“リアル”はあらわれないわけです。
予定調和が破れた亀裂からリアルが現出する……それがロックンロールだと、このブログでは何度か書いてきました。
そんなリアルなロックンローラーが、忌野清志郎だ、と。
そして、そのキヨシローの盟友であるチャボさんの古井戸もまた、天井桟敷に関わっていた――というふうに、話がつながってくるわけです。
そこに共有されている波長がすなわち、ニューウェイヴということであり、そのウェイヴは、この日本という歌謡曲大国においても消滅することなくたゆたっていて、時折表舞台にも顔を表します。
シャカラビッツもまた、その波長を共有するアーティストということなのでしょう。



2021年、沖縄慰霊の日

2021-06-23 21:40:20 | 時事


今日は6月23日。

沖縄慰霊の日です。

なんですが…沖縄タイムズなどが最近行ったアンケートによると、75.5%の人が、沖縄慰霊の日を知らなかったといいます。いささかショッキングな数字です。戦争の記憶も急速に薄れつつあるということでしょうか…

さて、毎年この日には沖縄に関する記事を書いていて、たいてい辺野古の問題にも触れているわけなんですが……年を追うにつれて、辺野古の基地建設は泥沼にはまりこんでいっているような気がします。

たとえば、今年になって新たに、埋め立て用の土砂に戦没者の遺骨が混じっているのではないかということが問題視されています。
日米両国の兵士やその争いに巻き込まれて死んだ沖縄の人々の遺骨が混じった土で辺野古の海が埋め立てられ、そのうえに米軍基地が作られるのだとしたら……これは痛烈な皮肉かもしれません。

また、辺野古には軟弱地盤という問題もあるわけですが、これに関してアメリカのシンクタンクCSISが「辺野古の基地が完成する可能性は低い」という報告を出しています。

しかし、日本政府の側は工事を中止するつもりは一切なし……
これは、オリンピックとまったく同じ構図でしょう。
反対意見、懐疑的な意見にはいっさい耳を貸さず、既成事実を積み重ね、引き返そうにも引き返せない状態を作る……
このやり方で物事を進めたらろくな結果にならないことは見えています。
前に「腰まで泥まみれ」という歌を紹介しましたが、まさにあの状況でしょう。首まで泥につかっても、まだ「進め」といい続ける……果たして、そういう人たちが、いざというときに国民を守れるのか。そんなことすら考えてしまいます。

……と、ここで話は変わりますが、ちょっと前に、ブームの宮沢和史さんが、ひめゆり平和祈念資料館への支援を呼びかけていました。
コロナの影響もあって、いま資料館が財政難に陥っているとか……ひめゆり平和祈念資料館は最近リニューアルしたんですが、おそらくそれもあってのことでしょう。沖縄はまだ新規感染数の下がらない状態が続いているので、状況の好転もなかなか見通せないものと思われます。支援のための配信ライブも行われているということなので、興味のある方はいかがでしょうか。(※ただし、そのライブは、宮沢さんが出演しているわけではありません)





ジョン・デンバーの名曲を振り返る+α

2021-06-22 16:21:39 | 過去記事

ジョン・デンバー「カントリー・ロード」 John Denver, Take Me Home, Country Roads

今回は、音楽記事です。先日、金曜ロードショーで『耳をすませば』が放映されて、話題になってました。そこで今回は、あの映画のテーマソングである「カントリーロード」について書こう......


過去記事です。
ジョン・デンバーの「カントリーロード」について書いています。
例によって動画を。

John Denver - Take Me Home, Country Roads (from The Wildlife Concert)


今回はプラスアルファとして、いろんな人が歌っているカントリーロードを聴き比べてみようと思います。

まずは、こちらのほうがジョン・デンバーよりも有名であろうオリビア・ニュートン-ジョンのバージョン。

Olivia Newton-John - Take Me Home, Country Roads


以前ちょっと触れた、Me First and the Gimme Gimmes によるパンクバージョン。

Take Me Home Country Roads


そして日本から、小野リサさんによるボサノヴァ風カバー。

Take Me Home Country Roads


最後に、ジブリ映画『耳をすませば』で使われた日本語訳バージョン。
ツヅリ・ヅクリというユニットによるカバーです。

 『カントリーロード/耳をすませば』【カバー@ツヅリ・ヅクリ】