ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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議会開設130周年

2020-11-29 18:55:53 | 時事


今日は、議会開設130周年にあたるのだそうです。

1890年のこの日に、第一回の帝国議会が開かれ、それから130年という記念すべき日。
国会でも、記念式典が行われたということです。


130年……ずいぶん長いものですが、ではそれだけの時間をかけて、この国の議会制民主主義は成熟したのか。
どうも、そうは思えません。
このブログでは何度も書いてきましたが、この国では議会政治がまともに機能しているとはいえません。今にはじまったことではなく、130年ずっとそうだったと私は思ってます。
超然主義の時代があり、翼賛体制の時代があり、「一か二分の一政党制」の時代があり……そしていまや、野党ほぼ不在の実質的一党独裁体制です。戦前の一時期、政党政治の時代と呼ばれた時期がちょっとだけありましたが、それも議会政治を定着・成熟させるに至る間もなく短期間で崩壊してしまいました。

結局、これまでの日本では、議会政治は形ばかりのものでしかなかったのです。
これはおそらくは明治になって政治システムを作ったときの建付けがまずかったためで、それが国民一般の政治に対する姿勢を歪めてしまった――と、このブログでは指摘してきました。

ここらでそろそろ、その長さにふさわしいだけの議会政治を確立する必要があるでしょう。

道のりは険しいですが……
これまた何度も書いてきたように、有権者の側の意識も大事です。選挙で議員が選ばれる以上、有権者の側にその意識がなければ、結局議会もうまくいかなくて当然です。
政権交代が起こりうる、まっとうな政党政治を確立する。手遅れになる前に……それが、130周年を迎えた本邦議会の悲しい現実でしょう。




Go To トラベル、岐路に

2020-11-27 20:29:16 | 時事



Go Toトラベルが、岐路にさしかかっているようです。

大阪・札幌については、両市を目的地とする分だけではなく、出発分についても利用を控えるよう菅首相が呼びかけました。

感染拡大を目の当たりにして、さすがに見直しの動きが出てきているということのようですが……遅きに失した感は否めません。
やめるならもっと早くやめておけばよかった――というよりも、そもそも最初からやるべきではなかったということでしょう。

すでに多くの人がいっていることだと思いますが、この流れは戦時中の大日本帝国のあり方を彷彿させます。「やめるならもっと早くやめておけばよかった――というよりも、そもそも最初からやるべではなかった」という意味で。

太平洋戦争については、1944年6月のマリアナ沖海戦に敗れた時点で日本の敗北は決定的であり、その後は米軍による“残敵掃蕩戦”に過ぎなかったという人もいます。しかし、日本が実際に降伏するまでには、それから一年以上がかかりました。
一億玉砕などといってみたところで、そんなことは現実的にできない相談なので、結局どこかの時点で降伏となるのはわかりきっているわけです。どうせ降伏するなら、早く降伏しておけば、東京大空襲も沖縄戦も二度の原爆投下もなかったかもしれない。数十万人が死なずにすんだかもしれない。にもかかわらず、ボロボロになるまで白旗をあげることができなかった……
翻って現代、Go Toキャンペーンも結局それと同じことをやってしまっているといっていいでしょう。
一度決めたことはそれ自体が自己目的化して止められなくなる。状況が悪化しても現実を直視せず、従来の方針意地に固執し、そのために一般市民がいくら犠牲になろうとおかまいなし――これは、大日本帝国病とでも呼ぶべきこの国の宿痾です。この死に至る病を克服しなければ、新型コロナとの戦いにも勝機は望めません。いや、実際のところ、惨憺たる無条件降伏に追い込まれるのもそう先のことではない気がしますが……





ジョーン・バエズの引退を振り返る

2020-11-25 19:36:17 | 過去記事

ジョーン・バエズが歌った共和国賛歌(Battle Hymn of the Repaublic)

最近、エルトン・ジョンやポール・サイモンがツアー活動から身を引くという話がありました。それでこのブログでも、寂しくなりますねなんて記事を書いていたんですが……数日前に、またその類の......


