いわゆるトランプ関税が話題になっています。
世界各国に高関税を発動し、市場は混乱、一部品目を除外するとかしないとか、さらなる上乗せをするとかしないとか……しばらく混乱が続きそうな気配です。
この関税政策には、各方面から批判の声があがっていますが、ヘヴィメタル業界からも異論が出てきました。
というわけで、今回とりあげるのはShadows Fall というバンドです。
Shadows Fall は、マサチューセッツ州出身のバンド。
ヘヴィメタルのなかでも、メタルコアと呼ばれるジャンルを代表するバンドの一つです。
メタルコアというのは、ざっくりいえば、ヘヴィメタル+ハードコアということでしょう。ハードコアの2ビートとアグレッシヴ、ラディカルさをメロディック系メタルと融合させたスタイルといえます。
マサチューセッツ州およびその州都ボストンはメタルコアの一つの震源地として知られていて、MAメタルという言葉があるぐらいです。
MAメタルといえば筆頭に挙げられるのはキルスウィッチ・エンゲイジですが、シャドウズ・フォールとキルスウィッチ・エンゲイジという二バンドのギタリストはかつて同じバンドに在籍していたことがあり、そういった点からしても、この二者はMAメタルにおいて双璧をなす存在といえるでしょう。
シャドウズ・フォールのほうは、2010年代に入って一時活動を休止していたものの、数年前に活動を再開しました。
バンド休止中も、ドラムのジェイソン・ビットナーがオーヴァーキルに在籍、ギターのジョナサン・ドネイズがアンスラックスに在籍という風に、スラッシュ系大物HMバンドで活躍し、メタル界で存在感を示していました。
で、冒頭のトランプ関税の話なんですが……シャドウズ・フォールのボーカルであるブライアン・フェアが、トランプ大統領の関税政策を批判しています。
この人は、楽器やアクセサリーを製造販売する会社で働いているんだそうで、その立場から懸念を表明しました。
高関税をかければ物価上昇につながるのは自明であり、その影響は楽器などの市場でもすでに出ているといいます。
関税で輸入品の価格が上がるだけでなく、直接関税の影響を受けない国内生産メーカーもそれにあわせて値上げに動き、インフレが進む……果たしてそれは、トランプ支持者たちが望んでいたことなのか。物価上昇に直面して、こんなはずじゃなかったみたいに思っているのではないか……
シャドウズ・フォールに、Blind Faith という曲があります。
Shadows Fall - Blind Faith
エリック・クラプトンがやっていたバンドを思い出しますが、とりあえず関係ありません。このタイトルは、直訳すれば「盲信」。
信じたことが間違いのはじまり、疑問を持つこともなく、彼らが示すものすべてを買い、やがて他人の罪のために代償を払うことになる――こんな歌詞が、ドナルド・トランプという人を大統領に選んだアメリカを言い表しているように聞こえるのです。
昨年の米大統領選ばかりではなく、昨今の選挙では、支持者たちが偏った情報で盲信に陥っているように思われるケースをしばしば目にするようになりました。大衆を騙そうとする権力の欺瞞を見抜く――そういう、ハードコア精神が求められる時代なのだと思います。