ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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西の都、日本遺産降格……

2025-02-13 22:38:58 | 日記


今日2月13日は、「日本遺産の日」です。

この日本遺産というものに、福岡、佐賀の史跡が認定されているという記事を
3年前に書いたんですが……



日本遺産「西の都」

2月13日は、「日本遺産の日」だそうです。日本遺産……これは、世界遺産の国内版といったところでしょうか。日本各地の有形・無形の文化財を「日本遺産」と認定し、その魅力を発信して......

最近、それが取り消しになったというニュースがありました。

複数の構成資産の間で連携がとれておらず、誘導ができていないといったことが理由として挙げられているそうです。
結果、候補地域に格下げに。これは、日本遺産認定制度が始まって以来初の降格だとか。
まあたしかに、大宰府天満宮は突出して有名ですが、その周辺にある施設はともかく、そこからちょっと離れたところに足をのばすかといえば……なかなかそうはならないのかな、という気もします。福岡、佐賀の二県にまたがっているのも、連携を難しくしているところでしょう。実際私も、3年前に当該記事を書いた際に、佐賀のほうへは行きませんでした。ここからこんなふうにすれば行けるというような案内がわかりやすくなされていなかったというのは確かにあると思います。
2026年度になればまた再申請できるということなので、そのあたりを見直して、また挑戦するのもいいんじゃないでしょうか。
まあ、認定されることにどういうメリットがあるのかというも正直よくわからないんですが……




フジ問題から見えるこの国のかたち

2025-02-11 22:54:40 | 時事


今日2月11日は、建国記念の日です。

その日付にあわせて、このブログでは社会問題的なテーマについて書いたりもしています。
たいていは、悪い話になってしまうことが多いわけですが……今年もそうです。現在、大きな社会問題といってまず思い浮かぶのは、なんといってもフジテレビ問題でしょう。

昨年末に中居さんの報道が出た時には、まさかこれほどの大騒動になるとは思いませんでしたが……今やフジテレビのみならず、テレビ業界、芸能界全体を揺るがす大事件になってしまいました。

このタイミングで同じような話が暴露されたりして、当事者がそれを事実と認めるようなケースもあり……そうなってくると、業界にそういった闇の慣行が存在したことはある程度否定できないことなんじゃないでしょうか。


一連の騒動を見ていると、ジャニーズ問題がどうしてもオーバーラップしてきます。
そこには、この国の病理が垣間見えるのではないでしょうか。
もちろん、権力をもっている存在がアンタッチャブルになって好き勝手なことをし始めるというのは、程度の差はあれ、どんな国のどんな業界にもあることでしょう。しかし、日本という国はその度合いがかなり高いのではないかという気もするのです。
その背景には、このブログでたびたび書いてきた“正義リテラシー”の欠如があるのではないかと私は思っています。普遍的な正義とローカルな正義が衝突したときに、しばしばローカルな正義のほうを優先させてしまうという……それがつまりは、組織を守るために不正を隠ぺいするという行動につながるわけです。
これもたびたび書いてきたことですが、そういったあり方が戦前の軍部を暴走させ無謀な戦争に突き進んでいった背景でもあると思われ……この国が克服しなければならない宿痾であると感じるのです。



ビートルズの日2025 Help!

2025-02-04 22:08:38 | 日記
 
今日は2月4日。

ビートルズの日……ということで、今年もビートルズ記事です。

このシリーズでは、60周年を迎えるアルバムを紹介するというようなかたちが続いていますが、その流れでいくと、今回は65年発表のHelp!ということになります。

 

以前のビートルズ記事でもちょっと言及しましたが、この頃のビートルズは、渡米してボブ・ディランの影響を受け、そこから内省的な方向を出すようになったといわれます。
ビートルズが本格的な変化を見せ始めるのは次作Rubber Soul からだと私は認識していますが、たしかにこのHelp!でも、それまでになかった側面を見せ始めてはいるでしょう。それは、収録曲のカバーなどを見ていても感じられます。ということで、それらのカバーをいくつか見てみましょう。



まず、タイトル曲を、ディープ・パープルがカバーしています。
以前このブログでそのMVを紹介しましたが、今回はアルバム音源のバージョンで。

Help

ディープ・パープルが当初サイケデリック系のバンドだったというのは、何度か書いてきました。その時期の彼らがHelp!を取り上げたのは、そこにサイケデリックに通じるものを感じていたからでもあるでしょう。


ディランの影響ということでよく言及される「悲しみはぶっとばせ」。
私の敬愛するジャクソン・ブラウンがカバーするバージョンがあります。

You've Got To Hide Your Love Away

2011年に行われたジョン・レノントリビュートイベントでのパフォーマンス。
2011年というのはつまり、東日本大震災の年ということで、そのチャリティ的な意味合いで、イベントの収益から日本赤十字に寄付されているということのようです。
「悲しみはぶっとばせ」というタイトルはその趣旨にふさわしいように思えますが、実は歌の内容はそういう感じでもなく……日本語ではそんなタイトルになっているということで選曲したんでしょうか。そのあたりの事情はわかりませんが、ボブ・ディラン、ビートルズ、ジャクソン・ブラウンとつながってくるのは、たしかにフォークロックの魂を感じさせます。


ディランに勝るとも劣らぬロックンロールのレジェンド、エルヴィス・プレスリー。「イエスタデイ」をカバーしています。

Yesterday (Live)


「涙の乗車券」。
ヴァニラ・ファッジのカバーするバージョンで。
この曲は、カーペンターズのカバーも有名だと思いますが、ヴァニラ・ファッジなんかもやっていたわけです。

