今回は、ゲーム記事です。
以前、『ファイナルファンタジータクティクス』について書きましたが、今回は、このFFTについてもう少し書きたいと思います。というのも、FFTは、FF史上における非常に画期的なシステムを作り上げていて、このゲームについて語るなら、そのことを指摘しないわけにはいかないからです。
FFシリーズは、よく奇数タイトルがシステム重視で、偶数タイトルがストーリー重視といわれます。
くっきりとそれが出るのは、ジョブシステムですね。
偶数タイトルは、ストーリーを重視するがゆえに、誰でもいいキャラクターではなく、ストーリーと絡み合った固有のキャラが登場します。
しかし、固有のキャラは固有のアビリティを持っています。
FF4でいえば、セシルは「あんこく」、カインは「ジャンプ」などです。
そこがジョブシステムと整合しなくなります。それぞれのキャラが固有のアビリティを持っていると、ジョブ固有のアビリティをどうするのかということが問題になるためです。
この二つの要素を両立させたのが「5」ですが、それは一つの限界を示してもいたのでしょう。
「5」は固有キャラ制ではありますが、ジョブシステムであるがゆえに、やはりそれぞれのキャラにゲームキャラとしての個性はありません。それぞれのキャラがドラマにからんではきますが、4のように、キャラ固有のアビリティというものはありません。
「5」まではこの2つのシステムが競り合っていたと思うんですが、結局のところ、ストーリー重視路線のほうが勝って、「6」以降では、ジョブシステムはほとんど姿を消してしまってるようです。
しかし……5よりももっと完璧な形で、「固有キャラによるストーリー」と「汎用キャラによるジョブシステム」を両立させたのが、FFTだと思うんですね。
FFTでは、固有ユニットとは別に、汎用ユニットが存在します。
ドラマを展開する名前を持ったキャラクターたちと、ドラマには絡んでこないユニットが並存しているのです。これによって、ストーリーをしっかりと描きつつ、ジョブシステムの面白さも楽しめるようになりました。
主人公であるラムザをはじめ、アグリアスやシド、マラーク・ラファ兄妹といったキャラクターたちの固有のドラマがあり、それと同時に、白紙の状態からスタートする汎用ユニットを自分の好きなようにカスタマイズしていくという、純粋にゲーム的な楽しみ方もできます。こういう仕様になっているのは、数あるFFシリーズ作品の中でも、おそらくFFTだけなんじゃないでしょうか。
固有キャラがあるがゆえに、たとえば推しキャラというものも出てきます。(ちなみに自分はアグリアス推しです)。また、固有キャラは、スペックにも固有の特徴を持っている場合があり、それがゲーム性にもからんできます。たとえば、労働8号は魔法が効かないとか、braveの低いラファはアイテム回収役に適しているとか……
そしてその一方で、多彩なジョブとアビリティを組み合わせていく楽しみがあります。ジョブとアビリティの組み合わせは、もう無限といってもよく、ストーリー重視のゲームではしばしば犠牲にされるゲームとしての自由度が、きわめて高いレベルで担保されているのです。
ドラマ性とゲーム性の完璧な融合……このことによって、FFTは、高い完成度を持った伝説的ゲームになりえているのだと思います。