過去記事です。
ジョーン・バエズがツアー活動引退という話。
例によって動画をと探してみたら、見つかったのはライヴ・エイド出演時のもの。
オープニングに登場してアメイジング・グレイスを歌ったら完全に浮いてしまったという伝説のアレ……動画が中途半端なところで切れているのも、そのため。
浮いてしまったところがカットされてるわけですが、一緒に歌うよう促すジョーン・バエズの意図が観客に伝わっていない様子は、この短い動画からもはっきり見てとれます。
60年代ラブ&ピース、ウッドストックのノリでやったらこうなったという話ですが……まあそれだけ長いキャリアがあるアーティストだということなのです。


Joan Baez - Amazing Grace (Live Aid 1985)

江戸川乱歩、土師清二、長谷川伸、小酒井不木、国枝史郎『空中紳士』

2020-11-23 18:13:36 | 小説




江戸川乱歩の『空中紳士』という作品を読みました。

――厳密にいえば、アマゾンミュージックの朗読で聴きました。

以前紹介したとおり、アマゾンミュージックには小説の朗読作品があり、なぜか江戸川乱歩の作品しかないというおそろしく偏ったラインナップになっているわけですが……そのなかに『空中紳士』も入っていたわけです。

しかしこれ、乱歩作品というにはちょっと注釈が必要です。
というのも、本作『空中紳士』は、乱歩を含めた複数の作家たちによる合作小説なのです。

土師清二、長谷川伸、小酒井不木、国枝史郎、そして江戸川乱歩。
この五人によって結成された同人「耽綺社」によって、雑誌『新青年』に連載されました。

その乱歩以外の人たちについては、不勉強で、小酒井不木以外は正直名前も聞いたことがないんですが……どうもミステリー系の作家ではない人が多いようです。

そういう事情があるので、読んでいるといささか乱歩らしくないような部分も見受けられます。
そもそも『空中紳士』というタイトルからしてあまり乱歩作品らしくないと感じるのは私だけでしょうか。そして、東欧の架空の国の人物がからんでくるところなども、乱歩の作品としてはやや違和感があります。
これはなにも、合作であるということからくる先入観によるのではありません。
私ははじめこれが合作小説であるということを知らずに聴き始めたんですが、先述したような違和感はその時点からあり、後で合作小説だということを知って納得がいったという次第なのです。
文章自体はほとんど乱歩の筆によるものらしいですが、土台となるアイディアや設定、人物造形といったところに、他の参加者の着想が相当ふくまれているということなのでしょう。それが、乱歩作品とはまた一味違ったテイストにつながっているのだと思われます。

しかしやはり、乱歩一流の怪奇・伝奇・猟奇趣味もしっかりいかされています。

私がもっともこの作品で心惹かれたのは、タイトルになっている「空中紳士」という言葉の意味です。
これは、物語の最後になるまで明かされません。ネタバレになってしまうので書けないのがつらいところですが……それだけで、冒険小説が一本書ける、書きたくなる、そんな素晴らしい発想だと思いました。そのアイディアに基づく小道具というのは、作品のなかで実際に出てくることはほとんど皆無なのですが、想像するだけでわくわくする、まるで子どもの夢のようなのです。
これが乱歩のアイディアなのかはわかりませんが……そういう科学小説的な発想はこの作品の随所に顔をのぞかせていて、そこもなかなか興味深く読めました。
科学は、そもそも“子どもの夢”のような空想を出発点にしている。その“わくわく”こそが、科学を発展させる。この感覚は、ひょっとしたら少年探偵団なんかにもつながっているのかもしれません。
そういった点で、いつもの江戸川乱歩とはまた一味違う、傑作ミステリーでした。






「ホテル・カリフォルニア」を3DCGで再現(動画版)

2020-11-22 16:21:50 | 3DCG





3DCG記事です。

以前bleder で制作した“ホテル・カリフォルニア”の記事をアップしましたが、そのとき予告していた動画を作ってみました。

「ホテル・カリフォルニア」を3DCGで再現

短い動画ですが……
やはり、建物をきっちり作るのはなかなか大変です。静止画なら、見えるところだけ作ってあとはハリボテでもいいんですが、動画だと見えるところだけ作るのも結構手間がかかります。

まあ、ちょっとずつ作り込んでいって、そのうちシャイニングみたいな感じにまでできればと思ってます。