Ticket to Ride

余談ながら、ここでドラムを叩いているカーマイン・アピスは、後年はHR/HM方面でも活躍していて、先日死去したジョン・サイクスとも一緒に活動したことがありました。


アルバム中唯一の非オリジナル曲Dizzy Miss Lizzy。
ここはカバーではなく、オリジネイターであるラリー・ウィリアムズのバージョンを。

Dizzy Miss Lizzy

ラリー・ウィリアムズといえば、ビートルズのSlow Downという曲も、オリジナルはこの人です。Slow Downは、ジャムがカバーしたりもしていました。

……といふうにこの記事で出てきたアーティストの名前を見て来ると、ジャンルがじつに多彩です。
オールディーズ系から、フォーク、ハードロック、ヘヴィメタル、パンク……それらがまだ混然一体だった時期から、次第に細分化し始めるのが60年代の終わりごろ。Help!は、それを先取りするような作品ともいえるのではないでしょうか。




ピロウズ解散

2025-02-02 21:50:28 | 日記

昨日のことになりますが、ピロウズが、突然解散を発表しました。

なんの前触れもなく……

解散の原因などもよくわからない状態で、ファンの間では衝撃が広がっています。

ピロウズは、35年という長きにわたって活動してきたバンドではありますが、その間決して安定した状態だったわけではありません。オリジナルベーシストの脱退や、活動休止、サポートベーシストの解雇といったことがありました。

このうち、サポートベーシストの解雇については、“卒業”といったような言い方もできたでしょうが、あえて「素行不良による解雇」とはっきりアナウンスしたところに、彼らの誠実さが表れていたと思います。

今回の解散発表も、そういうことでしょう。
公式声明では、「解散という強い言葉を使う事は非常に迷いましたが、いつか再始動があるか期待させるような言葉を使うのはためらわれ、このような表現とさせて頂きました」としています。

それだけ強い意思での決定ということなので、ファンとしてはとにかくその決断を尊重するしかないでしょう。
今はとりあえず、長い間お疲れさまでした、といいたいと思います。

ハイブリッドレインボウ/the pillows



The Darkness - Rock and Roll Party Cowboy

2025-01-29 23:49:34 | 音楽批評

ダークネスがニューアルバムを発表するということです。

ダークネスといえば……2000年代初頭に彗星のごとく現れたハードロックバンド。
グラムメタルに分類されることもあって、最近このブログで書いているグラム系アーティストの一つともいえます。

どのあたりがグラムかというと……見た目的な部分もそうですが、ボーカルであるジャスティン・ホーキンスのハイトーン・ボイス。
最初に聴いたときに、私はちょっとクイーンっぽさを感じもしました。グラム色の濃いハードロックバンドということは、クイーンの直系といえるんじゃないでしょうか。
クイーンとは、ちょっとしたつながりもあります。
というのは、現在ドラムを叩いているルーファス・テイラーは、クイーンのドラマーであるロジャー・テイラーの息子なのです。テイラー・ホーキンスが死去した後フーファイターズに加入するという噂もありましたが、それは実現せず、ルーファスは今年でダークネス加入10年目を迎えます。

話のついでで、今年の元旦に公開されたロジャー・テイラー出演動画。
曲は、クイーンがデヴィッド・ボウイとコラボしたUnder Pressure。まさに、ここにはグラムの血が流れているのです。

Roger Taylor & Louise Marshall - Under Pressure (Jools' Annual Hootenanny 2024)

ダークネスの話に戻りましょう。

ボーカルのジャスティン・ホーキンスは、ハイトーンボイスを操るだけでなく、リードギターもやっています。
ボーカルだったらリズムギターのほうなんじゃないかと思うところですが……リズムギターをやっているのは、ジャスティンの弟ダン・ホーキンス。
この人は、AC/DCのマルコム・ヤングに惚れ込んでリズムギターを志したという筋金入りの人物で、マルコムの真似をするために一万時間を費やしたと豪語し、マルコム亡きいま「世界に残された最後の正真正銘のリズムギタリストの一人」を自負しています。

女王の血脈と、オセアニアのタテノリグルーブ……その継承者であるならば、最強のハードロックバンドということになるのは必然でしょう。ロックンロールというジャンル自体が衰亡しつつあるともいわれる今、そんなダークネスは「最後の正真正銘のロックバンドの一つ」なのかもしれません。

ここで、ニューアルバムの中から動画が公開されている曲を一つ。

The Darkness - Rock and Roll Party Cowboy (Official Visualiser)

  ノースリーブの革ジャケット
  ハーレー・ダヴィッドソン

と始まるこの歌は、まさに80年代風メタルへの賛歌といえます。
キメの部分では、

  トルストイなんか読むつもりはないぜ

というフレーズ。
ここでトルストイが出てくるのは、直接的には韻の関係ですが、マジメとか道徳的とかいうものの象徴みたいな意味合いを持たせてもいるのでしょう。
そういうものに背をむけてみせるという、偽悪性……いかにもグラムロックというところです。
私は80年代のメタルをリアルタイムで聴いていたとはいいがたい世代ですが、なんとなくそういう雰囲気を肌で感じてはいて、ダークネスを聴いているとその懐かしい空気を感じる部分があります。そこがつまりは、ある種のメタルリバイバル的なところでしょう。そういうリバイバル的なスタイルにはいろいろな屈折がついてまわるのが宿命ですが、そのいろいろのなかで彼らがどう自分たちの音楽をやっていくのかというところに、あるいはロックンロールの未来が見えるのかもしれません。