ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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沖縄県知事選

2018-09-30 23:09:24 | 時事
沖縄県知事選で、故翁長知事の流れを汲む玉城デニー氏が当選確実という結果が出ました。

つねづね現在の一強状態には問題があるといってきた私からすると、歓迎すべき結果です。
今回も結局与党側が勝つんじゃないだろうか……と思ってましたが、いい意味で裏切られました。
ともかく、おめでとうございます。

今回の選挙では、与党側もずいぶんと力を入れいてたようで、いろいろと芳しくない話も聞きましたが、それも及びませんでした。
この選挙戦からは、国政の野党もずいぶんと学ぶことがあるんじゃないでしょうか。

公明党も今回の選挙では与党側の候補を強力に支援する体制だったようですが、出口調査なんかでは、公明党支持層からもかなりの部分が玉城氏に投票したようです。組織の事情があっても自分の意志を貫いた有権者の行動には敬意を表したいと思います。
組織がこうだといっても、それはおかしいと思えばきちんと自分の意志で投票する……この姿勢が重要なんだと思います。世の中を本当に変えられるのは、そういう個人の意志でしょう。

沖縄に関していえば、やはり基地のことが争点となってしまいますが、もちろん基地問題以外にも政治課題はいろいろとあるでしょう。

今後玉城知事のもとで、沖縄がどういう道を進んでいくか……それは、沖縄だけでなく、日本のこれからの政治全体に関わってくることになるように思えます。注視していきたいです。

「ホテル・カリフォルニア」を振り返る。

2018-09-29 19:15:55 | 過去記事
過去記事を振り返るシリーズです。

イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」について書いた記事。

イーグルス『ホテル・カリフォルニア』

このブログでは、いつもは拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』について書いていますが、今回は、作品のモチーフになっているイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」について書こうと思います......


『マーシャル・ロー』

2018-09-28 17:04:21 | 映画
今回は、映画評論記事です。

以前、映画系の記事として『エネミー・オブ・アメリカ』のことを書きました。

その社会派路線をもう少し継続して、今回は、『マーシャル・ロー』という映画を紹介したいと思います。



主演はデンゼル・ワシントン。
『エネミー・オブ・アメリカ』とほぼ同じ1998年に発表された映画で、同じように同時多発テロの前に発表された作品でありながら、その後のアメリカを予言するような作品となっています。

描かれるのは、ニューヨークで起きる連続テロ。

デンゼル・ワシントンが演じるFBI捜査官アンソニー・ハバードは、テロ対策本部長として捜査の陣頭指揮をとり、自身も負傷し、また仲間を失いながら、見えない敵を追います。

いっぽう、テロはニューヨーク市民のなかにアラブ系住民に対する猜疑心を引き起こし、市民の間に分断が生じていきます。その結果、アラブ系の住民に対する暴行事件などが起こる事態に。

そしてついには軍が戒厳令を敷く事態となり、アラブ系の住民を片っ端から拘束して、拷問まで使った取り調べが行われるようになります。

こうした筋書きが、同時多発テロ後のアメリカを予言しているように感じられるのです。

作中で、拘束したアラブ系住民を裸にして拷問するシーンがあるのですが、これはアブグレイブなどで実際に起きた捕虜虐待事件をほうふつとさせます。
また、アラブ系住民を狙い撃ちにしたことは、FBIのアラブ系捜査官が離反しかける事態も招きます。こういうことも、実際に21世紀のアメリカで人知れず起きていたんじゃないでしょうか。

ちなみに、この映画にはブルース・ウィリスも出演しています。

軍の将軍デヴローという役で、連続テロの脅威が頂点に達した時、戒厳令が出され、彼が軍隊を指揮します。
この戒厳令=マーシャル・ローが、映画の邦題となっています。(原題はThe Siege)
デヴローは、ブルックリンのアラブ系住民をスタジアムに収容し、さらには重要容疑者に拷問を行なおうとします。
これに、ハバードは激しく反発し、こう詰め寄ります。


この国を混乱させるのが奴らの狙いだったら?
通りには兵隊があふれ、人々は怒りと恐怖で彼ら眺める。
法は無視され、憲法の精神はゆがめられる。
もし今この男を拷問したら、我々が命をかけ、闘いのすえに手に入れてきたものが死んでしまう。
勝つのはやつらだ。
いや、もう勝ってる。


これはもう、まさしく同時多発テロ後のアメリカにむけられた言葉としか思えません。
この映画はそれ以前に作られたものですが、はからずもそうなっているわけです。

結末がどうなるかというのはネタバレになるので書かずにおきますが……クライマックスの場面でも、ハバードはしっかりその正義感を発揮してくれます。
テロ後のアメリカについてこのブログでいくつか記事を書いてきましたが、『マーシャル・ロー』は、そこで書いた問題意識が集約されたような映画です。
これはまさに、今だからこそ見てほしい映画なのです。

朝鮮半島情勢

2018-09-26 20:14:26 | 時事
最近小耳にはさんだところによると、今年になって北朝鮮は一発のミサイルも発射していないそうです。

いわれてみれば、たしかに北朝鮮ミサイル発射というニュースを今年に入って聞いた記憶がありません。
で、ある与党議員が、これは安倍政権の外交の成果だといったのだそうです。

私には、そうは思えません。

北朝鮮が今年になって一発もミサイル発射をしていないのは、あきらかに米韓が軍事演習を中止したためでしょう。
南北朝鮮とアメリカが和解ムードとなり、軍事演習をやめたために、北朝鮮もミサイル発射をしなくなったというのが、どうみても妥当です。

実際のところ、去年までの数年間における北朝鮮によるミサイル発射は、ほとんどが米韓合同軍事演習が行われている時期に集中しています。
あとは、アメリカや韓国が北朝鮮を威嚇するような言動をすると、それに対抗するような形でミサイルを発射するというパターンですね。

前にもこのブログで書きましたが、相手を“けん制”するための行動はむこうからみれば“威嚇”であり、“威嚇”を受けた側はそれになんらかのリアクションをとる必要にせまられ、“けん制”を行います。そしてその“けん制”をこちらは“威嚇”あるいは“挑発”ととらえ、また“けん制”を行い……という無限ループに陥ります。

今年の実績をみてわかるのは、つまりは「こちらが威嚇(と相手にとられる言動)をしなければ向こうもしてこない」ということでしょう。

なんどもいってきましたが、この方向を進めていくしか道はないんです。

私は金正恩もトランプ大統領も好きにはなれませんが、この点に関するかぎり両者を支持します。

日本のするべきことは――これまた何度もいってきたことですが――いたずらに危機感を煽ったり融和に水を差すような言動を慎むことでしょう。

鐘の音の謎を振り返る。

2018-09-24 17:10:42 | 過去記事
一年前の記事を振り返るシリーズです。

拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』のあらすじ紹介その3。

『ホテル・カリフォルニアの殺人』あらすじ・その3 鐘の音の謎 
例によって、テレビドラマの番宣ふう『ホテル・カリフォルニアの殺人』内容紹介の続きを書いていきます。今回は、作品の中盤で出てくる鐘の音の謎についてです。作品の舞台であるホテル......